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November 2011

十二指腸

十二指腸の異常は、生殖器系(婦人科系)の異常と連動することがままある。

そのつながりを示す一例だが、十二指腸潰瘍は第2仙椎に反応がでるが、この第2仙椎は十二指腸潰瘍の判別点であるとともに、妊娠の反応点でもある。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍を判別するときに、第2仙椎を調べる。胃潰瘍では現れない異常が十二指腸潰瘍では現れる。食後痛むのは胃潰瘍、空腹時や夜間に痛むのは十二指腸潰瘍というのもあるが、第2仙椎を見る方が早くて確実だ。

妊娠すると第2仙椎に特徴的な過敏が現れる。妊娠4日目から現れると言われているが、以前人工授精をして3日という女性を観たところ、すでに第2仙椎に反応がでていた。
また、妊娠すると恥骨の上に変化がくる。恥骨の上、腹部の最下部が綿が入ったような感触になる。軽く触ってみると、綿球が横に並んでいるような感じになる。(ここを強く押したりしてはいけない) こちらは受胎後4日とはいかないが、それなりに初期から妊娠を知ることができる体の変化である。

さて、十二指腸だが、背部で観ると肝臓・胆嚢系統(第9胸椎・第2腰椎の右側)の変化を伴うことも多い。まあ、胆汁は肝臓で作られて、胆嚢に溜められ、十二指腸にでるのであるから、当然関連はある。
十二指腸潰瘍の痛みを胃と間違って処理しようとすると、かえって痛みが増してくる。十二指腸潰瘍は、第2仙椎と肝臓系統を押さえて愉気すると上手くいく。

第2腰椎の下痢 第4腰椎の下痢

下痢には、止めた方がよいものと、止めない方がよいものがある。

下痢の時には、第2腰椎には必ず異常が現れる。第2腰椎の三側は、消化器の最大の急処だ。
この第2腰椎にだけ異常がある下痢は、止めない方がよい下痢である。この下痢は体の大掃除的な排泄反応だったり、冷えたことの精算だったりする。この場合、薬などで途中で止めると、かえって予後がよくない。出るものさえ出てしまえば、スッキリする下痢だ。

一方、第4腰椎に異常が現れる下痢は、止めた方がよい下痢である。第4腰椎に異常が出る下痢は、言ってみれば腸が壊れている状態なので、放っておいてはいけない。
老人や小児などは、第4腰椎に異常が出ていて腹部第3調律点(臍の下三横指)が虚だったら、命に関わることもあるので注意が必要である。下痢で命を落とすなどということは滅多にないが、老人と子供、そして時に更年期の女性だけは軽く見ると危険なこともある。

今の季節は、冷えからくる下痢も多い。この中には、第2腰椎の下痢も第4腰椎の下痢もある。
どちらの場合でも、足の甲の第3・4中足骨間の冷えの急所を押さえて愉気した後、脚湯(膝下まで熱めのお湯で温める。6~7分)をするとよい。脚湯の後、両足赤くなっていればこするようによく拭いて終わる。片足だけ赤くなり方が悪かったら、そちら側の脚だけ更に2分温める。

第2腰椎は胃、腸、肝臓など消化器全般と関係するが、大腸は主に第4腰椎である。
しかし、直腸・肛門辺りに来ると、また第2腰椎に異常が現れる。前回の痔の問題などは、この例である。

下腹部痛で第4腰椎に異常があるものは、大腸もあるが卵巣もある。また、膀胱も関係する。
卵巣の場合、硬直を押さえてもあまり変化が起こらない。その奥に必ず硬結があるので、その硬結をとらえて愉気しなければならない。

心臓を強くする方法

前回、左足の小指が痔の急所であり、心臓とも関わると書いた。
そもそも、この左足小指の急所も、野中操法の活点の一つである “痔病一切奇妙” が整体操法に取り入れられたもののようだ。

ちなみに、私はこれら野中操法の活点を野中操法研究会の川島先生に教えていただいた。
“痔病一切奇妙” は左足小指の第一関節(指先に近い方の関節)の外側だが、整体操法では指の付け根の関節も痔の急処として使う。
どちらかというと、第一関節は切れ痔、第二関節はいぼ痔である。

整体では、痔と心臓は深く関連するものと見ている。心臓と肛門は、場所は遠いのだが関係性はきわめて近い。痔は心臓系統の病、と言ってもよいくらいだ。
また、左足の小指が痔と関係するのと同様、心臓も左小指と関連している。左足の小指・左の腸骨(骨盤)・肛門・心臓は連動しており、一蓮托生なのである。

足の小指を押さえて痔に卓効があるのは、どちらかというと女性に多い。男性の場合は、骨盤の動きが小さいので、腰椎で治す方が手っ取り早い。
この場合の急処は、第2腰椎の左三側である。ここの硬結を処理する。
特に出血する傾向のある痔には、ここが効く。


さて、人間の体は使えば強くなるようにできているが、平時はともかく今心臓の具合が悪いという人が、直接心臓に負担がかかるようなこと、つまり心拍数が上がるような運動などをするわけにはいかない。
ではどうすれば、心臓の弱い人が心臓そのものを強くできるのか・・・。

実は、簡単で効果的な方法がある。
それは、肛門を締めることだ。
肛門を意識的に、ギューッと締める。締めては弛め、締めては弛めを繰り返す。
心臓の悪い人は、肛門の締まりも悪い。肛門の締まりが出てくると、心臓もしっかりしてくる。

右でも、左でもない。

人間の体は、右と左では機能が違う。

例えば、内臓と左右の関係で言えば、右は肝臓、左は心臓である。
内臓が悪くて腕が痛いとか痺れるということがあるが、肝臓の異常で痛むのは必ず右腕である。心臓の場合は、左腕に出る。
中毒に関わる足の急所は肝臓系統なのだが 、やはり右が効く。心臓や痔(これも心臓系統)と関係するのは、左足の小指である。

傷が膿んだときや虫刺されなどにも使う化膿活点も、右半身に症状があるときは右を、左半身にあるときは左を使う方が大抵は適う。

脊椎椎側の操法でも、左右どちらかに焦点がある。

しかし、体には、右でも左でもない部分がある。
体の中心線と、その線上にある器官などである。

例えば、歯が痛むときなどは、顎の裏のリンパを押さえて愉気すると痛みが楽になる。
当然、右の歯なら右の顎、左の歯なら左の顎ウラを押さえるが、前歯の痛みだけは顎のウラを押さえても効きが悪い。

こういうときには、どうするか?

恥骨を押さえると、痛みが楽になる。

恥骨というと皮膚病の急処として有名だが、もちろん骨盤の一部なので骨盤調整にも使う。恥骨を用いて骨盤を調整する方法はなかなか効果的で、股関節の異常なども一緒に治ってしまうことも多い。
そして、体の中心線の調整にも恥骨を用いる。どういう作用機序なのかは解らないが、ともかく恥骨を押さえることで、中心線上のいろいろな異常に対処できる。

どういう症状が恥骨操法の適応になるかというと、上記の前歯の痛みの他、鼻の異常、のどの問題、気管、甲状腺、声帯などの異常である。
へそに膿がたまるとか、性器の異常などにも用いる。
子宮なども右とも左とも言えない臓器であり、やはり恥骨が効くことがある。

先日、舌の痺れを訴える人が来たが、やはり恥骨の調整で良くなった。
舌も、体の中で右でも左でもない領域にあるからだ。

もともと整体の恥骨の操法は、野中豪作氏の野中操法から取り入れられたものだという。野中操法にも、“一切病奇妙(全病一切奇妙)”という中心線の治療術がある。整体操法のそれとは押さえる処も押さえ方も多少違うが、恥骨の皮膚病操法=“皮膚病一切奇妙” と同様、元ネタはやはり野中操法であろう。

整体操法には、愉気を主体とした気の感応を中心におきながらも、まさに “奇妙” としか言いようのない不思議な効果を持つ昔の療術の手法が随所に散りばめられている。
これもまた、整体操法の大きな魅力の一つである。

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