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June 2009

注文の多い治療院?

当院のHPに、予約のお電話をおかけいただく前に必ずお読みくださいとお願いしている、「治療についての注意と予約について」(治療を希望される方へのお願い)というページがある。ここには、予約のシステムや、操法を受けるにあたっての注意事項、ご用意いただく着替えなどについて、あれこれ書いてある。
また、初めて来院された際には、ほぼ同様の内容が書かれているものを、操法についての説明の冊子とともにお渡ししている。

これらの中身は、操法をする側、受ける側、お互いが気持ちよく向き合えるように、またお互いできるだけ操法に集中できるようにということを目的として、お願いしているものだ。そのために、ご用意いただくものもあるし、守っていただくルールもある。
またこれらは、自分以外の来院者の迷惑にならないように、みんなで最低限のマナーを守りましょう、ということでもある。

といっても、たいしたことをお願いしているわけではない。
いろいろ書いてあるが、大雑把にまとめれば、

 ・ なるべく集中して操法を受けられるようにしましょう
 ・ 他の人の迷惑にならないようにしましょう
 ・ お互い、最低限の礼節を守りましょう

ということだ。

それでも、「ここの治療院は、うるさいことばっかり言う」という顔をされる方も中にはいらっしゃる。問い合わせの電話では、実際にそう言われる方もいる。(HPを見たのだろうから、イヤなら電話してこなければいいのにとも思うが…)
また、実際に来院されて、「まあ、サービス悪いのね」 といった感じの方もいるが、操法は、ドテッと寝転んで、「さあ、揉んでくれ」 といった類のものではない。お互いが、生命に対する礼節をもって、ある意味厳粛に臨むものである。
その自覚を持っていただくためにも、自分で使うものは負担にならない範囲で、ご自身で用意していただくし、当院の方も過剰なサービスは一切ない。

確かに、うるさく言う事柄もある。
それは、時間についてだ。
「予約時間の10分前までにおいで下さい」
「予約時間においでにならない場合は、治療をキャンセルさせていただくこともあります」
これは、後の予約の方に迷惑がかかりますので、時間厳守でお願いしますということだ。

「こっちは忙しい中、時間を割いて通ってるんだ。そんなに、毎回時間通りにこられるか」

などと、おっしゃる方もいるが、
「貴重な時間を割いていらしているのは、みんな同じです。
あなたの後に5人の方が続いていたら、あなたが遅れたら、
後の5人の人に迷惑をかけます。
最初から間に合うかどうかわからない時間には、予約を取らないで下さい」 
と言いたい。

実際には、電車が遅れたり、出掛けにお腹が痛くなったりと、やむをえない事情で遅れる場合もある。
もちろんそういうときは、こちらもできる範囲で融通を利かせる。
何でもかんでも、額面通りにということではない。
こちらがお願いしているのは、心構えと気遣いの問題だ。

いつも同じことを書くが、操法とは、お互いが礼節をもって真摯に取り組むべきものと考えている。
別に鹿爪らしい顔をして、儀礼的になる必要はない。堅苦しいのは私も苦手である。
ただ、操法は掛け替えのない命に対しておこなわれるもの、ということをお互いがしっかりと肝に銘じていることは大切だと思う。

一回一回の操法は短い時間ですが、一期一会の気持ちで、より良い時間を共有しましょう。

頭の緊張 ・眼の緊張

この記事を読む前に、まずは眼を閉じて、ゆっくり一から十まで数えていただきたい。
はい、どうぞ!


さて、あなたはおおよそ十秒間、眼を閉じていられたであろうか?
閉じていられた方は、頭の(脳の)緊張が適度で、それなりにリラックスしている人だ。
十も数えていられず、すぐに眼を開いてしまった方は、頭の緊張が強い人。
眼を閉じずに、ここまで読み進めた人は、さらに頭の緊張が強い人だ。
もしくは、とてもせっかちな人だが、その場合でも、もともと頭の緊張度は強い人といえる。

眼を閉じるという行為は、脳の緊張(興奮といってもいい)と密接に関連している。
脳の緊張が強いと、眼を閉じることが難しくなる。

操法において、仰臥で頚を触る場合など、相手の方が眼を開いていたら、閉じてもらう。
これは、眼を開いていると頚の緊張が抜けづらく、弛みにくいからだ。
頚が弛まないというのは、頭の緊張が抜けないということとイコールである。

しかし、ある程度以上に頭の緊張が強い人は、「目を閉じてください」と言っても、閉じることができず、眼をぱちぱちしている。
「眼を閉じづらいですか?」 と聞くと、本人も閉じられないのが意外らしく、戸惑いながら「はい」 という。
本当に緊張が強い場合は、眼を閉じようとしても閉じられないのだ。
無理に閉じても、まぶたがピクピクと痙攣する。

また、頭が緊張している人、頭が疲れている人は、眼を閉じても絶えず眼球が動いている。
まぶたの上から直接触って眼に愉気することがあるが、頭が弛まない人は、クルクルと眼球が動くのを指の下に感じる。
浅い眠りで、夢を見ているときと一緒である。

脳と眼は、とても近い関係にある。眼は、脳の出先機関のようなものである。
また、眼は心の窓とも言うが、心の平静を欠いているとき、つまり頭の中が正常でないときは、目つきもまたおかしい。

現代では、多くの人が眼を酷使している。眼そのものも疲れているが、その影響は頭にもいく。
パソコンでも読書でも、頭が疲れる前にまず眼が疲れてしまうこともある。
そして、眼が疲れると頭もボーっとして、役に立たなくなる。

そんなときは、蒸しタオルで眼を温めると良い。
眼の疲れも取れるが、同時に頭の緊張も弛む。

蒸しタオルは、しぼったタオルをレンジで温めてもいい。ただし、かなり熱くなるので火傷しないように注意が必要。
温める時間は、6~8分ぐらい。
できれば片眼ずつ温めると良いが、面倒だったら両方一度に温めてもいい。
よく冷めないようにと蒸しタオルをビニール袋などに入れる人がいるが、この場合はだんだんに冷めていくという温度の変化が体に良い影響をもたらすので、直接当てた方がよい。

産後の整体

妊娠中の整体は、継続して当院に通われている方のみを対象としておこなっているが、産後の体の立て直しを目的とした操法は、どなたでもお受けしている。
ただし、「やせたい」、「キレイになりたい」、という美容が第一目的の方には、残念ながらご期待に添えないと思う。

最近、「産後に骨盤を整えると、やせてキレイになる」ということが、いろいろなところでいわれるようになった。
それらの情報・理論・体操の大部分は、元をたどると何らかの形で野口整体につながっているものと思う。
しかし、残念ながら、野口整体の理念や技術はどこかにいってしまって、 「骨盤を整えるとやせる」 ということだけが、一人歩きしている感がある。

たしかに、産後に骨盤を中心に体を整えていくと綺麗になる。スッキリとやせてスマートになる人もいる。
しかし、それはあくまでも、「体が整った」、「元気が満ちた」、「健康になった」 ということの表れであって、始めから「やせる」ことを目的として操法するものではない。少なくとも、私はそう思っている。
そう思っている私がおこなう操法であるから、美容を第一に考えていらっしゃる方には合わないであろう。

そもそも心に屈託がなく晴れやかで、体が整っていれば、妊娠中や出産後の女性は、とても美しい。
生命力に満ちて、女性だけが持つ力をこれ以上ないほどに発揮している姿である。
そして、その美しさの源は、母性にあるのだと思う。
妊娠中や出産直後は、女性がもっとも強く母性を発揮するときだ。その母性の発露としての美しさは、神々しいとさえいえる。
そういう美しさに接する機会が多いことは、私にとっても幸せなことだ。

しかし、中には産まれたばかりの赤ちゃんのことなど頭の隅にもなく、自分の体重が減ることばかりに関心がある人もいる。
操法を受けに来ても、産後の体調や母乳の出具合について、また夜泣きなどの赤ちゃんに関することに話を向けても、全く興味のないふうで、ただひたすら 「骨盤は閉まっていますか?」、「まだもう少しやせますか?」と、そんなことしか言わない。
そういう気持ちのあり方が、赤ちゃんが生まれて、まさに今、一日一日育ちつつあるときの母親の当たり前の心の状態だとは、とても思えない。
そんな母性のかけらもない、自分のことしか頭にない人が、たとえ痩せようが腰周りが細くなろうが、私には全く美しくなったとは思えない。

そういう人と私は、美しいということに対する感受性が全くすれ違っているので、お互いにどこまで行っても平行線だ。
というわけで、美容目的で産後の整体を受けたいという人には、期待に添いようがないのだ。

しかし、そもそも妊娠しても、出産しても母性が育たない人は、やはり体の自然を失っている人だ。
心も体も自然な人は、母性も自然に湧いてくる。
妊娠前から体を整えることを勧める理由は、ここにもある。
母性も母親としての自覚も、体の状態と無関係ではありえないのだ。
また、体が整っていれば、心身両面で子育ても楽になる。


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