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ヒートショックとヒートショック・プロテイン その2

前回の記事からの続きだが、昨今の入浴の流行りは、ぬるいお風呂にゆっくり浸かるというリラックス志向である。

整体流の 「熱め、短め」 は、交感神経が緊張して寝付きが悪くなるとか、それこそヒートショックを引き起こすとか、医学・科学の分野の研究ではどちらかというと分が悪い。

しかし一方で、整体流を援護する科学的研究結果もあったりする。その一つが、ヒートショック・プロテイン(熱ショックタンパク質)だ。
熱ショックタンパク質とは、細胞が熱などのストレス化に置かれたときに発現が上昇して細胞を保護するタンパク質のことだ。このたんぱく質が活性化すると、具体的な御利益としては肌のツヤが良くなったり、免疫力がアップしたり、代謝が上がって冷え性や低体温が改善したりするという。原理的には、しなしなのレタスが50度洗いでシャキッとする、というのと同じことらしい。

これらの御利益は、整体の世界では熱めのお風呂に期待する効用としては極々常識的なものである。

熱ショックタンパク質に関しては、数年前から健康番組などで取り上げられてたようだが、最近ではリオ・オリンピックの陸上選手が、温度が高めの入浴法を取り入れて成果を上げたということが一部で話題になった。試合の2日前に熱めの風呂に入るのが、もっとも試合当日に力を発揮しやすいらしい。

 

整体の流儀は昔から変わらないのだが、時の流行りや科学の新常識などによって、整体は非科学的だとか逆に科学の先を行っているとか、いろいろと世間の評価が変わるのが面白い。

呼吸器を良くするのに目に愉気をするとか、脱肛を頭のてっぺんで治すとか、そんなものは科学的ではない、というようなことは整体創成期からたえず言われているようだ。
逆に、後から医学・科学の分野が追いつくこともあり、やっぱり整体はすごいとか、野口先生は天才だったとかいうこともある。(それだって、また新しい論文が出て二転三転するんだけれど・・・)

ある人は、整体は 「非科学的」 だといい、ある人は、「未科学的」、すなわち未だ科学では解明できない分野であるという。

私にとっては、正直どっちでもいい。そもそも、整体は科学ではない、と考えているから。
茶道や華道、武術、美術、音楽が科学ではないのと同じ感覚で、整体も科学ではない。

科学・医学の知識が整体の役に立つことは大いにある。しかし、別に整体が科学的である必要はないと思う。
医学は、もしかしたら大部分が科学なのかもしれないが、整体はどちらかというと人と人とのコミュニケーションだと考えている(潜在意識、無意識の領域まで含めての・・・)。

 

さて、熱めのお風呂に入る場合、その適温は何度ということではなく、入る前に湯を手でかき混ぜてちょうどよい湯加減を決める。
ぬるくては、体を引き締め活性化する効果はない。熱いけれど、気持ちいい温度、それが適温である。

ぬるいお湯に浸かって、後から追い焚きなどで加温するのは、余計に体がたるむのでよろしくない(中毒解消にはあく抜きのようなこの入り方が役に立つ)。あらかじめ適温にしておいてから入浴する。

いつまでも入っていられるようではお湯がぬるい。何分かしたら出たくなるくらいの温度がよい。
お湯から上がるタイミングは、温まり切るほんの直前で出るのがよい。それを越して入っていると逆上せてしまう。

足先が冷えるような人は、お湯から上がるときに足だけ湯に浸けたままで体を拭いて、その間足だけ余分に暖めておくといい。

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