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January 2014

食べ過ぎとその周辺 (3)

食べ過ぎる人の一つの特徴に、食べる姿勢が悪いということがある。
背中が曲がった状態で前屈みになって食べると、食べる速度がはやくなりやすい。いわゆる 「犬食い」 といわれるものだが、食べる速度がはやいとお腹がいっぱいになったことに気づかずに、そのまま勢いで食べ続けてしまう。そして、気がついたときにはすでにお腹が苦しくなっている。

これが背筋を伸ばして食べると、自然と食べる速度はゆっくりになる。逆に言えば、良い姿勢のままでは、ガツガツとはやく食べることは難しいのだ。
食べる速度がゆっくりになれば、適量ラインの感覚もつかみやすい。

また、一回の食事の中でも、量が過剰になってくると背中が張ってくる。こうなると、ついつい背中を丸めたくなり、姿勢が崩れてくる。実はこうなったら、もう食べ過ぎの領域に入っているのだ。
つまり、姿勢よく背中を伸ばしていられる間は食べても大丈夫。背中を伸ばしているのがつらくなってきたら、そこが止めどき、ということである。昔の人は、行儀として姿勢のことをいったのだろうが、それは体のためでもあったわけだ。

さて、年末年始に食べ過ぎた人は、休肝日ならぬ休消化器日をもうけるとよい。昔からの習慣である七草がゆなどはまさにそれで、おせちやお餅などをたくさん食べて、疲労した消化器を休めるためのものである。
もちろん正月明けに限らず、食べ過ぎたと思ったら、その後は少し食を落す。特に、お腹がぐうぐう鳴るような空腹の時間を作ることは大切である。

最近では、お腹が空く感覚がないほど、先回りして食べる人が多い。しかし、人間たまには空腹の時がないと体は上手く回らない。薪ストーブでも、薪を次々と詰め込みすぎると燃焼不良になって、もくもくと黒い煙が出てくるし、植物も肥料を多くあげすぎると枯れてしまう。体も同じで、過剰な栄養は体を痛める元になる。
空腹の時間は、余剰栄養のリサイクルの時間だ。ミクロの細胞レベルでも、空腹になると細胞内でゴミと化していたタンパク質を分解して再利用するリサイクル機能が働くという。

それから、例え1~2日程度でも、減食した後はいきなり元の量に戻さずに、お腹がビックリしないように徐々に量を増やしていく。
多くの場合、元の量まで戻すと量が多いように感じられる。日頃食べ過ぎで鈍っていた胃腸が、減食によって正常な感覚を取り戻すからだ。そうなったら、もちろん無理に元の量まで戻すことはない。体の要求に従って、「今の体」 = 「新しくリセットされた体」 にとっての適量を摂ればよいのである。


食べ過ぎとその周辺 (2)

「食べ過ぎ」 というと、相当たくさん食べているというイメージを持たれるかもしれないが、整体でいう 「食べ過ぎの体」 をしている人は、必ずしも大食らいとは限らない。

前回も書いたが、お腹もすいていないのに時間になったから食べる、などというのも一種の食べ過ぎである。体が必要としていないのに、食べ物を詰め込むというのは、当然ながら体にとっては至極迷惑、大きな負担である。
そしてこういう人の多くは、自分では食べ過ぎていると思っていない。しかし、体を観れば一目瞭然、本人の自覚の有無とは無関係に、食べ過ぎは必ず体に現れる。

整体で、「食べ過ぎです」 という場合、それは必ず体に現れた変化を観ていっているのである。決して太っているからとか、いかにも食いしん坊の顔をしているとか、そういう連想・想像でものをいうことはない。これは、「冷えている」 でも、「乾いている」 でも、「目が疲れています」 でも同様である。

食べ過ぎている体は、腰や背中が張っている。力仕事や立ちっぱなしなどでも腰や背中が硬くなるが、食べ過ぎでも飲み過ぎでも硬くなる。ただ同じように硬いといっても、原因によって硬直する部位も違うし、硬くなり方にもそれぞれ特徴がある。

食べ過ぎてる人は、胸椎の7・8・9番の左三側(背骨の指三本分外側)に硬結が現れる。胸椎5・6には胃の状況が現れる。胃が悪くなる原因にもいろいろあるが、胸椎7・8・9と胸椎5・6がそろっていれば、食べ過ぎによって胃をこわしている可能性は高い。(胃が悪いのにも関わらず、食べ続けているともいえる)

また、胸椎9の右は肝臓の処。飲み過ぎでも硬直するが、食べ過ぎでもやはり硬くなる。特に脂っこいものや、いわゆる御馳走といわれるものが続くと9番が硬直しやすい。
飲んべえは、酔っ払って満腹の感覚も麻痺するので、お酒を飲むと同時に大食いもしやすい。こういう人の背中は、第9胸椎右を中心に非常に立派に硬直している。ほとんど飲めない下戸の私からすると、なんと男らしい豪気な背中だろうと思うが、肝臓も腫れているうちが花で、更に進んで縮む方に転ずると肝臓がんや肝硬変などに近づいていくことになる。

腰椎では、第2腰椎を中心に硬直する。第2腰椎の右は肝臓・胆のう系統、左は主に胃の状態を反映する。正月明けには、食べ過ぎ・飲み過ぎから第2腰椎が硬直し、ひどい腰痛を起こす人もいる。

さて、食べ過ぎに自覚がないケースには、少量ずつ毎食多い、というのもある。
当然だが、そのときそのときで、体にとっての適量というのはある。たいていの人には、「ああ、このあたりが丁度良いところだな・・・」 という適量の感覚はあるものだ。満腹というほどでもなく、足りないということもないところ。昔の人は、このあたりを腹八分といったのだろう。
その適量で止めておけば、苦しくもないし、胃腸に負担もない。しかし、「ご飯が一口残っているから・・・」 などといって、そこから更に食べてしまうと、急にお腹も張ってくるし、体も重くなる。つまり、食べ過ぎてしまったということになる。
食べ過ぎか食べ過ぎでないか、という境目は、実はほんの一口だったりするのである。しかし、毎回適量のラインを少しずつ超えていると、塵も積もれば山となるで、だんだんと体に負担になっていく。

食べ過ぎとその周辺 (1)

毎年正月明けは、多くの方が食べ過ぎの体をして来院される。年末年始は忘年会や新年のあいさつ参りなどで、どうしても余分に食べる機会が多い。栄養失調はもちろん良くないが、食べ過ぎも体にとって害になる。

食べ過ぎが続くと、当然ながら胃腸・肝臓などの消化器系がオーバーワークになるのだが、二次的に腎臓にも負担がかかる。
たんぱく質を分解・代謝してできる老廃物は、血液を濾して尿を作る腎臓が処理している。食べ過ぎが続いてむくむなどということが起こるのは、腎臓にもその影響が及んでいるということである。

現代の栄養学では、一日三食、規則正しく、バランスよく食べるということが推奨されている。しかし食べ過ぎて、次の食事の時にお腹が空いていなかったら、何も無理して食べる必要はない。というより、そこで無理して食べるのは体にとって負担である。
夕食を食べ過ぎて、朝起きて空腹感がなかったら、朝は食べなくてもいい。それを、「朝食は必ず食べないといけない」 と決めつけて無理に食べるのはよいことではない。一食抜けば、次の食事はよりおいしくいただけるし、抜くほどではないがそれほどは食べられないというのなら、フルーツとかビスケットでも食べておく、というのでもよい。

規則正しく食べるというのは一見すると正しそうだが、ちょっと考えてみれば、お腹も空いていないのに体の要求を無視して時間になったら食べるというのは、頭の良い人間のやることではない。どちらかというと、自分で考えることをしない、頭の硬い人のやることだ。
何事においてもそうではあろうが、こと健康に生きるために大切なのは、当たり前のことを当たり前に考えて行動することだ。栄養学も食養生も、それに体を合わせて生きるべきものではなく、いきいきと生きるために利用するものである。

バランスよく食べるというのも良いとばかりはいえない。ここでいうバランスのよい食事というのは、一日何品目とか1回の食事の中で栄養のバランスがとれているとかいうことであるが、たいていはそれを実現しようとするとどうしても分量が多くなってしまう。
野菜は必ず摂る、たんぱく質も欠かしてはいけない、ビタミン・ミネラル・カルシウム、豆は一日何粒以上、海藻もできたら摂りたい、ナッツには体に必要な微量元素が・・・、と考えていくと、どうしても食べ過ぎになってしまう。

また、体がそのとき要求しているものは、ほかを犠牲にしても摂った方がよいことが多い。たとえば、なんだかわからないが無性に 「さんま」 が食べたいとしたら、さんまをたくさん食べるのがよい。食べたければ、毎日さんまでも、毎食さんまでもよい。さんまの中のどんな成分が必要なのかはわからないが、ともかく体はさんまを求めているのだ。
それを、「いろいろな物をまんべんなく食べないと・・・」 とか、「野菜も豆類も・・・」、「たんぱく質は動物性に偏らないように・・・」 などとバランスを考慮して食べたいものを控えたりすると、今必要なさんま(の中の何か)が十分摂取できない。特に妊婦や子供の場合は今必要なもの、つまりは体が要求するものを優先的に食べることが大切になるが、基本的には誰にでもいえることである。他を削ってさんまをたくさん食べてOKなのである。
どうしてもバランスが気になるという人は、一日ではなくて数日~一週間くらいの中でバランスがとれていればいいとお考えいただくといい。

体の要求で食べたいものは、欠乏が解消されればその欲求も自然と消えていく。つまり、「もう、さんまは飽きたな・・・」 となるわけである。もちろん、そうなったらもうさんまにこだわって食べ続ける必要はない。
足りれば食べたくなくなるというところが実は食に関して重要なことで、これがサプリメントなどの場合は体の要求と無関係に頭で考えて摂るので問題が起こる。必要もないサプリメントを摂り続けて、体をこわしている人は意外と多い。


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