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経絡整体(仮称) その1

あるとき、操法の中で足首に愉気をしていると、ふくらはぎの内側あたりに次に押さえるべき処がポッと浮いて見えた。そこを見つめながらなお足首に愉気していると、今度は大腿部の内側にもう一つ急所が見えてきた。その後、ポツン、ポツンと、ランプが灯るかのように次々に押さえるべきポイントが見えてきた。

そういうことはよくあることで、それ自体は珍しいことではないのだが、そのときにはその処と処を結ぶ、ある気のラインのようなものが見えたのである。

ああ、これは脾経だ、と思った。

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脾経とは、鍼灸でいうところの12経絡(12の主要な気血の流れるルート)の一つである。足の母指の末端からスタートし、下腿・大腿内側を上昇し、腹部を通って舌へつながるとされている。

経絡は、ある臓器の全部もしくは一部と(肝経なら肝臓)、それに関連する器官・組織を含む一定の機能領域である。この経絡は、その主宰する臓器とつながりながら、気血の流れのラインとしてとして体表を走っている。その流れは、手に6本(肺・心包・心・大腸・三焦・小腸)、足に6本(脾・腎・肝・胃・膀胱・胆)通っていて連絡しながら体を巡っている。

経穴(ツボ)とは、経絡上にある臓腑・経絡の気血の集積・出入りする処である。臨床上重要な観察点であり、同時に治療点である。伝統的な鍼治療は、この経絡上の経穴に鍼を刺して、各経絡の虚実を調えるのである。(整体では整えると書くが、鍼灸・気功では調えると書くことが多い) 

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この脾経の走行と愉気すべき急所の一致を偶然見つけてから、下肢を観る度に経絡の変化を探すようになった。

下肢には、脾経・腎経・肝経・胃経・膀胱経・胆経の6本の経絡がある。経絡を頭に入れながら操法してみると、意外と経絡の走行と愉気すべき急所が一致していることが多かった。
また、変化させたい処を直接愉気せずに、そこに関連する経絡上のポイントに愉気もしくは整圧することで、目的とする処をかなり的確に変化させることができることを知った。
そこから、体幹、上肢にも経絡の観察をひろげていくと、経絡を操作することを通していろいろと面白いことが実現するようになった。

さて、なぜ直接異常箇所に働きかけずに、離れた部位から変化させようとするかというと、そうして異常を正した方が体に対して負担が少なく、なおかつ操法の効果が安定するのだ。
例えば、第2腰椎の三側に異常を表す硬結があったとする、もちろんその硬結を直接愉気なり整圧なりすれば硬結は変化するが、下肢のどこかを整圧することでその硬結が弛んだとすれば、その方がより体に無理のない変化であり、異常をくり返す確率も減る。

こういう手法は整体でも普通にあるのだが、経絡を想定することで、遠隔部から処を操作する方法が体系化し易い。気の感覚などで調整点を見つけることが難しい人にも、ヒントとして操法の処や手順を経絡や経穴を以て提示できる。また、遠隔操作のバリエーションが、かなり広がる可能性がある。

などと、いろいろ考えながら、経絡を使って体の調整を始めたのが去年の今頃である。前々回ちらっと書いた、経絡整体(仮称)研究のスタートであった。


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