夏の健康生活 (1)
夏は、汗が出るように体を整えておけば、あまり体調を崩すことはない。汗が出ないと、体温調節がうまくいかなくなるので、とたんに具合が悪くなる。のぼせやすくなり、暑気を起こしやすくなる。
暑くても汗が出ないという人は、第5胸椎が可動性を失っている。押さえて揺すぶってみても、ガチッと硬く弾力もない。第5胸椎とは、頚の下から数えて5つ目の背骨(椎骨)で、発汗と関係が深い。この第5胸椎を調整して可動性を回復させると、自然に汗が出るようになる。
最近は、汗をかくことを嫌う風潮があるようだ。しかし、本来 「発汗」 は、とても重要な体の働きの一つである。 「なるべく汗をかかないようにする」 など、もってのほかである。体温調節はエアコンでするものだと思っている人が多いが、まずは、体に備わっている体温調節の機構である 「発汗」 がうまく機能しなければ健康は保てない。
また、「発汗」 には、体温調節以外にも重要な役割がある。それは、排泄の働きである。大、小便からは出なくても、汗からは排出できる毒素はとても多い。夏は、「発汗」 による体の大掃除の季節でもある。夏の間に、しっかり汗をかいて、体の中の老廃物・毒素を排泄しておかないと、年毎にどんどん悪いものをため込んでしまうことになる。そして、排泄の滞りは老化を促進させる。汗をかくべき季節には、やはりしっかりと汗をかかなければいけない。
夏は、とにかく正常に汗をかいていれば、おおむね健康で過ごせるが、「発汗」で体の中の水分と塩分が出ていってしまうので、これらを上手に補うことが必要になる。
夏の水分補給は、冷たい物や生水よりも、お茶などの温かい飲み物が適している。そして、汗で失われた塩分を補給するのには、「梅干し」がお奨めだ。えぐみの少ない番茶か、薄茶と梅干しなどは、とても良い組み合である。
夏の暑いときに、頭がボーっとしたり、急に体の力が抜けたようになるときは、塩分が不足していることが考えられる。そういうときは、梅干しを食べてもいいし、直接塩をなめてもよい。体に塩分が足りないときは、塩をなめても甘く感じる。そのまま少しずつなめていくと、急に塩辛く感じるようになるときがくる。塩辛く感じたら、そこで終わりにする。できれば塩は、天然塩が良い。天然塩であれば、発汗で失われる、いろいろなミネラルの補給にも役立つ。