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産後の整体

妊娠中の整体は、継続して当院に通われている方のみを対象としておこなっているが、産後の体の立て直しを目的とした操法は、どなたでもお受けしている。
ただし、「やせたい」、「キレイになりたい」、という美容が第一目的の方には、残念ながらご期待に添えないと思う。

最近、「産後に骨盤を整えると、やせてキレイになる」ということが、いろいろなところでいわれるようになった。
それらの情報・理論・体操の大部分は、元をたどると何らかの形で野口整体につながっているものと思う。
しかし、残念ながら、野口整体の理念や技術はどこかにいってしまって、 「骨盤を整えるとやせる」 ということだけが、一人歩きしている感がある。

たしかに、産後に骨盤を中心に体を整えていくと綺麗になる。スッキリとやせてスマートになる人もいる。
しかし、それはあくまでも、「体が整った」、「元気が満ちた」、「健康になった」 ということの表れであって、始めから「やせる」ことを目的として操法するものではない。少なくとも、私はそう思っている。
そう思っている私がおこなう操法であるから、美容を第一に考えていらっしゃる方には合わないであろう。

そもそも心に屈託がなく晴れやかで、体が整っていれば、妊娠中や出産後の女性は、とても美しい。
生命力に満ちて、女性だけが持つ力をこれ以上ないほどに発揮している姿である。
そして、その美しさの源は、母性にあるのだと思う。
妊娠中や出産直後は、女性がもっとも強く母性を発揮するときだ。その母性の発露としての美しさは、神々しいとさえいえる。
そういう美しさに接する機会が多いことは、私にとっても幸せなことだ。

しかし、中には産まれたばかりの赤ちゃんのことなど頭の隅にもなく、自分の体重が減ることばかりに関心がある人もいる。
操法を受けに来ても、産後の体調や母乳の出具合について、また夜泣きなどの赤ちゃんに関することに話を向けても、全く興味のないふうで、ただひたすら 「骨盤は閉まっていますか?」、「まだもう少しやせますか?」と、そんなことしか言わない。
そういう気持ちのあり方が、赤ちゃんが生まれて、まさに今、一日一日育ちつつあるときの母親の当たり前の心の状態だとは、とても思えない。
そんな母性のかけらもない、自分のことしか頭にない人が、たとえ痩せようが腰周りが細くなろうが、私には全く美しくなったとは思えない。

そういう人と私は、美しいということに対する感受性が全くすれ違っているので、お互いにどこまで行っても平行線だ。
というわけで、美容目的で産後の整体を受けたいという人には、期待に添いようがないのだ。

しかし、そもそも妊娠しても、出産しても母性が育たない人は、やはり体の自然を失っている人だ。
心も体も自然な人は、母性も自然に湧いてくる。
妊娠前から体を整えることを勧める理由は、ここにもある。
母性も母親としての自覚も、体の状態と無関係ではありえないのだ。
また、体が整っていれば、心身両面で子育ても楽になる。


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