春の下痢 春の腰痛
現代のように人工的なものに囲まれて生活しているとついつい忘れてしまいがちだが、人間の体は自然の一部である。
季節が巡り、草木が芽吹くように、人間の体も春になっている。
春の体の大きな特徴は、消化器系が変動しやすく流動的であることと、骨盤が開きつつ上にあがってくるところである。
このところ急な下痢をする人が増えているが、春の大掃除である。冬の間にため込んだ毒素や脂を、下痢で捨てているのだ。この春の下痢が起こると、体はすっきりとして軽くなる。
「春の下痢」 とだいたい同じ時期に起こるもので、「春の腰痛」 というのもある。
消化器系の停滞でお腹が硬くなると腰痛が起こりやすくなるのだが、ここでいう春の腰痛は、それ (とも絡みながらも…) とは別の機序で起こる。
春になって骨盤が開き上がっていくというのは、骨盤に端を発するエネルギーが、その勢いを増して上昇していくことである。
そのエネルギーが上手く分散、展開していかないと、腰が硬直して腰痛が起こる。エネルギーの余剰で、腰が過緊張になってしまうのだ。
春の腰痛は、一側と呼ばれる背骨のすぐ際を縦に走るラインが硬直しているのが特徴で、腰椎の歪みなどはあまり見られない。
この腰椎の一側と骨盤の上の縁(腸骨の縁)を弛めるとたちまち解消する。上手くやれば、坐位で腸骨の縁の内側を押さえるようにするだけで、嘘のように痛みはなくなる。
ちなみに東洋医学(鍼灸・漢方)の世界では春は 「肝」 の季節で、気が上がる季節であるというのだが、このあたり野口整体の見立てと一致している。
捨てるべき毒素や脂というのは、その多くは肝臓にため込まれていると思われるので、春になって肝臓系統が動き出し排泄がおこなわれるということだ。
ちなみに、東洋医学でいう五臓(肝・心・脾・肺・腎)とは、解剖学的な意味での臓器そのものとイコールではない。臓器の一部または全部を含んだ、ある機能領域を指している。その中には、感覚器とのつながりや心理的な問題、気の動きなど、多くのことが含まれている。
そのあたりのことを知ると東洋医学はとても面白いし、結構現実に即しているということがわかる。
健康ということを考えるとき、季節と体の問題は非常に重要な要素である。この点では東洋医学や野口整体には、大きなアドバンテージがあると思う。
現代医学的視点から見るとなんだか怪しいと見られる部分にこそ、実はその体系の重要なところがあったり、その部分こそが、ある意味とても現実的であったりする。
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