2009.11.06

冷えたら朝風呂に・・・

このところ急に寒くなってきたので、冷えの影響を受けて体調を崩している人が多い。
寒さの度合いとしては、真冬の方が断然寒いのだが、真冬になると体も冬用になり寒さに強くなるので、かえって今ぐらいの時期の方が冷えて具合の悪くなる人は多い。

今の季節は、多くは寝ているうちに冷えてしまう。つまり、寝冷えである。
そういうと、
「特に寝冷えをしている感じはありません」
という人が多いが、実は感覚的によくわかっていないだけで、実際は寝ている間に体は冷えていることがある。
試しに朝起きたらすぐに風呂に入ってみると、体が冷たくなっているのがよくわかる。真冬に寒い外から帰ってきて、すぐに風呂に入ったときのような、独特の感じがあると思う。

ちなみに、朝風呂は寝冷えにとても効く。熱めの風呂にサッと入るのがコツだ。
朝風呂に入ることに抵抗がある方は、膝湯でもいい。お風呂を熱く沸かして、7分ぐらいを目途に膝ぐらいまで温める。
足湯・膝湯は、ふだんの入浴温度よりも熱くないと効かない。

頭痛・鼻づまり・のどが痛いなど、首から上に症状があるときは足湯がよく、お腹が痛い・下痢・ガスが溜まるなど、お腹の症状には膝湯がよい。
寝冷えの解消には、膝湯がお奨めである。

元々整体では、くるぶしまで温めるのを足湯(そくとう)、膝ぐらいまで暖めるのを脚湯(きゃくとう)というが、
「脚湯って、足首まででしたっけ?」
のような人が結構いたので、混乱を避けるため当院では足湯(あしゆ)・膝湯(ひざゆ)とした。

それから、ふだん手足が冷えるという人は、厚手の靴下などもよいのだが、体幹部を暖かく保つというのも一つの方法である。
人間の体は、内臓や脳などを優先する傾向があるので、体が冷えてくると脳や内臓を守るために手足など末端の血行を犠牲にして、血液を体幹に引き上げてしまうのである。そのせいで、手足が余計に冷えるということがある。
手足が冷えるときは、Tシャツを一枚下に着るとか、ベストを着るとかして、胴体を暖かくするとよい。
外出時などは、首も温かくする。マフラーでもよいし、最近流行りだしたネックウォーマーなどでもよい。

|

2009.10.12

体の乾き

今年は秋口は、例年より体が乾き出すのが遅いかと思っていたのも束の間、先日の台風一過、急に体が乾き出してきた。
気温も下がり始め、寝冷えでいろいろな症状を呈する人も増えてきたが、体が乾くこともまた体調不良を引き起こす要因である。

人間は、体が乾いてくるということに対しては感覚的に鈍いようだ。暑いときの水分不足はまだ感じるのだが、涼しくなって、また寒くなってからの体の渇きにはとんと鈍い。鈍いのだが、影響の方はしっかり体に現れる。

例えば、
胃が荒れる、節々が痛い、皮膚がかゆい、目が乾く、空咳が出る、体がむくむ、小便が近くなるなどなど。
秋から初冬の胃の痛みや、布団に入ると咳が出るなどの症状は、水分を上手に摂ると、それだけで良くなってしまう場合が結構ある。

体が整体になってくると、渇きにも敏感になってくるが、まずは知識として「秋から冬は体が乾く」ということを知って、水分補給に気をつけるのがいいだろう。
潤っている状態が分からなければ、乾いている状態も分かりにくいのだから、ともかく水を飲んでみることから始めて欲しい。潤ってくると、体が乾いている状態の不快な感じが分かってくる。

水分と言っても、お茶や紅茶などは、体が潤わない。利尿作用が強いからであると思われるが、ともかく体を素通りしてしまう。コーヒーは、かえって体の渇きを助長する。
お酒はもっと乾く。お酒を飲む人は、よほど気をつけて乾き対策をしないとドンドン体が干からびて、老けていってしまう。お酒を飲むときは、一緒に水を飲むといい。

水分補給には、なんと言っても「水」がいい。
いっぺんのゴクゴクのむと、小水になって出てしまう分が増えるので、少量ずつ飲む。
少しずつ飲んで、回数で量をかせぐのがよい。
湯冷ましは、酸素も抜けてしまった死んだ水だからダメ。
スポーツ飲料のようなものは、多少の有効成分(イオン)と大量の糖分を秤にかけると、あまりお勧めできない。

秋口から初冬ぐらいまでは、スープや味噌汁、蕎麦、うどん、雑炊など、塩気のある温かい水分も吸収がよい。
そういうものを、食事の中に多くしていきながら、足りない分は水を飲むというのがいいだろう。
暖房器具を使い始めると急速に体が乾くので、スープだけでは到底足りなくなる。水を飲まなければいけない。

ちなみに、風呂に入りながら水を飲むのは、水分の吸収がよい。風呂上りも、それなりにいい。

同じようなことが書いてあるが、ここに書いたこと以外の情報もあるので、よろしければこちらもどうぞ。→ 若さを保つ乾燥対策

|

2009.08.21

足に合わない靴は履かない!

ここ数日、合わない靴を履いて足が痛くなったり、腰が痛くなったりという人が何人か続いた。

合わない靴を無理して履いていると、体のあちらこちらに悪影響がある。
靴が当たると皮がむけたりマメができたりするが、それ以外にも足首や膝、股関節などが痛くなることもある。また、脚の関節や筋肉だけでなく、その影響は骨盤や腰椎、そして頚椎にまで及ぶことも珍しくない。

靴のどこかが当たっていたり、窮屈なところがあったりすると、脚に変な力が入る。(もちろん足だけでなく影響は全身に及んでいる) そのまま歩いていると、無理のかかるところが硬直してくるのだろう。
それが、その人の元々持っていた体の歪みを助長することもあるし、新たなゆがみを作ってしまうこともある。
そして、合わない靴を履いておかしくしたところは、その影響が長引きやすく、なかなか治りにくい。

足に合う靴を探すのはなかなか骨が折れる。高価な靴ならいいかというとそういうわけでもないし、オーダーメイドの靴でも合わないことも結構ある。
革靴やハイヒール、サンダルなどはもちろんだが、スニーカーでも合う合わないがある。
靴屋さんで履いたときは良いと感じたものでも、外を歩いてみるとやっぱり合わないということもしばしばだ。
私も靴には気を使うほうで、気に入った靴(履きやすい靴)を見つけると、後日スペアを買いに行くこともある。
良い靴に当たったら、同じ靴を2足、3足買っておくのも一つの手である。
そして、しまっておくのではなく、交互にもしくはローテーションさせて履く。そうすると靴も長持ちするし、梅雨時や夏場などにも雑菌が繁殖しにくいという利点もある。

とにもかくにも、合わない靴は履かないことである。
たとえ高価な靴だったとしても、もったいないなどと言って履き続けてはいけない。それで掛け替えのない体を壊してしまっては何にもならない。
合わなかった靴がどうしても諦められなかったら、仕方がないので、玄関の隅にさりげなく飾っておこう。

|

2009.06.12

頭の緊張 ・眼の緊張

この記事を読む前に、まずは眼を閉じて、ゆっくり一から十まで数えていただきたい。
はい、どうぞ!


さて、あなたはおおよそ十秒間、眼を閉じていられたであろうか?
閉じていられた方は、頭の(脳の)緊張が適度で、それなりにリラックスしている人だ。
十も数えていられず、すぐに眼を開いてしまった方は、頭の緊張が強い人。
眼を閉じずに、ここまで読み進めた人は、さらに頭の緊張が強い人だ。
もしくは、とてもせっかちな人だが、その場合でも、もともと頭の緊張度は強い人といえる。

眼を閉じるという行為は、脳の緊張(興奮といってもいい)と密接に関連している。
脳の緊張が強いと、眼を閉じることが難しくなる。

操法において、仰臥で頚を触る場合など、相手の方が眼を開いていたら、閉じてもらう。
これは、眼を開いていると頚の緊張が抜けづらく、弛みにくいからだ。
頚が弛まないというのは、頭の緊張が抜けないということとイコールである。

しかし、ある程度以上に頭の緊張が強い人は、「目を閉じてください」と言っても、閉じることができず、眼をぱちぱちしている。
「眼を閉じづらいですか?」 と聞くと、本人も閉じられないのが意外らしく、戸惑いながら「はい」 という。
本当に緊張が強い場合は、眼を閉じようとしても閉じられないのだ。
無理に閉じても、まぶたがピクピクと痙攣する。

また、頭が緊張している人、頭が疲れている人は、眼を閉じても絶えず眼球が動いている。
まぶたの上から直接触って眼に愉気することがあるが、頭が弛まない人は、クルクルと眼球が動くのを指の下に感じる。
浅い眠りで、夢を見ているときと一緒である。

脳と眼は、とても近い関係にある。眼は、脳の出先機関のようなものである。
また、眼は心の窓とも言うが、心の平静を欠いているとき、つまり頭の中が正常でないときは、目つきもまたおかしい。

現代では、多くの人が眼を酷使している。眼そのものも疲れているが、その影響は頭にもいく。
パソコンでも読書でも、頭が疲れる前にまず眼が疲れてしまうこともある。
そして、眼が疲れると頭もボーっとして、役に立たなくなる。

そんなときは、蒸しタオルで眼を温めると良い。
眼の疲れも取れるが、同時に頭の緊張も弛む。

蒸しタオルは、しぼったタオルをレンジで温めてもいい。ただし、かなり熱くなるので火傷しないように注意が必要。
温める時間は、6~8分ぐらい。
できれば片眼ずつ温めると良いが、面倒だったら両方一度に温めてもいい。
よく冷めないようにと蒸しタオルをビニール袋などに入れる人がいるが、この場合はだんだんに冷めていくという温度の変化が体に良い影響をもたらすので、直接当てた方がよい。

|

2005.12.07

足湯で「しもやけ」もキレイに

先週ある人に、「朝起きたら、冷えの急所を押さえて足湯をする」ということをすすめた。その方は70代後半の女性で、毎年寒くなると足にしもやけができてあかぎれになるのだそうだ。今年も寒くなりだしてからしもやけができ始めて、すでにひび割れて歩くのも痛くて大変なのだという。
ところが、今週その方が来院したときには、「先生!足湯をしたら足のしもやけが治りました」と、とてもうれしそうにしている。「治りました」といってもきれいサッパリ治ってしまったわけではないだろうと思ったら、いやいやまさに、“きれいサッパリ”治ってしまっていた。
よく話を聞いてみると、言われたとおり3日ほど朝起き抜けに足湯をしたらしいのだが、1日目からみるみるうちに良くなって、5日後には全くきれいになってしまったという。
しもやけも、「冷え」によって起こっているのだから、その対処法として冷えの急所を押さえることと足湯をすすめたのだが、正直なところこれほど早く良くなってしまうとは思っていなかった。最近はしもやけをつくる人はめっきり少ないので、今まであまりみる機会がなかったのだが、やはりしもやけにも足湯は有効なのであった。
しもやけでお悩みの方、「冷える」ことで起こるいろいろなトラブルをお持ちの方、ともかく「朝の足湯」をお試しあれ。その前に冷えの急所を押さえることもお忘れなく。

|

2005.11.22

冷えの急所

11月も中旬に入ってから、体が冷えたことによって体調をくずしている人が増えてきた。症状はいろいろ。体が重い ・だるいから始まって、喉が痛い、鼻水 ・鼻づまり、腹痛 ・下痢、頻尿 ・尿が出づらい、喘息発作、神経痛、しゃっくり、いびきが急に大きくなったなどなど。腰痛も、冷えが原因で起こることは結構多い。
病院に行けば、鼻づまりと神経痛は別の病気だといわれて違う薬を処方されるだろうが、どちらも「冷え」によって起こっているのだから、同じ方法で解消できる。
「冷え」て具合が悪くなった場合は、何よりも温めることだ。どこを温めるかといえば、「足」である。朝起きてすぐの足湯が最も良い。今の時期、最も体が冷えるのは眠っている間。眠ると誰でも汗をかくが、その汗が冷えて寝冷えをする。足湯は、年末を越えてお正月あたりからは寝る前が良いが、今はまだ朝が良い。

〈足湯 ・膝湯〉
くるぶしが隠れるくらいの熱めのお湯に(入浴温度より2度ほど高くする)足を入れて、5分~7分。やかんなどに熱いお湯を用意しておいて、冷めてきたら差し湯をして温度が下がらないようにする。
足を出してみて両方赤くなっていたら、こするようによく拭いて終わり。皮膚の赤くなり方が左右で違っていたら、赤くなりきらない方をさらに2分ほど温める。この間に、赤くなっている方の足が冷えないように注意。
喉が痛い、鼻水が出るなどの頚から上の症状では足湯が良いが、お腹が痛い ・下痢 ・ガスがたまるなどお腹に症状が出ているとき、そしてこの時期の寝冷えの解消には膝まで温める「膝湯」が有効。

〈冷えの急所〉
冷えの影響で体に変動が起こったときには、足の第3 ・第4中足骨間がキューッと縮んで狭くなっている。「寒い、寒い」といっていても、ここが狭まっていなければ、冷えの影響はあまりない。逆に、冷えたという実感が無くても、ここが狭くなって押さえて痛みがあれば、体は冷えの影響を受けている。そして、そこを押さえてゆるめると、冷えの影響が抜ける。「冷えの急所」である。
足の甲の前半分を触ると、指の数だけ細長い骨が並んでいるのがわかると思う。これを中足骨というのだが、その内側(母指側)から数えて3本目と4本目の間が冷えの急所。手でいうなら中指と薬指の間になる。その骨と骨との間の溝を広げるような気持ちで押さえる。左右の足を比べて、より狭い方(多くはそちらが痛い)だけで良い。
指に近い方からジーッと押さえて、圧痛がやわらいだら少し足首の方へ指をずらしてまた押さえる。その繰り返しで、先の方から手前の方へ溝の終わりまで押さえていく。力ずくで押さえると効かないばかりか後が痛くなってしまう。力を入れ過ぎないようにゆっくりと押さえていって、そのまま気を通していくような気持ちで持続的に圧迫すると良い。
ここを上手に押さえると、冷えてお腹が痛いのや腰が痛いのも、それだけで良くなってしまうこともある。足湯、膝湯をする場合でも、その前にここを押さえてゆるめておけばなお効果が高い。両足の赤くなり方が同じくらいのときは、冷えの急所が痛い側の足を余分に温めて、左右差をつけるのもいい。

|

2005.08.09

エアコンは上手に使おう

このところ、エアコンで冷えたために体調をくずしている人がとても多い。冷えたことそれ自体の影響と、汗が出なくなったために起こる体の変調だ。

当たり前のことだが、夏は必ず暑い。そのため、体は暑さに適応すべく、ちゃんと「夏仕様」になっている。汗腺が開き、汗は出やすい。寒い冬と違って、皮膚も筋肉もゆるんでいる。そんな夏用の体は、当然冷えることには弱い。特に汗をびっしょりかいたまま、急にエアコンのきいた部屋に入ったりすると、たちまち汗が内攻する。汗をかいて、それが冷えることで体に悪影響を与えることを、整体法(野口整体)では「汗の内攻」という。自分でかいた汗が、自分を攻めるという意味である。ただ冷えるのに比べて、汗をかいている状態で冷える方が、体に対するダメージは断然大きい。夏はたえず汗をかいているので、エアコンによって汗が内攻するケースはとても多い。
外を歩いていて、エアコンの効いたお店に入ったり電車に乗ったりする場合は、よく汗を拭くことが大切だ。特に頚の汗は、よく拭いて内攻させないようにしたい。頚の汗を冷やすと、体にとって悪影響が大きい。あらかじめ、エアコンがきついところに行くことがわかっていれば、女性ならスカーフなどを用意するといい。男性も、襟のある服で出掛けたい。
エアコンをかけたまま眠って、寝冷えをしたとか膝が痛むようになったとかいう場合は、起きがけの朝風呂に入ることが有効。この場合、熱めのお風呂にサッと入る。ぬるい湯にゆったりでは、あまり効果がはっきりしない。

夏という季節は、汗を上手にかいていれば、おおむね健康に過ごせる。発汗が自然におこなわれている人は、暑さに強い。汗を内攻させることはいけないが、汗をかくこと自体は大切だ。汗が出ないと、体温調節がうまくいかないため、のぼせやすくなり、熱中症も起こしやすい。また、汗には老廃物・毒素の排泄の働きもあるので、汗をかける時期にどんどんかいておかなければいけない。
一日中エアコンの効いた部屋にいるような生活だと、汗をかけない体になってしまう。そうなると、ちょっとした暑さでも、すぐにのぼせたり暑気がするので、ますますエアコンから離れられなくなる。そして、どんどん発汗できない体になるという悪循環にはまってしまう。仕事などの関係で汗をかけない環境にいる人は、入浴や運動などを利用して汗をかく機会を、意識して日常生活の中につくる必要がある。
また、エアコンの設定温度が低すぎることも問題。夏は暑いのが当たり前で、体もそのようになっているのだから、ひんやりするほど冷やすのは体に良くない。座っていて動かなければ涼しいが、ちょっと動くとじんわり汗が出る、といった程度の温度で十分だと思う。まったく汗をかかないような冷え切った部屋に籠もって夏を過ごすのは、体の自然を破壊していく。地球温暖化の問題ももちろんなのだが、それ以前に自分の体のためにもエアコンの設定温度を上げて欲しい。

ここ十数年ほどで、日本の夏は急激に暑くなった。体温よりも気温の方が高い日もあるくらいだから、エアコンを使わないで生活するということは、ちょっと難しい。もちろん、エアコンが悪いわけではなく、問題は使い方である。体の自然を乱さないように、上手にエアコンを使うコツを体得していきたい。

|

2005.04.19

ぎっくり腰予防

最近、重いものを持ち上げようとして腰を痛めたという人が何人か続いて来院した。その方達に、「重いものを持ち上げるときは、息をお腹に吸い込んで、そのまま息を止めて動作すると腰を壊しませんよ」とアドバイスした。すると、その中のある方が、「え?息は吐きながら持ち上げるのではないのですか?」と訝しげにしている。よく聞いてみると、その方が通っているスポーツクラブでウエイトトレーニングをするときに、「息を吐きながら」と指導されているらしく、それをそのまま荷物運びにも運用したらしい。

ウエイトトレーニングでは、ポジティブ運動のときは息を吐きながらおこなうことが一般的である。ポジティブ運動とは、運動の主動筋が収縮する方向の運動である。腕立て伏せであれば、上腕三頭筋・大胸筋などが収縮する「体を押し上げる動き」がポジティブ運動。
反対に、ゆっくり「体を下ろしていく」方はネガティブ運動という。このときは、主動筋は少しずつ伸びながら力を出している。ネガティブ運動のときは、自然呼吸が良いとされる。
ポジティブ運動のときには、呼吸を止めず息を吐きながらおこなうことで筋肉への酸素供給が十分になり、疲労物質もたまりづらい。そのため、息を吐きながらおこなうと筋肉が固くなりにくいとされている。しかし、これは筋肉増強のためのトレーニングにおける特殊な呼吸の仕方である。普通は、重いものを持ち上げようとするときには、誰でも自然に息が止まる。

少し息を吸って、「うむ」とお腹に圧力がかかるように息を止める。そうすると腹圧が高まり、全身の力を集中しやすい。丹田に力の集まった状態だ。当然、腰も壊しにくい。
また、腰椎は筋肉だけでなく、同時にお腹の内圧、つまり腹圧でも支えているので、息を吐いて腹圧が下がった状態では大きな力は出せないし、無理をすると「ぎっくり腰」を起こす。
重いものを持ち上げるときは、まず自分の立ち位置と体勢を決めてから持ち上げることが大切だ。立ち位置が持ち上げるものから遠いと、腰にかかる負担が大きくなる。そして、少なくとも持ち上げる瞬間は息を止めていることが腰を壊さないコツである。

|

2004.12.07

冬の健康生活

冬の間、体にとって影響が大きいことに、「冷える」ことと並んで「乾く」ということがある。冷えには敏感な人も、意外と乾きには無頓着なことが多い。

冬になると、空気が乾燥してくる。空気が乾くにしたがって、体も乾いてくる。冷えても体が強張るが、乾燥しても硬くなる。この時期ぎっくり腰が多いのは、冷えと乾きのせいである。
体は水分が少なくなると、伸び縮みが悪くなる。筋肉でも椎間板でも弾力が無くなってくる。そのために、体の動きも見た目にわかるほど強張ってくる。なんとなくギクシャクしてくるというか、スムーズさがなくなってくる。

体が乾いてくると筋肉や関節が強張ってくるが、水分不足による影響は他にもいろいろな形で現れる。体のあちこちが痒くなったり、目鼻の粘膜に異常がでたり、むくんだり、小便が近くなったり。
しかし、そういう症状と水分が足りないということが、なかなか頭の中で結びつきにくい。水を飲めば解消するとは思わないで、場合によっては逆に水分補給を控えてしまうこともある。

トイレが近くなると、多くの人は水分を摂ることを控えようとする。水分を摂るからトイレに行きたくなるのだと思うからだが、実はこれは反対なのである。
体の水分量が少ないと尿の成分が濃くなり、あまりたまらないうちに尿意が起こる。しょっちゅうトイレに行きたくなり、そのくせ一回の量は少ない。
これは上手に水分を摂っていくと、わりと簡単に解消する。水分摂取を多くしていくと、だんだんと一回の量が多くなり、尿意を催す回数は減ってくる。始めのうちは、少ない水分でやりくりする癖が体にあるので、かえってトイレが近くなることもあるが、一週間もすると回数が減ってくる。

むくみも、水分が足りないことで起こる。体が少ない水分を惜しんで、捨てなくなるからだ。これも、上手に水分を摂ると解決することが多い。(ただし、寝る前にたくさん飲むとむくむこともあるので注意)

上手に水分を摂るためには、水分の種類と飲み方を工夫する必要がある。水分ならなんでも良いと思っていると、それこそトイレばかり近くなり体が潤わないということもある。

体が潤うためには、「水」を飲むのが良い。ミネラルウオーターでも良いし、気にならなければ水道水でも良い。秋口から年末ぐらいまでは、スープ、そば、雑炊、みそ汁、豚汁などの味のある温かい汁物も吸収する。食事の中に汁物を多くしながら、「水」を少しずつ飲むのが良い。年を越すと、とたんに「水」しか吸収しなくなる。意識して「水」を飲む必要がある。
お茶や紅茶、ハーブティーなどは、意外と体が潤わない。もちろんそれらも飲んで良いのだが、それとは別に「水」を飲むことが要る。コーヒーやお酒類は体を乾燥させるので、並行して「水」も飲んでおく。お酒飲みの人は、特に気をつけて「水」を飲まないと、どんどん体が乾燥してしまう。

飲み方の方は、少しずつ回数を多く飲むのがコツ。一度にごくごくとたくさん飲むと、みんな尿になって出てしまう。ペットボトルにでも入れておいて、たまに一口、二口ずつ飲むのが良い。
乾燥のひどい場合は、お風呂で湯舟に浸かりながら飲むと、一度にわりとたくさん飲んでも吸収が良い。

夏の間は暑いので自然に「水」を飲むものだが、冬は寒いこともあって、どうしても飲まなくなりがちだ。しかし、本当は体が乾いてくるこの時期こそ、「水」を飲むのが必要な時期であり、また飲んだ効果も大きい。
乾燥する時期に水分をとらないと、年齢よりもみずみずしさがなく、老けて見えるようになってしまう。しかし、そういう人でもこの時期に上手に水分をとるとだんだんと変わってくる。2年、3年と飲み続けると、その差は歴然とする。
また、皮膚病、神経痛などは、この時期「水」を飲むことが症状の改善に役立つ。夏の間はいくら飲んでもあまり変化はないが、乾燥する冬の間は、「水」を飲むだけでかなり改善する。

駅や電車の中などで、リップクリームを塗っている人を見かけるが、上手に水分を摂ればそれも必要なくなる。くちびるが乾くのは、体の乾燥のいい目安になる。くちびるが乾いてきたら、だいぶ体は乾燥している。この冬は上手に水分を補給して、リップクリーム要らずで過ごせるようにチャレンジしてみてはいかがだろうか。乾燥がひどい人はすぐには無理かもしれないが、この冬に「水」を飲んでおくと、来年は必ず今年より潤っている。みずみずしさは、まさに「水」を飲むところから始まる。

|

2004.11.15

達人の咀嚼?!

前回、片噛み解消法で顎を大きく動かしてものを噛むといいと書いた。最近の日本人は、昔に比べて硬いものを食べなくなったので、顎の動かし方も自然と小さくなってきているのだろう。そのせいで、最近の若者は顎の発達も悪くなってきているともいわれている。顎の発達が悪くなると、歯並びも悪くなる。

そして、歯の噛み合わせが悪いと筋力も低下する。ウエイトリフティングなどのパワー系の競技ではその影響は顕著だそうだ。マウスガードやテンプレート(奥歯で噛みしめる形の器具)を使い噛み合わせを調節すると、筋力や集中力がアップして競技能力が高くなるという。また、射撃競技などでも、体の揺れが軽減して標的が狙いやすくなるそうだ。

以前どこかで、「身体能力に優れた人は、ものを食べるときに顎を大きく動かしている」、という内容のコラムを読んだことがある。そのコラムによると、メジャーリーグで活躍中のイチロー選手は、こめかみまで大きく動くぐらい顎をダイナミックに動かして食事をするらしい。

私が知っている中で最も顎を大きく使って咀嚼されていた方は、武術家の黒田鉄山師範である。そして、私が実際に目にしたことのある中で、最も身体操作能力に秀でた方でもある。
黒田先生は、駒川改心流剣術・民弥流居合術・四心多久間流柔術など日本古流武術5流儀の宗家でいらっしゃる。一般の方には馴染みが薄いかもしれないが、古武術界では平成の英傑と呼ばれる方で、その動きのすばらしさは、「生きた奇跡」といっても過言ではない。
私は以前、黒田鉄山先生の道場に1年半ほど通わせていただいていたことがある。黒田先生は、まさにこめかみまで動かしながら、大きく咀嚼されていた。こめかみが目立つほど動くということは、大きく動かしているというだけではなく、しっかりと噛んでいるということでもある。

イチロー、そして黒田先生・・・。しっかりと物を噛む能力があるということは、身体運動の達人たる一つの条件なのかもしれない。
そういえば、堺正章も「かくし芸」の達人であった。

|