最近、「浮き指」 が注目されている。浮き指とは、足の指が反ってしまい地面につかないものをいうそうだ。足の横方向のアーチがつぶれることと関係があるともいう。
普通に立って足指が反って浮いてしまっているのはもちろん足指が使えない状態だが、見た目は足指が地面に着いていても、実際には力が入っておらず役に立っていない場合もある。
これは浮き指とはいわないのかもしれないが、浮き指予備軍でもあり、実質的には軽度の浮き指ということになるのではないだろうか。
前後に25センチある足の人も、足指が使えていなければ、実質的には長さ20センチになってしまう。当然、体を支える面積もだいぶ減少してしまう。
大きな体を小さな足裏で支えて、重心のコントロールをしなければならないのであるから、縦方向の5センチ減は、結構な痛手である。
しかも、足指が使えない状態であるということは、目に見える足指の続きである足の甲の中にある 「中足骨」 もうまく働いていないということは明らかである。
中足骨と踵骨(かかとの骨)の間には、三つの楔状骨、立方骨、舟状骨、距骨があり、それらの骨格パーツが少しずついろんなことを分担して体を支えたり歩いたりしている。細かい作業を担当している手と比べると動きは小さく見えるが、本来足裏・足指の性能は、手とはまた違った意味で非常に高度なものなのである。
しかし、足指が使えなくなっているということは、すでに足全体の機能がかなり縮小した状態であるといえる。支える面積が減った上に、機能も低下しているのだから、足の持つ体を支える能力は相当なレベルダウンである。
そうなると、足以外の部分、例えば下腿、膝、大腿、股関節、臀部、腰などが、本来足裏で調整していた分の立位保持の仕事を負担しようとする。当然本来なら要らない力が体の各部に入るようになり、それが続くとだんだんと筋肉は硬直して体は固まってくる。
体が固まると、なおさらバランスをとる機能は低下する。長細く縦に立っている体を倒れないようにバランスをとるには、本来体を柔らかく使えるほど有利なのだが、固まる程にバランスを取るのは難しくなるため、ますます力に頼って更に体を固めていくという、まことに非合理的な悪循環の連鎖に陥ってしまう。
この体の硬直は、下半身にとどまらず、頚や頭まで波及していくことになるので、肩こりやひどいと頭痛などの遠因にもなる。
また、本当なら力を入れなくてよいところに力が入り続けるので、足が必要以上に太くなったり、腰回り太くなったりするので、美容の面でもよろしくない。
さて、ではどうしたらいいのかといえば、はじめに戻って足指が地面に着いて、しかもしっかり地面を押さえられるように訓練するのがいいのである。
浮き指は、足指が反ってしまっているのだから、当然足裏方向に曲げることが苦手になっている。それを曲げる練習をすると、だんだんと曲がるようにもなるし、足指が地面を押さえる力も出てくる。まずは曲がらないことには、働きようもないのだ。
具体的にはどうすればよいかといえば、足指ジャンケンのグーをする。反らすの反対、足指を丸めるように曲げるのだ。
当院に通われてこられる方々に足の指を曲げてもらってみると、一番付け根の関節(中足趾節関節)が曲がらない人が多い。中には、付け根の関節がほとんど曲がらない人もいる。
これを毎日曲げるように練習してもらうと、少しずつだがだんだんと関節が曲がるようになってくる。ほんのちょっとでも曲がるようになると、その分足の性能が上がるので、体全体からすると不必要な緊張が減って楽になるのである。
ちなみに私は結構曲がる方である。ほとんどの人に、「そんなに曲がるものですか!?」 と驚かれる。パッと見は、軽く握ったこぶしぐらい丸くなる。
調子に乗って、「こうやって立つこともできますよ」 と足先の足指を曲げた部分で立って見せていたら、だんだん痛くなってきたので、最近はやめている。
まあ、そもそも最初からそこで立つ必要はまったくないので・・・。
指を曲げる練習は、まずは自力で曲げることが第一である。慣れてきたら、指先に少し力を入れて簀巻きでものを巻きこむような感じできっちり巻き込む練習するとよい。
一定期間続けたら、今度は足指の上に手の指四本を重ねて補助するように曲げてみる。はじめはあまり力を入れず、少しずつ慣らすようにする。いきなり力を入れてやると痛めてしまうこともあるので要注意。
それにも慣れて、足が痛くなることがなければ、今度は手のひらを重ねてまさに簀巻きで巻くように足指を巻いていく。手のひらを当てると、手指のときよりも力が強くかかるので、これもまた用心深く少しずつ少しずつ慣らしながらおこなおう。
足の能力開発にはほかにもいろいろな方向性があるが、足指が地面を捉えられるようになるには、まずは曲がるようにすることが第一なので、とりあえず足指曲げがお勧めなのである。
前回の記事でも関連記事として紹介したのだが、整体操法随想 というもう一つのブログの方に足指・足裏のことを書いた記事があるので今回も紹介したい。
ただし、こちらの記事で紹介している内容は、整体操法や武術など特殊な体の使い方に関してのもので、自然に歩くときなどはあまり意識せずに足を使った方がよいことが多い。
そちらのブログの方は、どちらかというと私的なブログというか、好き勝手なことを自由に書いている。このブログと白山治療院のHPにリンクがあるだけで、検索エンジンの検索にも掛からないように設定してあるので、縁のある人がたどり着いたら読んでください、といったスタンスで書いている。
~ 関連記事 ~
功夫口訣5 ~ 十趾抓地 ~
「足は親指」 の続き・・・。