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December 2011

喉につかえる 胸につかえる

正月になるとおもちを食べる機会があると思うが、毎年餅を喉に詰まらせて亡くなる人が出る。
日頃から、どうも物が詰まりやすいという人は、注意が必要だ。

同じ物がつかえるのでも、喉につかえる人は第6頚椎、胸に(食道に)つかえる人は、第4胸椎が硬くなり動きが悪くなっている。これらは、その一側・二側の硬直・硬結を弛めておけば、つかえなくなる。

いざ物がつかえてしまった場合は、喉なら第6頚椎、食道なら第4胸椎を叩く。隣の骨を叩かないように、左手の人差し指か中指を目的の椎骨に当てておいて、その自分の指の上から手刀(チョップ)で叩く。叩き方は、トントントンとリズミカルに。強さはいらないが、速度は必要。上手くやると、スッと通る。喉の場合は、咳と共にスポッと出てくることもある。

なお、第4胸椎は心臓と関係があって、叩くと気分が悪くなったり、唇が青くなったりするので、実地練習はお勧めしない。
ちなみに、第7頚椎は叩打すると一時的に視力が良くなる。叩き方の練習をするなら、第7頚椎が良いかもしれない。ただし、くれぐれも強く叩かないようにする。打つより引くに重点を置くぐらいでよい。

しかし、餅などの粘度の高い物が喉に詰まり気管をふさいでしまったときは、生兵法は怪我の元、救急車を呼んだ方が良い。
そして、掃除機で餅を直接吸引する。これで一命を取り留めた人は結構いるらしい。
もちろん掃除機は掃除の道具で救命機器ではないのだから当然リスクもあるが、いざというときは背に腹は代えられない。
できれば、細いノズルがあれば、なお良いという。
もっと良いのは、日頃から第6頚椎・第4胸椎が硬直しないように、調整しておくことだが・・・。

胃潰瘍

胃潰瘍を治すのには、背部・腰部の脊椎操法だけでは難しい。頚部の操法が重要になる。

胃の働きが悪いような場合は第6・7頚椎の椎側が急所になるが、ストレスなどによる迷走神経の過緊張から胃酸の分泌が過剰になっている胃潰瘍の場合は、同じ頚でも耳の裏の骨(乳様突起)から胸骨・鎖骨に走る胸鎖乳突筋が急所になる。

胃の働きを操法でコントロールする場合、その働きを高めるのは第6・7頚椎。抑制するのは、第3・4胸椎である。これは、自律神経の働きをコントロールすることで胃の働きを調整するということだ。
それとは別に、胃を収縮させる・拡張させるというアプローチもある。収縮させるには、第1・2腰椎、拡張させるには第11胸椎を使う。
消化器の痛みというものは、大雑把に言えば臓器が 「縮んでいる」 ので、拡張反射を起こす第11胸椎を使う。働きが鈍って 「たるんでいる」 なら、第1・2腰椎を刺激して引き締める。

さて、胃潰瘍を持つ人は、大抵胸鎖乳突筋が強く硬直している。多くは、左側だ。
重要なのは、胸鎖乳突筋の停止部(一方の付け根)となる乳様突起である。この乳様突起の骨の裏を触るようなつもりで押さえると、骨にこびりつくように硬いスジやべたっと硬くなったようなところがある。
これを掴まえたら、ジッと押さえて愉気をする。これには少し時間をかけることが多い。たいてい2分ぐらい。短くても1分以上は押さえる。

次に、胸鎖乳突筋を後ろから前へ向けて押さえる。これは長く押さえず、5秒以内ぐらいで上から下に順々に刺激していく。
胸鎖乳突筋は、下の方に来て二つに分かれて胸骨と鎖骨に付くのだが、上から降りてきて胸骨側か鎖骨側どちらか硬い方の起始部(筋肉が骨に付くところ)をやはり1分程度愉気する。
(本来は、愉気は何分と決められるものではないが、一応の目安として・・・)

また、腹部第4調律点(左の季肋部)や背部の脊椎椎側も調整のポイントではあるが、それ以外に胃潰瘍や胃ガンの場合は、必ず運動器系にはっきりとした不調和がある。たとえば、腕が上がらないとか、背中が張る、腰が捻れない、頚が曲がらないなど。片方の頭がつっぱるなんていうこともある。
この体の運動系の不調和を調整することが、胃潰瘍を治していくために重要な要素になる。

臓器・器官の異常と結びついている運動器系の不調和を正していくのはとても重要で、例えば肺気腫・喘息などの呼吸器の異常は、必ず体の前屈傾向を持っている。この前屈傾向を正していくことが、呼吸器病を治していくのに必要になるのである。

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