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「体癖」

人には、生まれ持った気質とか性分のようなものがある。

人間の性格 ・人格には、もちろん家庭環境や教育・経験といったことにより後天的に形成される部分がある。しかし、同じような環境で育っても各々個性が現れるのは、もともとの素材が違うからである。

その生来の気質は、心と分かつことのできない 「体」 の特性に由来している。
心にある傾向を持つ人には、共通した体の傾向がある。逆に、ある種の体の特性を持つ人には、共通した心の動きがあると言っても構わない。
心と体は不可分のものであるから、どちらから言っても同じことである。

整体の体の観方では、人間の身体運動の中心は腰椎にある。腰椎とは背骨の腰の部分で、上から第1腰椎、第2腰椎・・・、第5腰椎と、5つの椎骨から成る。
その5つの腰椎のうち、どの椎骨に力が入りやすいか、どの椎骨に身体運動の焦点があるかで、それぞれ体の働きにある種の特性が生じる。
その特性は、体型・姿勢・動作・内臓の働き・自律神経の働き、などに現れる。
そして、体の特性にくっついて、心の働きも5つの椎骨に対応して特性がある。

整体法の創始者である野口晴哉氏は、長年人間の体を調整し観察する中でそのことを発見した。
そして、その心身の感受性の特性を、「体癖(たいへき)」 と名付けた。
体癖は、野口整体独特の人間観察法であり、人間分類法でもある。

第1腰椎に運動の焦点がある人達を、「上下型」 という。同じように、第2腰椎は、「左右型」。第3腰椎は、「捻れ型」。 第4腰椎は、「開閉型」。第5腰椎に力が集まるタイプを、「前後型」 という。
上下とか左右とか言うのは、その椎骨が担っている運動の特性から来ている。第3腰椎は、身体の捻れ運動の焦点になる。第4腰椎は骨盤の開閉運動、第5腰椎は体の前後運動の中心となるのである。

そして、5つの型にそれぞれ、積極的に欲求を果たしていこうとするタイプと、外からの刺激に対して反応して動いていく受け身のタイプがあり、1種から10種の十種類の体癖に分類される。
積極的なタイプには奇数、受け身のタイプには偶数のナンバーがつけられている。
(このほかに特殊体癖として、全体的に感受性が過敏である11種と、全般的に感受性の鈍い12種がある)


上下型  頭脳型    1種 ・ 2種
(L1)※            

左右型 消化器型   3種 ・ 4種
(L2)          

前後型 呼吸器型   5種 ・ 6種
(L5)          

捻れ型 泌尿器型   7種 ・ 8種
(L3)

開閉型 生殖器型   9種 ・ 10種
(L4)

   ※ L は腰椎の意味。 L1は第1腰椎。


それぞれの体癖については、おいおい書いていこうかと思っているが、体癖に関してとても造詣の深い先生がいらっしゃる。
静岡で 「身体気法会」 を主催されている柳澤嘉洋先生である。
柳澤先生とは、川島先生の野中操法研究会で知己を得ることができた。そして、先月柳澤先生の体癖についての講義を聴く機会に恵まれた。
柳澤先生は、体癖観察に関して並々ならぬ洞察力をお持ちの方である。先生のHPには、各種体癖についての解説が載せられている。また、気と身体の関係や身体同士の共鳴、無意識と身体についてなど、非常に興味深い内容が目白押しである。ぜひ、ご覧頂きたい。

 身体気法会HP

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