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April 2005

ぎっくり腰予防

最近、重いものを持ち上げようとして腰を痛めたという人が何人か続いて来院した。その方達に、「重いものを持ち上げるときは、息をお腹に吸い込んで、そのまま息を止めて動作すると腰を壊しませんよ」とアドバイスした。すると、その中のある方が、「え?息は吐きながら持ち上げるのではないのですか?」と訝しげにしている。よく聞いてみると、その方が通っているスポーツクラブでウエイトトレーニングをするときに、「息を吐きながら」と指導されているらしく、それをそのまま荷物運びにも運用したらしい。

ウエイトトレーニングでは、ポジティブ運動のときは息を吐きながらおこなうことが一般的である。ポジティブ運動とは、運動の主動筋が収縮する方向の運動である。腕立て伏せであれば、上腕三頭筋・大胸筋などが収縮する「体を押し上げる動き」がポジティブ運動。
反対に、ゆっくり「体を下ろしていく」方はネガティブ運動という。このときは、主動筋は少しずつ伸びながら力を出している。ネガティブ運動のときは、自然呼吸が良いとされる。
ポジティブ運動のときには、呼吸を止めず息を吐きながらおこなうことで筋肉への酸素供給が十分になり、疲労物質もたまりづらい。そのため、息を吐きながらおこなうと筋肉が固くなりにくいとされている。しかし、これは筋肉増強のためのトレーニングにおける特殊な呼吸の仕方である。普通は、重いものを持ち上げようとするときには、誰でも自然に息が止まる。

少し息を吸って、「うむ」とお腹に圧力がかかるように息を止める。そうすると腹圧が高まり、全身の力を集中しやすい。丹田に力の集まった状態だ。当然、腰も壊しにくい。
また、腰椎は筋肉だけでなく、同時にお腹の内圧、つまり腹圧でも支えているので、息を吐いて腹圧が下がった状態では大きな力は出せないし、無理をすると「ぎっくり腰」を起こす。
重いものを持ち上げるときは、まず自分の立ち位置と体勢を決めてから持ち上げることが大切だ。立ち位置が持ち上げるものから遠いと、腰にかかる負担が大きくなる。そして、少なくとも持ち上げる瞬間は息を止めていることが腰を壊さないコツである。

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