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September 2012

秋分

東京ではいまだに連日30度越えの日々が続いているが、
その中にも、日差しや風に秋の気配が十分に入り込んでいる。
夜になれば、虫の音も聞こえてくる。

これからは、呼吸器の働きが旺盛になる季節である。

だんだんに呼吸器の広がりがよくなってきて、
大きく息を吸いたくなる。
歩幅もだんだん大きくなる。
大股で颯爽と歩くのが気持ちのいい季節になる。

今まで暑さでやる気が起きなかった人も、
いろいろと計画を立て、実行したくなってくる。
行こう行こうと思っていた旅行の具体的な計画を立てる。
やってみたいと思っていた習い事に思い切って申し込んでみる。

今まで何となく中途半端で放っておいたもの、
心の中で温めていたものなどを形にするべく行動する季節なのだ。

整体10年、とはいうけれど・・・

季よみ通信 其の19では、頚部操法を例にとって整体操法の技術習得の難しさについて書いた。
これは、柳澤先生の 其の18 を受けて書いたものである。
世の中には、全くの初心者を相手に10回程度のセミナーや通信講座などで修了証だの認定証だのを発行して、安易に開業できると唱っている 「整体」 も存在する。
プロとして人の体を触るということは、そんなに簡単なものではないということをちょっと書いておこうと思った次第である。


整体10年、は確かに本当で、体がある程度読めるようになるには最低でもそのぐらいはかかる。

しかし、そこまで至らなければ整体はできないのかといえば、実はそういうことでもない。

愉気を習った人は愉気だけに集中すればよい。それで十分効果は上がる。
愉気する急処を知ったならば、なお効果が上がるかもしれない。
初等程度の操法でも身につけておけば、ただ愉気するよりも断然心強い。

プロとしてやるのでなければ、それぞれ自分のできるところまでで、おこなえばよいわけである。それが各々の整体である。

 
分からないことは分からない、できないことはできないと、自分で分かっていれば何も問題はないのである。
怖いのは、自分の技量を量り違えて過信している人だ。


整体は奥が深い。
登山で言えばもう7合目ぐらいまで来たかと思っていたら、実はまだ裾野にいた、
なんてことは、この世界ではよくあることだ。
整体のなんたるかが分かってくるほどに、目指す先は遠いということも分かってくる。

たとえどんなに治療成績を上げていたとしても、技術的にこれで十分、と思ったら終わりである。
進歩しようという気持ちを失ったときから、すでに退歩は始まっているのだ。

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