またまた、「水」を飲むということ
体の乾くこの時期、治療院でも「水」を飲むことを奨めている。体が徐々に乾き出すのは、秋の彼岸過ぎくらいから。10月も半ばになると、ベテラン組には「そろそろ水分ですね」と、こちらが言う前に先に言われてしまう。私が毎年うるさく「水」、「水」と言うからかと思ったが、そうではないらしい。2年、3年と水分補給に気をつけていると、体の乾きに敏感になり、自然と水分を欲するようになるようだ。
私が「水」、「水」と言うようになるのは、だいたい11月に入ってから。このぐらいの時期になると、くちびるが乾いたりして、乾きの実感も出てくる。しかし、初めて言われた方の中には、冬に「水」を飲むということに抵抗のある方が意外と多い。
どうも、寒くなってくる時期に「水」を飲むのは、体が冷えて良くないのではないかと思うらしい。なんとなく、暖かいものの方が体に良いのではないかという先入観のようなものができあがっているようで、「お茶や紅茶より、水の方が体が潤います」といっても、なかなか賛同が得られない。
なるべく「水」を飲むのは避けたいらしく、「それでは、ハーブティーならいかがでしょう」と次なる候補を上げる方もいる。中には(なぜか)憤然として、「お茶は体に悪いのですか?!」と気色ばむ方もいる。(笑)
もちろん、お茶や紅茶、コーヒー、ハーブティーも飲んでかまわない。また、それらの飲み物にもそれぞれ良いところはあるのである。しかし、体が潤うということを考えると、「水」を飲むのが一番良い。というか、「水」でないとダメなのである。
これは、体験してみるとすぐにわかる。体の潤う感覚が鈍い人は、すぐにはわからないかもしれないが、1ヶ月も続けるとわかるようになる。「水」を飲むのと、お茶や紅茶などでは、吸収が全く違う。お茶や紅茶など、「水」以外のものでは潤わないのである。
また、体は潤っているほど寒さにも強い。体が乾いて干からびてくると、とたんに寒さが堪えるようになる。その意味からも、冬に水分吸収の良い「水」を飲むことは大切である。
子供などは体の要求に敏感なので、寒い真冬でも水をゴクゴク飲む。屋外で遊んでいるときでも、食事中でも、お風呂でも、どこでも「水」を要求し、たくさん飲んでいる。
大人になると変に知恵がついてしまい、体の要求よりも頭の中の先入観が勝ってしまう。それをくり返しているうちに、体の要求自体がはっきりしなくなり、次第に「水」を飲まなくなってしまうのだ。
人間の体は、60~70%は水分であるという。水分の摂取は、体にとって重要なことである。「水」を飲むことは、簡単でいて効用がたくさんある。
論より証拠、百聞は一見にしかずである。「水」を飲むことの効用を、そして身体が潤うことの快適さを、ぜひ体で実感して欲しいと思う。