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February 2010

妊娠中の散歩

妊娠中は運動が不足すると、とたんに体が重くなり体調が悪くなってくる。運動不足は、妊婦さんには大敵なのである。
妊娠中の運動は、歩くことがもっとも良い。マタニティ・ヨーガとか、マタニティ・ビクスのようなものもあるが、かえって体を壊してくる人が多い。普段からそういうことをしている人はいいのかも知れないが、体を動かす習慣がなかった人が妊娠してから急に始めるのは、リスクの方が大きい。
中には、5ヶ月を過ぎてからジョギングを始めた人もいたが、やはり体には負担の方が大きかった。
プールは、運動の質としては良いかもしれないが、冷えるのが欠点だ。妊婦にとって、冷えもまた大敵なのである。

妊娠中の散歩は、腰・骨盤の力を強くする。毎日ゴロゴロしていて、腰や骨盤の力が抜けてしまっては、安産は望めない。
また、妊娠中の散歩は、体調を調えるためにも役立つ。今日は朝から調子が悪い、などというときに、歩いてきたらスッキリした、というような散歩術を身につけたい。

散歩をする上で大切なことは、自分の気持ちのよいペースで歩くということである。それは、日によっても違うだろうし、同じ1回の散歩の中でも、前半と後半では違うかもしれない。
自分の歩幅、自分のペースで歩くには、一人で歩くことが大切である。誰かと一緒に歩くと、自分に合わせてもらっても、やはり本来の自分のペースとは違ってしまう。

また、買い物の行き帰りなどは、この場合散歩に含まれない。妊婦の散歩は、歩くことそのものを目的に歩くのである。
そして、その時間はお腹の中の赤ちゃんとゆったりと共有する愉気の時間である。そういうつもりで歩くのが良い。

歩く時間は、一応30分~1時間ぐらいを目安にするとよいと思う。もちろん体調に応じて、もっと長く歩く日があってもよいし、短くなってもよい。
妊娠中は、疲労をためることはよくない。翌朝起きられないなど、翌日に疲れを持ち越すようだと歩きすぎということになる。

散歩は、気持ちのよいペースが基本だが、その中に20歩大股で歩くことを5回ほど入れるとよい。自分のペース・歩幅をちょっと破ることで、運動の不足があれば補えるし、逆に過剰があれば疲労感がはっきりするので調整しやすい。ときには、運動の過剰がわからなくなってしまうこともあるのである。

当院に通われて出産された方達は、お産が軽い人が非常に多い。そして、お産にかかる時間がとても短い。
そして、お産が軽い人、時間が短い人は、みな熱心に歩いた人である。
初産でいうと、最短記録をもっている人は、病院について3時間半で出産されている。そして、初産でも4~5時間ぐらいの人は珍しくない。
もちろん、単純に早ければよいということでも無いが、時間がかからないということも、お産が軽いという一つの指標になる。
初産で時間が短かったひとの多くは、40才前後の妊婦さんである。アラフォー世代の初産は、産婦人科で、「大変ですよ」 と脅されるらしい。そのため、少しでも良いお産、楽なお産を目指して、頑張って歩くのである。その結果、安産につながるのだ。
かえって若い人の方が、歩くのを面倒くさがる傾向があるかもしれない。

家畜として飼育されている乳牛は非常にお産が重く、人間が介助しないと出産できないのだそうだ。しかし、同じ乳牛でも、森林放牧などの自然に近い環境に置くと、自力で出産するようになるという。
もちろんいろいろな要素はあるだろうが、牛舎で飼われている牛はほとんど運動できない環境にあることが、お産を重くしている一番の要因だろう。
人間でも、運動が不足すると本来もっている体の力が発揮されないのである。

昔の人は、毎日の生活の中で、当たり前に体を使っていたのだから、改めて歩く必要などなかっただろう。しかし、便利な家電製品に囲まれて、移動も車に電車と足を使わなくなっている現代人には、どうしても自覚して体を動かす必要があるのだ。

歩き慣れない人は、多少のおっくうさを感じるかもしれないが、慣れてしまえば歩くことはとても気持ちのいいことである。また、梅の花が咲いたとか、近所に新しい人が引っ越してきたとか、自分の住む町の変化を眺めながら歩くことも楽しいのではないかと思う。
できれば、出産が近づく頃には、自他共に認める健脚になっているぐらいが望ましい。


母乳の影響

だいぶ前のことになるが、あるとき赤ちゃんのいるお母さんから電話があった。その方は、当院で整体を受けながら妊娠して出産をされた方なのだが、前の晩から赤ちゃんが急に発疹し、痒がっているという。
こういうときは、どうしたら良いかとの相談であった。

突然湿疹が出たらしいのだが、特に原因が思い当たらないという。
私が、「お母さんの食べたものが母乳を通して赤ちゃんに影響して、中毒を起こしたり、湿疹が出たりすることもありますよ」 とお話したが、あまりピンとこないようだった。
「某有名チェーン店のハンバーガーなんかでも、影響することがありますよ」というと、
「あ、昨日のお昼にそれを食べました」 という。

妊娠中に母体の状況が胎児に影響することは知られてきているが、産まれてからもお母さんの体調が母乳を通して赤ちゃんにいろいろと影響を及ぼす。
妊娠中は気をつけていた人でも、出産してしまうと忘れてしまう人もいる。薬はもちろんだが、スナック菓子、清涼飲料、インスタントラーメン、ジャンクフードなどは避けるべきであろう。ケーキなどの、甘いものの摂りすぎもよくない。

また、出産後2~3ヶ月のママさんに多いが、「授乳などが忙しくて、ゆっくり食べる暇がないんです」 と言いながら、食べ過ぎの体で来る人が結構いる。
育児の合間に急いで食べるからなのか、少しずつだが回数が多くなってしまうのか、忙しさのアピールで暇がないと言ってるだけなのか、ともかく足らないと思って実は食べ過ぎている人もいるのである。
必要以上に食べ過ぎると、体に同化できなかった分の余剰の栄養成分が体に害をなす。燃焼不良で、黒煙がモクモク出ているようなものだと考えればよい。
この食べ過ぎの害もまた、当然ながら母乳の成分に変化を起こす。

食べ過ぎにしろ、食べるものが悪かったにしろ、母乳を通して赤ちゃんの健康に影響を及ぼす。授乳中のお母さんは、このあたりのことは知っておいていただきたいと思う。
皮膚病にかぎらず、赤ちゃんの便秘なども、お母さんが食生活を改めると改善するケースは多い。

また、心理的な問題も、お母さんの血液の成分を変化させる。怒ったときは怒ったなりに、クヨクヨしているときはクヨクヨしたなりに、血液の成分が変化するのである。
母乳と言うのは、お母さんの血液が赤ちゃんの栄養になるように転換したものだと思えばいい。妊娠中もそうだが、赤ちゃんを育てているときも、いろいろな意味で、お母さんが幸せな気持ちでいることは重要なのである。


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