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右でも、左でもない。

人間の体は、右と左では機能が違う。

例えば、内臓と左右の関係で言えば、右は肝臓、左は心臓である。
内臓が悪くて腕が痛いとか痺れるということがあるが、肝臓の異常で痛むのは必ず右腕である。心臓の場合は、左腕に出る。
中毒に関わる足の急所は肝臓系統なのだが 、やはり右が効く。心臓や痔(これも心臓系統)と関係するのは、左足の小指である。

傷が膿んだときや虫刺されなどにも使う化膿活点も、右半身に症状があるときは右を、左半身にあるときは左を使う方が大抵は適う。

脊椎椎側の操法でも、左右どちらかに焦点がある。

しかし、体には、右でも左でもない部分がある。
体の中心線と、その線上にある器官などである。

例えば、歯が痛むときなどは、顎の裏のリンパを押さえて愉気すると痛みが楽になる。
当然、右の歯なら右の顎、左の歯なら左の顎ウラを押さえるが、前歯の痛みだけは顎のウラを押さえても効きが悪い。

こういうときには、どうするか?

恥骨を押さえると、痛みが楽になる。

恥骨というと皮膚病の急処として有名だが、もちろん骨盤の一部なので骨盤調整にも使う。恥骨を用いて骨盤を調整する方法はなかなか効果的で、股関節の異常なども一緒に治ってしまうことも多い。
そして、体の中心線の調整にも恥骨を用いる。どういう作用機序なのかは解らないが、ともかく恥骨を押さえることで、中心線上のいろいろな異常に対処できる。

どういう症状が恥骨操法の適応になるかというと、上記の前歯の痛みの他、鼻の異常、のどの問題、気管、甲状腺、声帯などの異常である。
へそに膿がたまるとか、性器の異常などにも用いる。
子宮なども右とも左とも言えない臓器であり、やはり恥骨が効くことがある。

先日、舌の痺れを訴える人が来たが、やはり恥骨の調整で良くなった。
舌も、体の中で右でも左でもない領域にあるからだ。

もともと整体の恥骨の操法は、野中豪作氏の野中操法から取り入れられたものだという。野中操法にも、“一切病奇妙(全病一切奇妙)”という中心線の治療術がある。整体操法のそれとは押さえる処も押さえ方も多少違うが、恥骨の皮膚病操法=“皮膚病一切奇妙” と同様、元ネタはやはり野中操法であろう。

整体操法には、愉気を主体とした気の感応を中心におきながらも、まさに “奇妙” としか言いようのない不思議な効果を持つ昔の療術の手法が随所に散りばめられている。
これもまた、整体操法の大きな魅力の一つである。

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