親切?不親切?
整体操法では、相手のやって欲しいことを残らずやって上げるような接し方を、「召使い操法」 といって戒めている。
一般に、指圧やマッサージなどでは、丁寧に長い時間かけて、全身揉んだり押したりしてくれる方が親切だと言われる。
しかし、整体では親切の種類が、マッサージなどのそれとはだいぶ違う。
操法は、人間相互の愛情と誠意によって行われるものであるが、操法をする側と受ける側の立場というものは明確にしている。
そして、いつでも操法をする側が相手をリードしていなければ、相手を健康に導くことは難しい。必ず、操法をする側が相手の体を観て、その日、その時、その人の体にとって必要と思えることのみを行うのである。
相手の要求にひたすら応え続けるのでは、指導するという立場は保てない。
多くの場合、マッサージなどでは、時間を長くやってくれる方が親切だとされている。
その考え方から言えば、整体は不親切だということになる。
また、頭のてっぺんから足の先までまんべんなく揉んでもらうと、「今日は、よくやってもらった」 ということになるらしいが、整体ではだいぶ様子が違う。
整体操法では、相手の体に不必要に刺激を与えることを慎しむ。
過剰な刺激は、相手の体に負担であり、体の自然を乱すからだ。
操法の時間も、むやみに長過ぎない方が良いということである。
操法においては、原則として左右でより異常な側のみを操法の対象にする。つまり、右腕と左腕であれば、どちらか片方の腕だけを操法する。もちろん、足もそうである。
両側操法する場合でも、8:2、7:3、のように異常側に重点を置いて刺激量に差をつける。
もっと言えば、腰部や背部を押さえるのでも、微妙に左右の押さえ方を変えている。左右差をつけて押さえるのである。
これらは、両側を刺激するよりも、片側を操作する方が効果が上がるということと、体に無用な刺激を与えないためである。
両側やらない、たくさんやらない、長くやらない、一所懸命やらない、相手に阿らない、 “お大事に” などと相手の気力を奪うようなことは言わない、これらは皆、整体流の親切なのである。
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