牛乳は腰に手を当てて飲むべし!
このところ花粉症の症状を訴える人が、ちらほらと出てきた。
花粉症の症状緩和には、頚と肩甲骨周りの筋肉の硬直を弛めることが有効である。花粉症だという人には、そのあたりを弛めるための体操法をご指導したりしている。
体操の前段で肩甲骨を弛め動きをよくして、後段では頚を回して頸椎の動きを改善する。前段の肩甲骨体操では、腰から背中もある程度強張りが取れるような仕組みになっている。また、その結果として頸椎部も弛んでくるので、仕上げは頚を回すくらいで結構効果が上がる。
頚は力を抜いて、ゆっくりと片側に10回程度まわし、続いて反対回しもおこなう。肩の上で頭がごろごろと転がるようなイメージでおこなうとよい。
これは文字通り 「回す」 だけでよく、ストレッチ風に筋肉を伸ばしながら回すなどの工夫はない方がいい。どこかを 「伸ばす」 のではなく、なめらかに 「動く」 ようにするのが目的だ。
頚を回すと痛みのある場合は、その痛い角度のところは上手に躱して(抜かして)おこなう。毎日やっていると、だんだんきれいに回るようになってくる。
この頚回しだけでも、花粉症に対してある程度の効果は見込める。頭と体の血流の行き来がスムーズになると、頚から上の鬱血状態が改善されて、目鼻の炎症などが楽になる。
さて、この体操は立っておこなうのだが、最後の頚を回すときは肩幅くらいに足を開き、必ず手を腰(骨盤の縁あたり)に当ててもらう。
そうすることで体の軸が自然と立上がり、安定した土台の上で頚を回すことができる。
もしも腰に手を当てずに頚を回すとすると、たとえ小さい子供にでも体を押されようものなら体勢が崩れてしまうだろう。しかしやってみればわかるが、腰に手を当てていれば体は全体として安定し、多少押されてもびくともしない。そのような安定した体勢で頚を回すことで、はじめて得られるものがある。ただ頚を回せばいいというのとは、ちょっとした工夫で運動の中身にだいぶ差が出る。
(逆に、全身の動きの自由度を保っておこなう場合にも、又違った良さがあるが・・・)
この頚回し体操における、肩幅に足を開いて腰に手を当てるという形は、一種の 「型」 といえる。立位で頚を回すための 「型」 である。
銭湯などでよく見られる、風呂上がりに牛乳を飲んでいる人が片手を腰に当てている光景は、安定した体勢で牛乳を飲もうとして自然とあの形になっているのである。あれも、牛乳瓶で牛乳を飲むための 「型」 といってもいい。
日本では、芸事でも礼法でも武道・武術でも、「型」 というものが重視されてきた。「型」 というのは、単なる儀式・儀礼的な意味合いのものというわけではなく、高度な機能性・合理性を追求した結果現れ、定着したものである。
整体操法も、「型」 に則っておこなわれる。整体の 「型」は、施術者側の技術としての力学的合理を追求するとともに、相手との気の感応がより深くおこなわれるようにつくられている。
前回の記事の身体気法会整体初級講座の内容にある、『 6.型、相手との間と度 』 というのは、自他との関係性の中で最善・最良のパフォーマンスを発揮でき、大きな効果を上げるための技術を 「型」 というものとして学ぶということである。
まずは腰に手を当てて頚を回し、また牛乳を雄々しく飲み干してみよう!!
それが 「型」 を知る第一歩、になるかもしれない。(?)
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