掌心発現
前回、指の付け根をつまんで愉気して手の感覚を敏感に保つ方法を紹介した。
上手に行うと直後から手の感覚が変化するが、その場でスッキリと変わらなくても2日くらいして、「そういえば・・・」 と手に注意を向けてみると、一皮むけたように新鮮な感覚が戻っていることもある。
さて、それぞれの指が体のどこと関係しているかという話だが、大まかに言うと
母指は上肢 ・下肢もしくは脊椎の二側(二側は運動器系である)、人差し指はお腹、中指は頚から上、薬指は胸 、小指は腰及び骨盤
である。
整体では掌心発現という現象を重要視している。これはお腹でも後頭部でもともかく愉気をして感応が深まったときに、どの指かが自然と動き出す現象である。
愉気に感応して、指がピクピクと動いたり、キューっと一本だけ曲がったりするのだ。
赤ちゃんなどは、具合が悪くてもどこが痛いとも苦しいとも言えないので、掌心発現を使って愉気すべき処を見つけるのである。
赤ちゃんは体も小さいので全身探してもたいして時間もかからないが、それでもどのあたりかと見当がつけられれば効率がよいし、その分早く必要な処に愉気をしてあげられる。
もちろん大人でも、本当に悪いところを自覚できる人などそうそういないので、どこに愉気をしていいか分からないときには掌心発現を用いて愉気する場所を絞り込むとよい。
野口晴哉先生の 「健康の自然法」 によると、
「掌心感応のあるところ(手の感覚で相手と感応する処)に愉気する。之が何よりのやり方だ。しかし体は広い。掌は狭い。掌心感応の生ずるところを探さねばならない。ところが愉気していると相手の指に感応的な動きが生ずる。その部に感応しているといえる。相手の指に現れる感応的動きで掌心感応の生じやすい部分を求める。之を掌心発現という。」
とある。
そして、その求められた結論は以下のとおりである。
左
母指 - 四肢
食指 - 腹部
中指 - 頭部
薬指 - 胸部
小指 - 腰部
右
母指 - 脊髄神経系
食指 - 太陽叢 交感神経
中指 - 中枢神経系
薬指 - 副交感神経系
小指 - 骨盤神経叢
自分に対して行う場合、掌心発現を見極めるのは難しいので、前回の指の圧痛点を手がかりに愉気するとよいポイントを探すのも一つの方法である。
また、掌心発現によってその関連部位に愉気をするというのが本来の方向性だが、関連する指に愉気をして体の特定の部分に影響を及ぼすということも、試してみられると意外な効果を体験されるかもしれない。
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