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断食

最近、私の周りでなぜか断食の話題がよく持ち上がる。

断食は、飽食の現代人にはとても有効な体質改善法であり、病気によっては強力な治療法ともなる。
が、しかし、実際に断食をするのは結構難しい。
それは、断食を完遂する意志力のことではなく、断食がかえって体を壊す危険とつねに隣りあわせであるということだ。

特に、断食では、徐々に食を戻していくところが難しく、ここで失敗すると、かえって体を悪くすることがある。
始めは、しっかりとした指導者の下で行うことが基本だが、そこのやり方が自分に合うかどうかという問題もあって、なかなか難しい。

そこで私はというと、大体年に1回~2回は、数日間の絶食をしている。

と言っても、計画的に行っているのではなく、大風邪を引いて食欲がなくなるというだけのことなのだが、これが結果的に良い断食になっている。

高い熱が出るような本格的な風邪のときには、食欲が落ちることが多い。
このときに無理に食べるのは良くない。風邪のときは内臓も風邪を引いているのだから、内臓も一緒に休ませてあげることが必要だ。
動物でも病気や大きな怪我をしたときは食べなくなるが、人間も食べないでいる方が、風邪の経過がスムーズになる。逆に栄養価の高いものを食べると、風邪は長引く。
昔は栄養事情が悪かったので、風邪を引くと栄養のあるものを食べさせようとしたのだろうが、現代人はほとんどが栄養過剰だから、風邪のときくらい食べなくてちょうど良いのだ。

名づけて 「風邪断食法」、この方法の良いところは、そもそも食欲がないのだから、食べないことが苦痛でない。
更に、風邪の経過も良好にする。
また、断食は本来一人ひとりの体の状況に応じて個人的に計画を立て、さらに体の変化に応じてどんどんスケジュールを変えていかなくてはならない。
それをしっかり指導できるだけの人間の体を見る力のある人はなかなかいない。
本来断食は、みんなと一緒に、計画表通りにやるものではないのだ。
しかし、風邪のときは、自然に食欲が落ちて、体の回復にあわせて食欲が戻っていくので、割合自分の体に合った形で進めやすい。(というより、勝手に進んでいくのだが…)
「こんなに何日も食べなくて平気だろうか?」、などと不安になって、食べたくもないのに何かをお腹に突っ込んだりしなければ大丈夫だ。
 
当然、重湯、お粥など、体に負担でないものを少量ずつとり始め、徐々に質量ともにふだんの食事に近づけていくのだが、基本的には食欲の戻りにあわせていけばよい。
このときは、体と相談しながら、焦らずゆっくり戻していくことが大切。物足りないくらいがちょうど良い。

日頃食べ過ぎてしまう人も、ここで自分の体に向き合い、からだの要求を知ることで、自分の適量も分かってくる。
余分に食べていたおやつやお菓子、コーヒーなどの嗜好品も、風邪のあとは欲しくなくなることがある。
そうなったら、体の要求にしたがって食べないよう、飲まないようにする。お酒も同様。
風邪の後は、体の感覚がリフレッシュして敏感になるので、食べたいもの食べない方が良いものが自然に分かるようになるし、適量もよくわかる。この感覚を鈍らせないように生活していくことができたら、風邪が活かせたということだ。

操法をする立場の人間にとっても、風邪を引くことは好ましい。風邪を引いたあとは、手の感覚が鋭敏になる。
風邪のときは、自然と絶食にもなっているので、なおさら感覚は研ぎ澄まされる。
ボクサーなども、減量が進むほどに感覚は研ぎ澄まされていくという。
そもそも、野生では感覚が鈍ったら生き抜いていけないのだ。
それに比べると人間は、体が重くなるほど食べ過ぎていて、それが元で病気になったり、あえて断食が必要になっていたりするのだから、本当に良いご身分なのである。

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