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エアコンは上手に使おう

このところ、エアコンで冷えたために体調をくずしている人がとても多い。冷えたことそれ自体の影響と、汗が出なくなったために起こる体の変調だ。

当たり前のことだが、夏は必ず暑い。そのため、体は暑さに適応すべく、ちゃんと「夏仕様」になっている。汗腺が開き、汗は出やすい。寒い冬と違って、皮膚も筋肉もゆるんでいる。そんな夏用の体は、当然冷えることには弱い。特に汗をびっしょりかいたまま、急にエアコンのきいた部屋に入ったりすると、たちまち汗が内攻する。
汗をかいて、それが冷えることで体に悪影響を与えることを、整体法(野口整体)では「汗の内攻」という。自分でかいた汗が、自分を攻めるという意味である。ただ冷えるのに比べて、汗をかいている状態で冷える方が、体に対するダメージは断然大きい。
夏はたえず汗をかいているので、エアコンによって汗が内攻するケースはとても多い。

外を歩いていて、エアコンの効いたお店に入ったり電車に乗ったりする場合は、よく汗を拭くことが大切だ。特に頚の汗は、よく拭いて内攻させないようにしたい。頚の汗を冷やすと、体にとって悪影響が大きい。あらかじめ、エアコンがきついところに行くことがわかっていれば、女性ならスカーフなどを用意するといい。男性も、襟のある服で出掛けたい。

エアコンをかけたまま眠って、寝冷えをしたとか膝が痛むようになったとかいう場合は、起きがけの朝風呂に入ることが有効。この場合、熱めのお風呂にサッと入る。ぬるい湯にゆったりでは、あまり効果がはっきりしない。

夏という季節は、汗を上手にかいていれば、おおむね健康に過ごせる。発汗が自然におこなわれている人は、暑さに強い。汗を内攻させることはいけないが、汗をかくこと自体は大切だ。汗が出ないと、体温調節がうまくいかないため、のぼせやすくなり、熱中症も起こしやすい。また、汗には老廃物・毒素の排泄の働きもあるので、汗をかける時期にどんどんかいておかなければいけない。

一日中エアコンの効いた部屋にいるような生活だと、汗をかけない体になってしまう。そうなると、ちょっとした暑さでも、すぐにのぼせたり暑気がするので、ますますエアコンから離れられなくなる。そして、どんどん発汗できない体になるという悪循環にはまってしまう。仕事などの関係で汗をかけない環境にいる人は、入浴や運動などを利用して汗をかく機会を、意識して日常生活の中につくる必要がある。

また、エアコンの設定温度が低すぎることも問題。夏は暑いのが当たり前で、体もそのようになっているのだから、ひんやりするほど冷やすのは体に良くない。座っていて動かなければ涼しいが、ちょっと動くとじんわり汗が出る、といった程度の温度で十分だと思う。
まったく汗をかかないような冷え切った部屋に籠もって夏を過ごすのは、体の自然を破壊していく。地球温暖化の問題ももちろんなのだが、それ以前に自分の体のためにもエアコンの設定温度を上げて欲しい。

ここ十数年ほどで、日本の夏は急激に暑くなった。体温よりも気温の方が高い日もあるくらいだから、エアコンを使わないで生活するということは、ちょっと難しい。もちろん、エアコンが悪いわけではなく、問題は使い方である。体の自然を乱さないように、上手にエアコンを使うコツを体得していきたい。

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