さらに簡単!片噛み解消法。
前回に引き続き、今回も食べ方に関するお話を一つ。今回は、「片噛み」の解消法について。
食べるときに、左右どちらか片側ばかりで噛む癖があると、だんだんと顔の形が歪んでくる。目の大きさに左右差が生じたり、どちらかの頬が縮んだり、鼻筋が曲がったり、歯が片減りしたりする。
片噛みが常習になると、咀嚼筋を始めとする顔の筋肉がアンバランスになるのだ。そして、筋肉だけでなく顔の骨格も歪んでくる。この骨格が歪むというのは顎関節だけの問題ではなく、頭蓋骨自体が歪んでくるのである。
頭蓋骨は、一つの大きな骨のように思われている方もいるかもしれないが、実は23個もの骨が組み合わさってできている。ガイコツの絵を描くときのギザギザが、それらの骨のつなぎ目で縫合部という。いつも左右の同じ側だけで物を噛んでいると、頭蓋骨の骨組みが、だんだんと歪んでくる。
最近では、その影響が背骨に及んで、頭痛や肩こり、腰痛が起きたりすることが、テレビの健康番組などでも話題にされている。また、医学博士・西原克成氏によって、片噛みが免疫力の低下を招くことも指摘されている。
片噛みが起こる原因は、いろいろある。虫歯になって痛い側で噛まないようにしているうちに癖になってしまったり、腰椎や骨盤の仙腸関節、股関節、足首などに歪みがあり、それが片噛みの癖と関係しているということもある。うつ伏せ寝や横向き寝など、寝相が原因で顔の骨格(及び全身の骨格)が歪み、そのために片噛みが起こるという説もある。
虫歯の場合などは別として、片噛みが起こることは生まれ持った個人的な運動習性に端を発すると考えられる。整体ではこの個々人の体の運動の癖を「体癖」呼んでいる。この体癖によって、体の重心の左右偏りなども決まってきて、噛みやすい側も決定される。寝相が片噛みの原因だとしても、寝相自体が体癖的な現象ともいえる。
今回は、そういう話は脇に置いておいて、とりあえず片噛みだけを何とかしてしまう方法をご紹介する。それは、大きく顎(あご)を動かして物を噛むということ。
大きく顎を動かして、もぐもぐと物を噛むと、口内の食物を舌が自動的に右に左にと移動させる。舌にはもともと、そういう機能が備わっているのだ。大きく顎を動かして食べると、逆に片側だけで食べる方が難しい。
コツは、とにかく大きく顎を動かすこと。始めのうちは、少し大げさなぐらい動かすといい。咀嚼に会わせて、こめかみが動くのがわかるくらいに大きく噛む。
以前、「発掘!あるある大辞典」という番組で、顔の歪み(片噛み)のことを特集したときがあった。そのとき、ゲストの誰もが左右どちらか片側で噛んでいた中で、司会の堺正章だけが左右バランスよく噛んでいたが、彼の顎もやはり大きく動いていた。
片噛みの癖があるかどうかということは、普通はあまり自覚がないものなので、一度チェックしてみてはいかがだろうか。もし、片噛みの傾向があるようなら、大きく顎を動かすことをお試しあれ。ただ、慣れないうちは舌を噛みやすいのでご注意を。