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咳 ・・・ ふわふわタオルと蒸しタオル

咳が続くのは、なかなかつらいものである。
しかし、咳もまた必要があるから出るのである。

風邪を引いて咳が出ると薬で止めようとする人がいるが、体の側に咳をする必要があれば、薬を飲んでもそうそう止まらない。もし止まっても、必要があればそのうちにまた風邪を引きなおす。

では、咳が必要な体とは、どういう体であろうか。

風邪が呼吸器に来るときには、胸椎の3・4辺りに異常を抱えている場合が多い。胸椎3は肺と関連する。気管支の場合は、胸椎1・2であるし、頚椎6・7の場合もある。
そして、姿勢で見ると胸が広がらず前屈みになっている。前屈傾向と呼吸器の異常は、切っても切り離せない関係にある。

そういった呼吸器と関連するところに異常がある場合、風邪を引くと症状が呼吸器にまで至り咳が出る。しかし、そこが悪いから咳が出るというよりは、咳をすることで硬直した背骨(それに関連する肋骨や肩甲骨など)を弛めようとしている、と考えた方が現実に即している。
風邪を引いて咳をすることで、体は強張りや働きの鈍りを解消して、もっとひどい呼吸器病になることを予防しているのである。

咳は、ウイルスを体外に排出しようとしているとか、痰が肺に入らないようにしているなどと言われるが、体そのものを改善するために咳が出ているということがあるのだ。
咳に限らず、発熱でも、下痢でも、節々の痛みでも、喉が腫れることでも、風邪の時に変動を通して体はどこかを良くしようと計画している。
風邪は、“引く” と言うが、文字通り風邪には自分から引き寄せて、それを利用して体質改善をするという面があるのだ。必要があれば、治っては引き、ひいては治るを繰り返すこともある。

体は、より良く生きるためには、風邪でも利用する。そして、そのメカニズムは、驚くほど緻密で周到である。

咳が出ていることを異常と見て、それをとりあえず止めてしまおうと考えるのが現代の医学の考え方だが、整体では咳をすること自体を体を良くしようとする働きと観る。
整体ではなぜそう考えるのかといえば、風邪を経過すると体は必ずどこかが良くなるからである。そして、それは体を観る(触れる)ことで確かめられる。

風邪を引き咳をすることで、強張った背骨、肋骨などが弛んでくる。
体の前屈傾向も無くなっていく。

もちろん、それらの異常は整体操法で調整することも有効だが、そもそも自力で風邪を引けるのであれば、自分の体に任せて何度か風邪を経過すれば、抱えている異常も正されていく。風邪を自力で経過することが、体質改善になっていくのである。まさに、風邪は自然の整体法である。

と言っても、特別難しいことでは無い。自分でやることといえば、体の働きを信頼することと、風邪の経過がスムーズに行くように体を応援することぐらいだ。後は、体が計画通りに進めてくれる。
応援するとは、体を冷やさない、風邪に当たらない、目を使いすぎない、足湯をする、水分を多く取る、高熱が出た後に平熱以下に下がる時期をしっかり休養するなどということである。
応援の仕方は、ちくま文庫の 「風邪の効用」 (野口晴哉著) に詳しい。


しかし、いざ自分のこととなると、咳が続くのはなかなか辛いことがある。たとえ、それが体を良くしていく働きだとしても、あまりに長く続くと、「いくら何でも、もういいのじゃなかろうか?」 と言いたくなることもあるだろう。

そんなときには、目を蒸しタオルで温めるといい。風邪の最中は足湯などがいいが、風邪の最後に咳だけ残って治まらないときなどは、目を温めると急速に楽になる。風邪で咳が続くと目が充血したりするが、目と呼吸器は深く関連しているのである。

それから、咳をすると体力を消耗して体が疲れるが、厚手のタオルを用意しておいて、そのタオルを四つ折りぐらいにして口を塞ぎながら咳をすると格段に楽である。
少し厚手の、肌触りの良いふわふわのタオルに顔を埋めて咳をするのである。そうすると、あら不思議、咳をしても疲れない。それどころか、なんだか気持ちいい。

花粉症のくしゃみなども同じだが、咳もくしゃみも、気持ちよくすっきりと出した方が強張った体が上手に弛む。
くしゃみの方は、ハックション!と大きくやればすっきりするだろうが、咳の方は上手くやるのが難しい。そこで、ふかふかのタオルを使うといい。なかなか気持ちよく咳ができるのだ。

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