食べ過ぎ体操
整体法には、「食べ過ぎ体操」、と呼ばれる体操がある。食べ過ぎによる消化器系の不調や体のこわばりを解消するための体操である。
やり方は至極簡単で、正座をした状態から、そのままゆっくりと後ろに倒れる。手や肘をついて少しずつ倒れていく。最後は、頭・肩・背中が床に着く。
つまり、正座したまま仰向けになるということである。仰向けになっても余裕のある人は、手を上に挙げてバンザイをしてもよい。
この体勢が取りにくい人は、普段から食べ過ぎている人である。特に中年以降の男性には、この体勢が取れない人が多い。
「いやあ、元々体が硬いので・・・ 」 と言い訳する人もいるが、やはり食べ過ぎには変わりはないのだ。
男性の能力は腰で決まる。腰がカチカチ、へなへなの男には、大事な仕事は任せてはいけない。粘り強さも、決断力も、腰の力で決まるのだ。
この体操は、別名 「腰を強くする体操」 ともいう。背骨のこわばりを除き、しなやかにする効果がある。腰椎部も弾力のあるしなやかさを取り戻し、骨盤の弾力もアップする。
老若男女、誰がおこなっても良い体操だが、慣れない人が急におこなうと腰や膝、太腿の筋肉などを痛めることもあるので、はじめは無理をしないで少しずつ様子を見ながらおこなった方がよい。
特に、高齢の方や普段運動する習慣のない方は注意しておこなう必要がある。
この姿勢をとること自体が難しい人は、後ろに布団を積んでおいて、その上に倒れるなどの工夫をするとよい。
慣れてきたら、少しずつ布団を薄くしていく。
本当は仰向けになった状態から、介助者がついて補助する動作が更にあるのだが、とりあえずはこの姿勢をとって静止しているだけでも十分効果がある。時間は、体の固さにもよるが、数十秒~数分程度。気持ちよいと感じれば長く行ってもよい。
楽にできるようになったら、両膝をなるべく寄せてつけるようにし、膝が床から浮いていれば、床に近づけるようにすると更に効果がアップする。
この体勢を解くときにも、腰や膝を痛めないように、ゆっくりと自分の動きやすい方法で注意深く姿勢を解除する。
ちなみに、ヨーガなどで割座(両足の間にお尻を落した座り方)で後ろに倒れる形があるが、これでは食べ過ぎ体操で求める効果は得られない。
自分なりにきちっと正座をして、そこからゆっくり倒れていく。
夏の終わりから秋口は、小食が体に適う季節である。4種体癖的なシーズンといってもいいい。
この時期に食べ過ぎると体を壊しやすい。
そもそもこの時期は、量が過ぎると、もう食べたくないという感じが体にはっきりと出る。その感覚に合わせて食べていればよいだけなのだが、これでは栄養が足りないのではなかろうかと頭で考えて余分に食べてしまったり、もったいないからと残りをお腹に入れてしまったりすると体調を崩してしまう。
小食が合う時期は、だいたいお彼岸過ぎくらいまで続く。食を通して体の感覚を育て、また空腹にも快感があるということを知るのにはとてもよい時期である。
食べ過ぎ体操をすると、過食による体の強ばりも取り除けるが、続けていくと食べ過ぎる傾向自体がなくなっていく。
食の執着から自由になると、それ以外のいろいろな執着、依存からも自由になりやすい。この秋は、食べ過ぎ体操と合わせて、ぜひ食の 「適」 というものを体得してみてはいかがであろうか。
そこから更に、何かが開けていくかもしれない。