2012.01.25

顔面神経麻痺

前々回まで、肛門(痔)の話から、大腸~十二指腸~胃~食道・咽喉~口内と消化器系を下から登ってきたが、口角炎で消化管の外に出たので、ついでに顔の問題にも触れてみよう。

今回取り上げるのは、顔面神経麻痺。ある日突然、顔の半分が麻痺して、だらりと垂れ下がってしまう。目も半開きで閉じず、額の皺も半分消え、口はしっかり閉まらず端から水が漏れてしまう。口笛も吹けなくなる。顔面神経麻痺とは、こんな症状である。

ヘルペスウイルスが引き起こすと言われたりするが、直接の原因は、頚や耳下腺などの局所的な冷え、例えば長時間風が当たっていたとか、汗をかいたまま急激に冷やした(汗の内攻)とか、そういうことが多いのではないかと思う。

現代医学の方ではあまり有効な治療法が無いようであるが、整体では割ときれいに治ることが多い。
外傷や腫瘍などが原因のものはまた難しい問題を含んでいるが、いわゆる特発性(原因不明の)顔面麻痺は、急処を的確に捉えさえすれば、多くはどんどん良くなっていく。

急処は、頚・顔・胸椎椎側・肩甲骨内側・腕などにあるが、症状が起こっているときはどれも手応えがあるというか、反応が出ているので、意外と急処がつかまえ易いのではないかと思う。

さて、顔面神経麻痺の操法手順の一例だが・・・


1.仰臥で後頭骨及び上頚(第2頚椎三側)を四指を使って一定圧をかけて愉気。
  ほとんどは患側が硬直しているので、そちら側にウエイトを置く。

2.眉頭の骨の凹み・目の下頬骨の凹み・小鼻の脇の凹み・オトガイ孔、
  そしてこめかみに愉気。

3.耳の下(耳下腺のあたり)を人差し指か中指を当ててじっくり愉気する。
  ここは、重要ポイントの一つ。顔の痙攣などもここが急処。

4.坐位になってもらい、頭部第2調律点
   (耳の前を上がったラインと、瞳の中央を上ったラインが交わるところ)
   に愉気。 ( → 頚椎の硬直も弛む)

5.第2~第4胸椎の四側(肩甲骨の内側縁あたり)の硬直を外へ向けて押さえる。
  小さいヌルリとした塊の中に、更に小さい硬いもの(硬結)があるので、
  それをつかまえて愉気。

6.患側の上肢第七操法か、肩甲骨はがし。

7.患側の化膿活点(上肢第6調律点)を2~3回はじいて、上に向けて愉気する。

8.第4胸椎二側をしっかりと押さえる。


1.の上頚だが、たいてい麻痺がある側が硬直して第2頚椎が歪んでいるので、7対3ぐらいの割合で左右差をつけて押さえる。操法の極めに、坐位で最後にもう一度押さえることもある。

2.の顔の急所は、どちらかというと三叉神経のポイントの様に見えるものもあるが、顔面神経麻痺でもこれらの処に反応が出ており、愉気することで回復に効果を現す。

5.の第2~第4胸椎の四側の硬結だが、わかりにくい場合は伏臥で見てもよい。多くの場合第4胸椎の四側、肩甲骨の際の内側あたりにあるが、かなり小さな独特の感触がある硬結である。
これを上手くつかまえられると、操法の効果がはっきりする。人によっては、これを押さえると顔に響く感じがある。顔の麻痺を治す、魔法のポイントである。

7.の化膿活点は、顔面神経の系統の終末がこのあたりまできていると考えて良い。実は、化膿活点と肘の中間あたりに、化膿活点によく似た感じの硬結があり、これも顔面神経麻痺の急処である。よくわからなければ、化膿活点でも良い。

8.最後に第4胸椎をしっかりと整圧しておく。5.の四側の硬結もそうだが、第4胸椎を丁寧にしっかりとやっていくと、顔の形がどんどん変わっていく。


また、本人にも、顔の活元運動をやってもらう。活元運動を知らない人は、とにかく顔をいろいろに動かしてもらう。動かなければ、指で補助して動かしても良い。

顔面神経麻痺の治療は、発症してからなるべく時間が経っていない方が有利である。直後からなら、なお良い。
しかし、発症後半年以上経ってから操法を始めても、1ヶ月ぐらいでほとんど良くなってしまった人もいるし、交通事故で顔面神経麻痺になって数年経っているという人も、じわじわと改善してくるので、必ずしも発症直後からでなくても効く。


|

2012.01.12

身体気法会 「身体ゆらり講座 ~ 活元運動の会」のお知らせ!!  ~終了しました~

来たる、1月22日(日曜日)、身体気法会主催の「身体ゆらり講座~活元運動の会」 が、東京都中央区で開催される。

柳澤先生の身体気法講座・第3弾である。


「身体ゆらり講座~活元運動の会」

◆開催日 … 2012年1月22日(日曜日)
          午後2:00より5:00頃まで

◆場所  … 東京 中央区立産業会館 和室
       (〒103-0004 東京都中央区東日本橋2-22-4)
        TEL 東京03-3864-4666

        所在地案内
        http://www.chuo-sangyo.jp/access/access.html

 ◆時間  … 14:00より17:30頃まで

 ◆参加費 … ¥1,000


 ※ 全く初めての方も大歓迎。
   事前申し込みなしの当日の飛び込み参加も可。
   ただし、身体が動かせる楽な服装で・・・。


その他、不明な点については、身体気法会のHPからメールでお問い合わせを・・・。 
過去2回の講座の様子などもUPされているのでどうぞ参考に。

  身体気法会

活元運動とはなんぞや、という人は、前回の活元指導の会紹介記事(なぜか、突然ですます調)をどうぞ。

|

2012.01.09

口内炎

新年になって、口内炎・口角炎ができているという人が何人かいた。
口内炎ができると、「胃が悪いんじゃない」、と言われたりする。
口の中も消化管の一部であり、確かに食べ過ぎると口内炎ができることもある。
また、口内炎もひどくなると潰瘍化したりして、胃の異常と似たような状況が起こる。

口内炎は、ストレス・疲労の蓄積・睡眠不足などから起こることも多い。
年末年始で、生活が不規則だったり、飲み過ぎ・過食が続いたり、帰省などの疲労・ストレスなどで口内炎になっている人もいるだろう。

口の中の問題は、唾液の分泌に関することが一つ重要になる。唾液の不足が、口内の様々な異常と関わっている。
そこで、耳下腺・顎下腺・舌下腺などの唾液腺の働きを調整することが、口内炎などの口内の異常を治すために有効となる。

一つは、耳下腺・顎下腺を直接刺激する。耳下腺は、耳たぶの後ろの凹み。よく風船などを膨らまそうとして痛くなったりするところである。ここを、ふわっと押さえて愉気をする。強く押しすぎては、いけない。押さえることよりも、愉気するということに重点を置く。
顎下腺は、顎のウラを押さえて愉気する。親指でも他の指でもよいので、顎の骨の裏側を触るような感じで押さえて愉気をする。これも、押すというよりは、顎の裏に指を入れていくという感じで行う。

もう一つは、唾液が出ないことの主な原因となっている自律神経の乱れを調整する。この場合は、頭部第2調律点が良い。頭部第2調律点は、耳の前を上に登っていく線と、左右の目の中心を上に登っていく線が交わる2点である。ここを押さえて、じっくりと愉気する。

それから、上肢の急処も使う。肘の曲がり角と上腕にある上肢第5調律点・第6調律点を押さえておく。
これらの調律点は、化膿止め・消毒の意味で使う。
また、上肢第4調律点は消化器と関係が深く、ここも口内炎の急処である。

なお、同じ口の中でも、舌に症状が出るものは生殖器系、いわゆる婦人科系に問題があることが多い。舌というのは生殖器、特に子宮と関係が深い。
もちろん、生殖器に関連する処を調べなければいけないが、とりあえず以前記事にした恥骨の操法が効くことも多い。

それから、口の両端がただれたり切れたりする口角炎は、胃腸ではなく泌尿器系の変動である。
確かに食べ過ぎると口角炎になることがあるが、これは過食が続いて腎臓が疲労したために起こる。
過食を改めるのも当然必要だが、この時期は冷えと乾きも泌尿器に影響している。足湯水を飲むことを積極的に行なうと良い。

|

2011.12.30

喉につかえる 胸につかえる

正月になるとおもちを食べる機会があると思うが、毎年餅を喉に詰まらせて亡くなる人が出る。
日頃から、どうも物が詰まりやすいという人は、注意が必要だ。

同じ物がつかえるのでも、喉につかえる人は第6頚椎、胸に(食道に)つかえる人は、第4胸椎が硬くなり動きが悪くなっている。これらは、その一側・二側の硬直・硬結を弛めておけば、つかえなくなる。

いざ物がつかえてしまった場合は、喉なら第6頚椎、食道なら第4胸椎を叩く。隣の骨を叩かないように、左手の人差し指か中指を目的の椎骨に当てておいて、その自分の指の上から手刀(チョップ)で叩く。叩き方は、トントントンとリズミカルに。強さはいらないが、速度は必要。上手くやると、スッと通る。喉の場合は、咳と共にスポッと出てくることもある。

なお、第4胸椎は心臓と関係があって、叩くと気分が悪くなったり、唇が青くなったりするので、実地練習はお勧めしない。
ちなみに、第7頚椎は叩打すると一時的に視力が良くなる。叩き方の練習をするなら、第7頚椎が良いかもしれない。ただし、くれぐれも強く叩かないようにする。打つより引くに重点を置くぐらいでよい。

しかし、餅などの粘度の高い物が喉に詰まり気管をふさいでしまったときは、生兵法は怪我の元、救急車を呼んだ方が良い。
そして、掃除機で餅を直接吸引する。これで一命を取り留めた人は結構いるらしい。
もちろん掃除機は掃除の道具で救命機器ではないのだから当然リスクもあるが、いざというときは背に腹は代えられない。
できれば、細いノズルがあれば、なお良いという。
もっと良いのは、日頃から第6頚椎・第4胸椎が硬直しないように、調整しておくことだが・・・。

|

2011.12.21

胃潰瘍

胃潰瘍を治すのには、背部・腰部の脊椎操法だけでは難しい。頚部の操法が重要になる。

胃の働きが悪いような場合は第6・7頚椎の椎側が急所になるが、ストレスなどによる迷走神経の過緊張から胃酸の分泌が過剰になっている胃潰瘍の場合は、同じ頚でも耳の裏の骨(乳様突起)から胸骨・鎖骨に走る胸鎖乳突筋が急所になる。

胃の働きを操法でコントロールする場合、その働きを高めるのは第6・7頚椎。抑制するのは、第3・4胸椎である。これは、自律神経の働きをコントロールすることで胃の働きを調整するということだ。
それとは別に、胃を収縮させる・拡張させるというアプローチもある。収縮させるには、第1・2腰椎、拡張させるには第11胸椎を使う。
消化器の痛みというものは、大雑把に言えば臓器が 「縮んでいる」 ので、拡張反射を起こす第11胸椎を使う。働きが鈍って 「たるんでいる」 なら、第1・2腰椎を刺激して引き締める。

さて、胃潰瘍を持つ人は、大抵胸鎖乳突筋が強く硬直している。多くは、左側だ。
重要なのは、胸鎖乳突筋の停止部(一方の付け根)となる乳様突起である。この乳様突起の骨の裏を触るようなつもりで押さえると、骨にこびりつくように硬いスジやべたっと硬くなったようなところがある。
これを掴まえたら、ジッと押さえて愉気をする。これには少し時間をかけることが多い。たいてい2分ぐらい。短くても1分以上は押さえる。

次に、胸鎖乳突筋を後ろから前へ向けて押さえる。これは長く押さえず、5秒以内ぐらいで上から下に順々に刺激していく。
胸鎖乳突筋は、下の方に来て二つに分かれて胸骨と鎖骨に付くのだが、上から降りてきて胸骨側か鎖骨側どちらか硬い方の起始部(筋肉が骨に付くところ)をやはり1分程度愉気する。
(本来は、愉気は何分と決められるものではないが、一応の目安として・・・)

また、腹部第4調律点(左の季肋部)や背部の脊椎椎側も調整のポイントではあるが、それ以外に胃潰瘍や胃ガンの場合は、必ず運動器系にはっきりとした不調和がある。たとえば、腕が上がらないとか、背中が張る、腰が捻れない、頚が曲がらないなど。片方の頭がつっぱるなんていうこともある。
この体の運動系の不調和を調整することが、胃潰瘍を治していくために重要な要素になる。

臓器・器官の異常と結びついている運動器系の不調和を正していくのはとても重要で、例えば肺気腫・喘息などの呼吸器の異常は、必ず体の前屈傾向を持っている。この前屈傾向を正していくことが、呼吸器病を治していくのに必要になるのである。

|

2011.11.29

十二指腸

十二指腸の異常は、生殖器系(婦人科系)の異常と連動することがままある。

そのつながりを示す一例だが、十二指腸潰瘍は第2仙椎に反応がでるが、この第2仙椎は十二指腸潰瘍の判別点であるとともに、妊娠の反応点でもある。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍を判別するときに、第2仙椎を調べる。胃潰瘍では現れない異常が十二指腸潰瘍では現れる。食後痛むのは胃潰瘍、空腹時や夜間に痛むのは十二指腸潰瘍というのもあるが、第2仙椎を見る方が早くて確実だ。

妊娠すると第2仙椎に特徴的な過敏が現れる。妊娠4日目から現れると言われているが、以前人工授精をして3日という女性を観たところ、すでに第2仙椎に反応がでていた。
また、妊娠すると恥骨の上に変化がくる。恥骨の上、腹部の最下部が綿が入ったような感触になる。軽く触ってみると、綿球が横に並んでいるような感じになる。(ここを強く押したりしてはいけない) こちらは受胎後4日とはいかないが、それなりに初期から妊娠を知ることができる体の変化である。

さて、十二指腸だが、背部で観ると肝臓・胆嚢系統(第9胸椎・第2腰椎の右側)の変化を伴うことも多い。まあ、胆汁は肝臓で作られて、胆嚢に溜められ、十二指腸にでるのであるから、当然関連はある。
十二指腸潰瘍の痛みを胃と間違って処理しようとすると、かえって痛みが増してくる。十二指腸潰瘍は、第2仙椎と肝臓系統を押さえて愉気すると上手くいく。

|

2011.11.25

第2腰椎の下痢 第4腰椎の下痢

下痢には、止めた方がよいものと、止めない方がよいものがある。

下痢の時には、第2腰椎には必ず異常が現れる。第2腰椎の三側は、消化器の最大の急処だ。
この第2腰椎にだけ異常がある下痢は、止めない方がよい下痢である。この下痢は体の大掃除的な排泄反応だったり、冷えたことの精算だったりする。この場合、薬などで途中で止めると、かえって予後がよくない。出るものさえ出てしまえば、スッキリする下痢だ。

一方、第4腰椎に異常が現れる下痢は、止めた方がよい下痢である。第4腰椎に異常が出る下痢は、言ってみれば腸が壊れている状態なので、放っておいてはいけない。
老人や小児などは、第4腰椎に異常が出ていて腹部第3調律点(臍の下三横指)が虚だったら、命に関わることもあるので注意が必要である。下痢で命を落とすなどということは滅多にないが、老人と子供、そして時に更年期の女性だけは軽く見ると危険なこともある。

今の季節は、冷えからくる下痢も多い。この中には、第2腰椎の下痢も第4腰椎の下痢もある。
どちらの場合でも、足の甲の第3・4中足骨間の冷えの急所を押さえて愉気した後、脚湯(膝下まで熱めのお湯で温める。6~7分)をするとよい。脚湯の後、両足赤くなっていればこするようによく拭いて終わる。片足だけ赤くなり方が悪かったら、そちら側の脚だけ更に2分温める。

第2腰椎は胃、腸、肝臓など消化器全般と関係するが、大腸は主に第4腰椎である。
しかし、直腸・肛門辺りに来ると、また第2腰椎に異常が現れる。前回の痔の問題などは、この例である。

下腹部痛で第4腰椎に異常があるものは、大腸もあるが卵巣もある。また、膀胱も関係する。
卵巣の場合、硬直を押さえてもあまり変化が起こらない。その奥に必ず硬結があるので、その硬結をとらえて愉気しなければならない。

|

2011.11.22

心臓を強くする方法

前回、左足の小指が痔の急所であり、心臓とも関わると書いた。
そもそも、この左足小指の急所も、野中操法の活点の一つである “痔病一切奇妙” が整体操法に取り入れられたもののようだ。

ちなみに、私はこれら野中操法の活点を野中操法研究会の川島先生に教えていただいた。
“痔病一切奇妙” は左足小指の第一関節(指先に近い方の関節)の外側だが、整体操法では指の付け根の関節も痔の急処として使う。
どちらかというと、第一関節は切れ痔、第二関節はいぼ痔である。

整体では、痔と心臓は深く関連するものと見ている。心臓と肛門は、場所は遠いのだが関係性はきわめて近い。痔は心臓系統の病、と言ってもよいくらいだ。
また、左足の小指が痔と関係するのと同様、心臓も左小指と関連している。左足の小指・左の腸骨(骨盤)・肛門・心臓は連動しており、一蓮托生なのである。

足の小指を押さえて痔に卓効があるのは、どちらかというと女性に多い。男性の場合は、骨盤の動きが小さいので、腰椎で治す方が手っ取り早い。
この場合の急処は、第2腰椎の左三側である。ここの硬結を処理する。
特に出血する傾向のある痔には、ここが効く。


さて、人間の体は使えば強くなるようにできているが、平時はともかく今心臓の具合が悪いという人が、直接心臓に負担がかかるようなこと、つまり心拍数が上がるような運動などをするわけにはいかない。
ではどうすれば、心臓の弱い人が心臓そのものを強くできるのか・・・。

実は、簡単で効果的な方法がある。
それは、肛門を締めることだ。
肛門を意識的に、ギューッと締める。締めては弛め、締めては弛めを繰り返す。
心臓の悪い人は、肛門の締まりも悪い。肛門の締まりが出てくると、心臓もしっかりしてくる。

|

2011.11.02

右でも、左でもない。

人間の体は、右と左では機能が違う。

歩くという運動の成分でも、右足は推進力が強く、左足はバランスの微調整に特徴がある。陸上競技のトラックやスケートのリンクが必ず反時計回りなのは、この足の運動特性の左右差のためである。

内臓と左右の関係で言えば、右は肝臓、左は心臓である。
内臓が悪くて腕が痛いとか痺れるということがあるが、肝臓の異常で痛むのは必ず右腕である。心臓の場合は、左腕に出る。
中毒に関わる足の急所は肝臓系統なのだが 、やはり右が効く。心臓や痔(これも心臓系統)と関係するのは、左足の小指である。

傷が膿んだときや虫刺されなどにも使う化膿活点も、右半身に症状があるときは右を、左半身にあるときは左を使う方が大抵は適う。

脊椎椎側の操法でも、左右どちらかに焦点がある。

しかし、体には、右でも左でもない部分がある。
体の中心線と、その線上にある器官などである。

例えば、歯が痛むときなどは、顎の裏のリンパを押さえて愉気すると痛みが楽になる。
当然、右の歯なら右の顎、左の歯なら左の顎ウラを押さえるが、前歯の痛みだけは顎のウラを押さえても効きが悪い。

こういうときには、どうするか?

恥骨を押さえると、痛みが楽になる。

恥骨というと皮膚病の急処として有名だが、もちろん骨盤の一部なので骨盤調整にも使う。恥骨を用いて骨盤を調整する方法はなかなか効果的で、股関節の異常なども一緒に治ってしまうことも多い。
そして、体の中心線の調整にも恥骨を用いる。どういう作用機序なのかは解らないが、ともかく恥骨を押さえることで、中心線上のいろいろな異常に対処できる。

どういう症状が恥骨操法の適応になるかというと、上記の前歯の痛みの他、鼻の異常、のどの問題、気管、甲状腺、声帯などの異常である。
へそに膿がたまるとか、性器の異常などにも用いる。
子宮なども右とも左とも言えない臓器であり、やはり恥骨が効くことがある。

先日、舌の痺れを訴える人が来たが、やはり恥骨の調整で良くなった。
舌も、体の中で右でも左でもない領域にあるからだ。

もともと整体の恥骨の操法は、野中豪作氏の野中操法から取り入れられたものだという。野中操法にも、“全病一切奇妙”という中心線の治療術がある。整体操法のそれとは押さえる処も押さえ方も違うが、恥骨の皮膚病操法=“皮膚病一切奇妙” と同様、元ネタはやはり野中操法であろう。

整体操法には、愉気を主体とした気の感応を中心におきながらも、まさに “奇妙” としか言いようのない不思議な効果を持つ昔の療術の手法が随所に散りばめられている。
これもまた、整体操法の大きな魅力の一つである。

|

2011.10.17

身体気法会 「愉気法講座」 開催のお知らせ!!       ~終了しました~

来たる11月3日(木)祝日、身体気法会主催の「愉気法講座」が、東京都中央区で開催される。
前回の 「活元指導の会」 の好評を受けての、身体気法講座の第2弾である。


「愉気(ゆき)」 とは人間の気が感応し合うということを利用して、お互いの体の働きを活発にする方法である。

昔は、気を「輸る(おくる)」と書いて輸気としていたが、野口師はこれを愉しいの「愉」にかえて愉気とした。
いくら強くても陰気で荒い気を送っても仕方がない、明るく澄んだ陽気を相手に伝えて愉快な気持ちと体で生きていこうということだ。
それはまた、気というパワーを一方的に送るのではなく、お互いの関係性の中に気の感応をはかることにこそ愉気の真髄があるということでもあろう。

整体操法では、体を整えるために様々な技術が用いられるわけだが、その全ての操法の根底にあるものは愉気である。
操法では体の何を観ているのかといえば、骨格のゆがみや筋肉の硬直・弛緩なども観るわけだが、それ以前にふっと観たときの気の感じ、触って感じられる気の状態、そういう所を読み取って体を調整するのである。
そもそも操法では、始めの着手から愉気をもって触れていく。相手の呼吸を読み、同時に気の張弛を読み、機をはかって着手に至る。

もちろん操法を行うとするといろいろ技術的なことが問題になってくるのだが、愉気そのものは誰にでもできる。

そして操法にしても、そこに深い愉気が行われていなければ、いかにスパッと技を決めてみても、押したり抜いたりが上手でも、体はなかなか根本的には変わらない。
逆に、押したり引っ張ったりするのが多少下手でも、愉気さえ出来ていれば体は変化することが多い。
整体は、まさに愉気の技術なのであり、「愉気に始まり、愉気に終わる」 と言っても過言ではない。

愉気は、日常多くの場面で役に立つ。家庭療法としても役に立つし、それこそいざ大きな災害が起こったときなども愉気を知っていれば心強いことだろう。小さいお子さんのいる方や、これから妊娠を考えている人には特にお奨めしたい。
ケガでも病気でも、薬を飲んだり塗ったりしないと治らないものだと思っている人もいるが、実はいつでも治っていく主体は体そのものの働きである。自然治癒力とか、免疫力などと言われるものである。
その体の働きを高める、つまり治っていく力を高めるのには、私が知る限り愉気は最高のものの一つである。

さて、主催者の柳澤先生であるが、継続的開催を求める声に応えて、今後2~3ヶ月に一度程度、東京で定期的に講座を開ければ・・・、という構想もお持ちであるようだ。
整体の本流を修めてなお整体の枠を飛び越えたともいえる、柳澤先生の身体気法の世界は、もちろん整体の専門家にも勉強になるが、かえって初学の人にこそ是非とも触れて欲しい内容である。
また、季節と体の関係や体癖論など、先生の引き出しは果てしなく多い。今後の展開が、非常に楽しみである。

「愉気法講座」 の詳細は、近日中に身体気法会のHPにUPされることと思うので、そちらの方を確認していただきたい。
(すでに、UPされています。 → 身体あかり講座~愉気法

|

«今朝の涼しさ