脊髄行気法
手を当てて、そこから自分や相手に気を通していくことを愉気(ゆき)という。
それに対して、自分の体のある部分に、意識で気を導くことを行気(ぎょうき)という。
脊髄行気法(脊椎行気法)とは、背骨を意識して呼吸することで脊椎の中心管、脊髄に気を通す方法である。
まず、楽な姿勢をとり体の力を抜いて、後頭部から背骨を通して静かに息を吸う。
腰まで吸い込んだら、吐く方は意識せずにただゆっくりと吐く。
これを5回から10回程度繰り返すのだが、あまりやり過ぎると背中や肩が凝ってきたりするので、背骨に息が通ったらその後2~3呼吸で終える。
初めは、瞑目して行った方が良いが、慣れれば目を開いていても、歩きながらでもできるようになる。
背骨に息を吸い込むというのが難しければ、まずは背中全体で息をするところから練習しても良い。背中で息を吸えるようになったら、今度は背骨で呼吸する。
野口先生は、この脊髄行気法だけでご自身の健康を保っていらしたとその著書の中で述べられているが、確かに体を強くし充実させる良い方法である。
野口先生の、「愉気法 2」(全生社) の最後の部分に脊髄行気法に関して書かれているものが数編載せられている。最近、これを読み返してから自分でも背骨で息をすることを熱心にやっているのだが、改めてとても良い健康法であると実感している。
「愉気法 2」 から、一部抜粋してみよう。
背骨で息をする
だるい時、疲れた時、身体に異常感がある時、心が不安定な時、気がまとまらぬ時、静かに背骨で息をする。腰まで吸い込んで、吐く方はただ吐く、特別に意識しない。この背骨で息することを、五回繰り返せば心機一転、身体整然とすることが、直ちに分かるであろう。
・・・・ (中略) ・・・・
ともかく、人間はこういうわけの分からぬことを、一日のうちに何秒間か行う必要がある。頭で分かろうとしてつとめ、分かったことだけ行うということだけでは、いけないものである。
・・・・ (中略) ・・・・
疲れたまま眠るより、乱れたまま心を抑えるより、まず背骨で息をしよう。その後でどうなるか、そういうことを考えないでやることが脊髄行気法の方法である。