花粉症
杉花粉のシーズンも、どうやらピークを越えたようだ。年々、症状が出る人も減り、成果はまずまずといったところで一安心している。
以前は、花粉症の急処を特定することに熱心であったが、最近はあまり考えずに操法している。花粉症は、春に起こる季節的な体の変化がスムーズにいかないと症状が出るのだが、そのつっかえる系統は人それぞれである。
風邪に対する操法も、第五胸椎などの普遍的なポイントもあるにはあるが、個人の体の特性や疲労の溜まり具合、季節の移り変わり方などで、操法の急処は変わってくる。
花粉症も同様で、その人の体の閊えている系統を調整することが、症状を出なくさせる早道だ。
また、とりあえず今出ている症状を抑えるというだけであれば、頚椎を調整すればかなり楽になる。
春の体の変化は、主に 「開閉」 と 「左右」 の問題が関わってくる。開閉は、冬の間に閉じていた骨格(筋肉・皮膚)が開いてくることで、この変化がどこかで痞えると花粉症が起こりやすい。そしてこの開く動きは、左右互い違いに開いていくので、左右、捻れの歪みが起こりやすい。
また、冬の体は排泄に熱心ではないので、冬の間にため込んでしまった余剰栄養や毒素、老廃物などを春の体の緩みとともに下痢などを通して排泄しはじめる。
中国医学でも春は肝臓の季節とされているが、整体的に見ても春の排泄は肝臓を中心とした消化器系の活動と見ることができる。
消化器系の働きは、背骨の動きでは、「左右」 に対応している。
よく断食などをすると宿便が出るという話を聞くことがあるが、宿便がどこにたまっているのかといえば、それは恐らく腸壁などではなく肝臓であろう。
断食後でも、春の排泄の下痢でも、肝臓にため込まれた不要物が、胆汁とともに腸に排泄されるのだろう。
この下痢が起こると肝臓が柔らかくなったり、腫れていたのが小さくなったりするのが観察できる。
骨格の開きは、頭、肩甲骨、骨盤と、上から開いていくのだが、眼の使い過ぎや頭の緊張が続くと、この変化が上手くいかなくなりやすい。ただでさえ冬の間は神経系の緊張が高まりやすいので、眼の蒸しタオルなどで、眼や頭の硬直など神経系の過緊張を弛めておくのが花粉症の予防になる。
また、肝臓に負担をかけないよう、食べ過ぎ、飲み過ぎは控えたい。食べ過ぎでは、特に高カロリー・高栄養のものが続いたり、甘いものなどの摂り過ぎもよくない。それから、ストレスや感情の乱れ、特に怒りやイライラは肝臓に変動を起こす。
特に冬のはじめくらいから気をつけるのがいいが、もちろんいつでも節度を以て飲食していれば、それが一番である。
それから、水分補給も大事で、冬の間にたっぷりと水を飲んでおくのも、花粉症予防にはお奨めである。
体が潤いのないひからびた状態であると、目鼻の粘膜が逆に水分を過剰に供給しようとするので、鼻水なども出やすくなってしまう。
春の花粉症シーズンに入る前に体を整えておくのがいいわけだが、本来は春の体の変化だけをスムーズにしようとしても、そんなに上手くいくはずはない。
夏にはしっかりと汗をかき、秋には食べ過ぎず、冬には水分を十分摂る、といったように、それぞれの季節にあった過ごし方、体の使い方を心がけることが大切である。