2009.11.06

冷えたら朝風呂に・・・

このところ急に寒くなってきたので、冷えの影響を受けて体調を崩している人が多い。
寒さの度合いとしては、真冬の方が断然寒いのだが、真冬になると体も冬用になり寒さに強くなるので、かえって今ぐらいの時期の方が冷えて具合の悪くなる人は多い。

今の季節は、多くは寝ているうちに冷えてしまう。つまり、寝冷えである。
そういうと、
「特に寝冷えをしている感じはありません」
という人が多いが、実は感覚的によくわかっていないだけで、実際は寝ている間に体は冷えていることがある。
試しに朝起きたらすぐに風呂に入ってみると、体が冷たくなっているのがよくわかる。真冬に寒い外から帰ってきて、すぐに風呂に入ったときのような、独特の感じがあると思う。

ちなみに、朝風呂は寝冷えにとても効く。熱めの風呂にサッと入るのがコツだ。
朝風呂に入ることに抵抗がある方は、膝湯でもいい。お風呂を熱く沸かして、7分ぐらいを目途に膝ぐらいまで温める。
足湯・膝湯は、ふだんの入浴温度よりも熱くないと効かない。

頭痛・鼻づまり・のどが痛いなど、首から上に症状があるときは足湯がよく、お腹が痛い・下痢・ガスが溜まるなど、お腹の症状には膝湯がよい。
寝冷えの解消には、膝湯がお奨めである。

元々整体では、くるぶしまで温めるのを足湯(そくとう)、膝ぐらいまで暖めるのを脚湯(きゃくとう)というが、
「脚湯って、足首まででしたっけ?」
のような人が結構いたので、混乱を避けるため当院では足湯(あしゆ)・膝湯(ひざゆ)とした。

それから、ふだん手足が冷えるという人は、厚手の靴下などもよいのだが、体幹部を暖かく保つというのも一つの方法である。
人間の体は、内臓や脳などを優先する傾向があるので、体が冷えてくると脳や内臓を守るために手足など末端の血行を犠牲にして、血液を体幹に引き上げてしまうのである。そのせいで、手足が余計に冷えるということがある。
手足が冷えるときは、Tシャツを一枚下に着るとか、ベストを着るとかして、胴体を暖かくするとよい。
外出時などは、首も温かくする。マフラーでもよいし、最近流行りだしたネックウォーマーなどでもよい。

|

2009.10.12

体の乾き

今年は秋口は、例年より体が乾き出すのが遅いかと思っていたのも束の間、先日の台風一過、急に体が乾き出してきた。
気温も下がり始め、寝冷えでいろいろな症状を呈する人も増えてきたが、体が乾くこともまた体調不良を引き起こす要因である。

人間は、体が乾いてくるということに対しては感覚的に鈍いようだ。暑いときの水分不足はまだ感じるのだが、涼しくなって、また寒くなってからの体の渇きにはとんと鈍い。鈍いのだが、影響の方はしっかり体に現れる。

例えば、
胃が荒れる、節々が痛い、皮膚がかゆい、目が乾く、空咳が出る、体がむくむ、小便が近くなるなどなど。
秋から初冬の胃の痛みや、布団に入ると咳が出るなどの症状は、水分を上手に摂ると、それだけで良くなってしまう場合が結構ある。

体が整体になってくると、渇きにも敏感になってくるが、まずは知識として「秋から冬は体が乾く」ということを知って、水分補給に気をつけるのがいいだろう。
潤っている状態が分からなければ、乾いている状態も分かりにくいのだから、ともかく水を飲んでみることから始めて欲しい。潤ってくると、体が乾いている状態の不快な感じが分かってくる。

水分と言っても、お茶や紅茶などは、体が潤わない。利尿作用が強いからであると思われるが、ともかく体を素通りしてしまう。コーヒーは、かえって体の渇きを助長する。
お酒はもっと乾く。お酒を飲む人は、よほど気をつけて乾き対策をしないとドンドン体が干からびて、老けていってしまう。お酒を飲むときは、一緒に水を飲むといい。

水分補給には、なんと言っても「水」がいい。
いっぺんのゴクゴクのむと、小水になって出てしまう分が増えるので、少量ずつ飲む。
少しずつ飲んで、回数で量をかせぐのがよい。
湯冷ましは、酸素も抜けてしまった死んだ水だからダメ。
スポーツ飲料のようなものは、多少の有効成分(イオン)と大量の糖分を秤にかけると、あまりお勧めできない。

秋口から初冬ぐらいまでは、スープや味噌汁、蕎麦、うどん、雑炊など、塩気のある温かい水分も吸収がよい。
そういうものを、食事の中に多くしていきながら、足りない分は水を飲むというのがいいだろう。
暖房器具を使い始めると急速に体が乾くので、スープだけでは到底足りなくなる。水を飲まなければいけない。

ちなみに、風呂に入りながら水を飲むのは、水分の吸収がよい。風呂上りも、それなりにいい。

同じようなことが書いてあるが、ここに書いたこと以外の情報もあるので、よろしければこちらもどうぞ。→ 若さを保つ乾燥対策

|

2009.08.21

足に合わない靴は履かない!

ここ数日、合わない靴を履いて足が痛くなったり、腰が痛くなったりという人が何人か続いた。

合わない靴を無理して履いていると、体のあちらこちらに悪影響がある。
靴が当たると皮がむけたりマメができたりするが、それ以外にも足首や膝、股関節などが痛くなることもある。また、脚の関節や筋肉だけでなく、その影響は骨盤や腰椎、そして頚椎にまで及ぶことも珍しくない。

靴のどこかが当たっていたり、窮屈なところがあったりすると、脚に変な力が入る。(もちろん足だけでなく影響は全身に及んでいる) そのまま歩いていると、無理のかかるところが硬直してくるのだろう。
それが、その人の元々持っていた体の歪みを助長することもあるし、新たなゆがみを作ってしまうこともある。
そして、合わない靴を履いておかしくしたところは、その影響が長引きやすく、なかなか治りにくい。

足に合う靴を探すのはなかなか骨が折れる。高価な靴ならいいかというとそういうわけでもないし、オーダーメイドの靴でも合わないことも結構ある。
革靴やハイヒール、サンダルなどはもちろんだが、スニーカーでも合う合わないがある。
靴屋さんで履いたときは良いと感じたものでも、外を歩いてみるとやっぱり合わないということもしばしばだ。
私も靴には気を使うほうで、気に入った靴(履きやすい靴)を見つけると、後日スペアを買いに行くこともある。
良い靴に当たったら、同じ靴を2足、3足買っておくのも一つの手である。
そして、しまっておくのではなく、交互にもしくはローテーションさせて履く。そうすると靴も長持ちするし、梅雨時や夏場などにも雑菌が繁殖しにくいという利点もある。

とにもかくにも、合わない靴は履かないことである。
たとえ高価な靴だったとしても、もったいないなどと言って履き続けてはいけない。それで掛け替えのない体を壊してしまっては何にもならない。
合わなかった靴がどうしても諦められなかったら、仕方がないので、玄関の隅にさりげなく飾っておこう。

|

2009.06.12

頭の緊張 ・眼の緊張

この記事を読む前に、まずは眼を閉じて、ゆっくり一から十まで数えていただきたい。
はい、どうぞ!


さて、あなたはおおよそ十秒間、眼を閉じていられたであろうか?
閉じていられた方は、頭の(脳の)緊張が適度で、それなりにリラックスしている人だ。
十も数えていられず、すぐに眼を開いてしまった方は、頭の緊張が強い人。
眼を閉じずに、ここまで読み進めた人は、さらに頭の緊張が強い人だ。
もしくは、とてもせっかちな人だが、その場合でも、もともと頭の緊張度は強い人といえる。

眼を閉じるという行為は、脳の緊張(興奮といってもいい)と密接に関連している。
脳の緊張が強いと、眼を閉じることが難しくなる。

操法において、仰臥で頚を触る場合など、相手の方が眼を開いていたら、閉じてもらう。
これは、眼を開いていると頚の緊張が抜けづらく、弛みにくいからだ。
頚が弛まないというのは、頭の緊張が抜けないということとイコールである。

しかし、ある程度以上に頭の緊張が強い人は、「目を閉じてください」と言っても、閉じることができず、眼をぱちぱちしている。
「眼を閉じづらいですか?」 と聞くと、本人も閉じられないのが意外らしく、戸惑いながら「はい」 という。
本当に緊張が強い場合は、眼を閉じようとしても閉じられないのだ。
無理に閉じても、まぶたがピクピクと痙攣する。

また、頭が緊張している人、頭が疲れている人は、眼を閉じても絶えず眼球が動いている。
まぶたの上から直接触って眼に愉気することがあるが、頭が弛まない人は、クルクルと眼球が動くのを指の下に感じる。
浅い眠りで、夢を見ているときと一緒である。

脳と眼は、とても近い関係にある。眼は、脳の出先機関のようなものである。
また、眼は心の窓とも言うが、心の平静を欠いているとき、つまり頭の中が正常でないときは、目つきもまたおかしい。

現代では、多くの人が眼を酷使している。眼そのものも疲れているが、その影響は頭にもいく。
パソコンでも読書でも、頭が疲れる前にまず眼が疲れてしまうこともある。
そして、眼が疲れると頭もボーっとして、役に立たなくなる。

そんなときは、蒸しタオルで眼を温めると良い。
眼の疲れも取れるが、同時に頭の緊張も弛む。

蒸しタオルは、しぼったタオルをレンジで温めてもいい。ただし、かなり熱くなるので火傷しないように注意が必要。
温める時間は、6~8分ぐらい。
できれば片眼ずつ温めると良いが、面倒だったら両方一度に温めてもいい。
よく冷めないようにと蒸しタオルをビニール袋などに入れる人がいるが、この場合はだんだんに冷めていくという温度の変化が体に良い影響をもたらすので、直接当てた方がよい。

|

2005.12.07

足湯で「しもやけ」もキレイに

先週ある人に、「朝起きたら、冷えの急所を押さえて足湯をする」ということをすすめた。その方は70代後半の女性で、毎年寒くなると足にしもやけができてあかぎれになるのだそうだ。今年も寒くなりだしてからしもやけができ始めて、すでにひび割れて歩くのも痛くて大変なのだという。
ところが、今週その方が来院したときには、「先生!足湯をしたら足のしもやけが治りました」と、とてもうれしそうにしている。「治りました」といってもきれいサッパリ治ってしまったわけではないだろうと思ったら、いやいやまさに、“きれいサッパリ”治ってしまっていた。
よく話を聞いてみると、言われたとおり3日ほど朝起き抜けに足湯をしたらしいのだが、1日目からみるみるうちに良くなって、5日後には全くきれいになってしまったという。
しもやけも、「冷え」によって起こっているのだから、その対処法として冷えの急所を押さえることと足湯をすすめたのだが、正直なところこれほど早く良くなってしまうとは思っていなかった。最近はしもやけをつくる人はめっきり少ないので、今まであまりみる機会がなかったのだが、やはりしもやけにも足湯は有効なのであった。
しもやけでお悩みの方、「冷える」ことで起こるいろいろなトラブルをお持ちの方、ともかく「朝の足湯」をお試しあれ。その前に冷えの急所を押さえることもお忘れなく。

|

2005.11.22

冷えの急所

11月も中旬に入ってから、体が冷えたことによって体調をくずしている人が増えてきた。症状はいろいろ。体が重い ・だるいから始まって、喉が痛い、鼻水 ・鼻づまり、腹痛 ・下痢、頻尿 ・尿が出づらい、喘息発作、神経痛、しゃっくり、いびきが急に大きくなったなどなど。腰痛も、冷えが原因で起こることは結構多い。
病院に行けば、鼻づまりと神経痛は別の病気だといわれて違う薬を処方されるだろうが、どちらも「冷え」によって起こっているのだから、同じ方法で解消できる。
「冷え」て具合が悪くなった場合は、何よりも温めることだ。どこを温めるかといえば、「足」である。朝起きてすぐの足湯が最も良い。今の時期、最も体が冷えるのは眠っている間。眠ると誰でも汗をかくが、その汗が冷えて寝冷えをする。足湯は、年末を越えてお正月あたりからは寝る前が良いが、今はまだ朝が良い。

〈足湯 ・膝湯〉
くるぶしが隠れるくらいの熱めのお湯に(入浴温度より2度ほど高くする)足を入れて、5分~7分。やかんなどに熱いお湯を用意しておいて、冷めてきたら差し湯をして温度が下がらないようにする。
足を出してみて両方赤くなっていたら、こするようによく拭いて終わり。皮膚の赤くなり方が左右で違っていたら、赤くなりきらない方をさらに2分ほど温める。この間に、赤くなっている方の足が冷えないように注意。
喉が痛い、鼻水が出るなどの頚から上の症状では足湯が良いが、お腹が痛い ・下痢 ・ガスがたまるなどお腹に症状が出ているとき、そしてこの時期の寝冷えの解消には膝まで温める「膝湯」が有効。

〈冷えの急所〉
冷えの影響で体に変動が起こったときには、足の第3 ・第4中足骨間がキューッと縮んで狭くなっている。「寒い、寒い」といっていても、ここが狭まっていなければ、冷えの影響はあまりない。逆に、冷えたという実感が無くても、ここが狭くなって押さえて痛みがあれば、体は冷えの影響を受けている。そして、そこを押さえてゆるめると、冷えの影響が抜ける。「冷えの急所」である。
足の甲の前半分を触ると、指の数だけ細長い骨が並んでいるのがわかると思う。これを中足骨というのだが、その内側(母指側)から数えて3本目と4本目の間が冷えの急所。手でいうなら中指と薬指の間になる。その骨と骨との間の溝を広げるような気持ちで押さえる。左右の足を比べて、より狭い方(多くはそちらが痛い)だけで良い。
指に近い方からジーッと押さえて、圧痛がやわらいだら少し足首の方へ指をずらしてまた押さえる。その繰り返しで、先の方から手前の方へ溝の終わりまで押さえていく。力ずくで押さえると効かないばかりか後が痛くなってしまう。力を入れ過ぎないようにゆっくりと押さえていって、そのまま気を通していくような気持ちで持続的に圧迫すると良い。
ここを上手に押さえると、冷えてお腹が痛いのや腰が痛いのも、それだけで良くなってしまうこともある。足湯、膝湯をする場合でも、その前にここを押さえてゆるめておけばなお効果が高い。両足の赤くなり方が同じくらいのときは、冷えの急所が痛い側の足を余分に温めて、左右差をつけるのもいい。

|

2005.08.09

エアコンは上手に使おう

このところ、エアコンで冷えたために体調をくずしている人がとても多い。冷えたことそれ自体の影響と、汗が出なくなったために起こる体の変調だ。

当たり前のことだが、夏は必ず暑い。そのため、体は暑さに適応すべく、ちゃんと「夏仕様」になっている。汗腺が開き、汗は出やすい。寒い冬と違って、皮膚も筋肉もゆるんでいる。そんな夏用の体は、当然冷えることには弱い。特に汗をびっしょりかいたまま、急にエアコンのきいた部屋に入ったりすると、たちまち汗が内攻する。汗をかいて、それが冷えることで体に悪影響を与えることを、整体法(野口整体)では「汗の内攻」という。自分でかいた汗が、自分を攻めるという意味である。ただ冷えるのに比べて、汗をかいている状態で冷える方が、体に対するダメージは断然大きい。夏はたえず汗をかいているので、エアコンによって汗が内攻するケースはとても多い。
外を歩いていて、エアコンの効いたお店に入ったり電車に乗ったりする場合は、よく汗を拭くことが大切だ。特に頚の汗は、よく拭いて内攻させないようにしたい。頚の汗を冷やすと、体にとって悪影響が大きい。あらかじめ、エアコンがきついところに行くことがわかっていれば、女性ならスカーフなどを用意するといい。男性も、襟のある服で出掛けたい。
エアコンをかけたまま眠って、寝冷えをしたとか膝が痛むようになったとかいう場合は、起きがけの朝風呂に入ることが有効。この場合、熱めのお風呂にサッと入る。ぬるい湯にゆったりでは、あまり効果がはっきりしない。

夏という季節は、汗を上手にかいていれば、おおむね健康に過ごせる。発汗が自然におこなわれている人は、暑さに強い。汗を内攻させることはいけないが、汗をかくこと自体は大切だ。汗が出ないと、体温調節がうまくいかないため、のぼせやすくなり、熱中症も起こしやすい。また、汗には老廃物・毒素の排泄の働きもあるので、汗をかける時期にどんどんかいておかなければいけない。
一日中エアコンの効いた部屋にいるような生活だと、汗をかけない体になってしまう。そうなると、ちょっとした暑さでも、すぐにのぼせたり暑気がするので、ますますエアコンから離れられなくなる。そして、どんどん発汗できない体になるという悪循環にはまってしまう。仕事などの関係で汗をかけない環境にいる人は、入浴や運動などを利用して汗をかく機会を、意識して日常生活の中につくる必要がある。
また、エアコンの設定温度が低すぎることも問題。夏は暑いのが当たり前で、体もそのようになっているのだから、ひんやりするほど冷やすのは体に良くない。座っていて動かなければ涼しいが、ちょっと動くとじんわり汗が出る、といった程度の温度で十分だと思う。まったく汗をかかないような冷え切った部屋に籠もって夏を過ごすのは、体の自然を破壊していく。地球温暖化の問題ももちろんなのだが、それ以前に自分の体のためにもエアコンの設定温度を上げて欲しい。

ここ十数年ほどで、日本の夏は急激に暑くなった。体温よりも気温の方が高い日もあるくらいだから、エアコンを使わないで生活するということは、ちょっと難しい。もちろん、エアコンが悪いわけではなく、問題は使い方である。体の自然を乱さないように、上手にエアコンを使うコツを体得していきたい。

|

2005.04.19

ぎっくり腰予防

最近、重いものを持ち上げようとして腰を痛めたという人が何人か続いて来院した。その方達に、「重いものを持ち上げるときは、息をお腹に吸い込んで、そのまま息を止めて動作すると腰を壊しませんよ」とアドバイスした。すると、その中のある方が、「え?息は吐きながら持ち上げるのではないのですか?」と訝しげにしている。よく聞いてみると、その方が通っているスポーツクラブでウエイトトレーニングをするときに、「息を吐きながら」と指導されているらしく、それをそのまま荷物運びにも運用したらしい。

ウエイトトレーニングでは、ポジティブ運動のときは息を吐きながらおこなうことが一般的である。ポジティブ運動とは、運動の主動筋が収縮する方向の運動である。腕立て伏せであれば、上腕三頭筋・大胸筋などが収縮する「体を押し上げる動き」がポジティブ運動。
反対に、ゆっくり「体を下ろしていく」方はネガティブ運動という。このときは、主動筋は少しずつ伸びながら力を出している。ネガティブ運動のときは、自然呼吸が良いとされる。
ポジティブ運動のときには、呼吸を止めず息を吐きながらおこなうことで筋肉への酸素供給が十分になり、疲労物質もたまりづらい。そのため、息を吐きながらおこなうと筋肉が固くなりにくいとされている。しかし、これは筋肉増強のためのトレーニングにおける特殊な呼吸の仕方である。普通は、重いものを持ち上げようとするときには、誰でも自然に息が止まる。

少し息を吸って、「うむ」とお腹に圧力がかかるように息を止める。そうすると腹圧が高まり、全身の力を集中しやすい。丹田に力の集まった状態だ。当然、腰も壊しにくい。
また、腰椎は筋肉だけでなく、同時にお腹の内圧、つまり腹圧でも支えているので、息を吐いて腹圧が下がった状態では大きな力は出せないし、無理をすると「ぎっくり腰」を起こす。
重いものを持ち上げるときは、まず自分の立ち位置と体勢を決めてから持ち上げることが大切だ。立ち位置が持ち上げるものから遠いと、腰にかかる負担が大きくなる。そして、少なくとも持ち上げる瞬間は息を止めていることが腰を壊さないコツである。

|

2004.12.07

冬の健康生活

冬の間、体にとって影響が大きいことに、「冷える」ことと並んで「乾く」ということがある。冷えには敏感な人も、意外と乾きには無頓着なことが多い。

冬になると、空気が乾燥してくる。空気が乾くにしたがって、体も乾いてくる。冷えても体が強張るが、乾燥しても硬くなる。この時期ぎっくり腰が多いのは、冷えと乾きのせいである。
体は水分が少なくなると、伸び縮みが悪くなる。筋肉でも椎間板でも弾力が無くなってくる。そのために、体の動きも見た目にわかるほど強張ってくる。なんとなくギクシャクしてくるというか、スムーズさがなくなってくる。

体が乾いてくると筋肉や関節が強張ってくるが、水分不足による影響は他にもいろいろな形で現れる。体のあちこちが痒くなったり、目鼻の粘膜に異常がでたり、むくんだり、小便が近くなったり。
しかし、そういう症状と水分が足りないということが、なかなか頭の中で結びつきにくい。水を飲めば解消するとは思わないで、場合によっては逆に水分補給を控えてしまうこともある。

トイレが近くなると、多くの人は水分を摂ることを控えようとする。水分を摂るからトイレに行きたくなるのだと思うからだが、実はこれは反対なのである。
体の水分量が少ないと尿の成分が濃くなり、あまりたまらないうちに尿意が起こる。しょっちゅうトイレに行きたくなり、そのくせ一回の量は少ない。
これは上手に水分を摂っていくと、わりと簡単に解消する。水分摂取を多くしていくと、だんだんと一回の量が多くなり、尿意を催す回数は減ってくる。始めのうちは、少ない水分でやりくりする癖が体にあるので、かえってトイレが近くなることもあるが、一週間もすると回数が減ってくる。

むくみも、水分が足りないことで起こる。体が少ない水分を惜しんで、捨てなくなるからだ。これも、上手に水分を摂ると解決することが多い。(ただし、寝る前にたくさん飲むとむくむこともあるので注意)

上手に水分を摂るためには、水分の種類と飲み方を工夫する必要がある。水分ならなんでも良いと思っていると、それこそトイレばかり近くなり体が潤わないということもある。

体が潤うためには、「水」を飲むのが良い。ミネラルウオーターでも良いし、気にならなければ水道水でも良い。秋口から年末ぐらいまでは、スープ、そば、雑炊、みそ汁、豚汁などの味のある温かい汁物も吸収する。食事の中に汁物を多くしながら、「水」を少しずつ飲むのが良い。年を越すと、とたんに「水」しか吸収しなくなる。意識して「水」を飲む必要がある。
お茶や紅茶、ハーブティーなどは、意外と体が潤わない。もちろんそれらも飲んで良いのだが、それとは別に「水」を飲むことが要る。コーヒーやお酒類は体を乾燥させるので、並行して「水」も飲んでおく。お酒飲みの人は、特に気をつけて「水」を飲まないと、どんどん体が乾燥してしまう。

飲み方の方は、少しずつ回数を多く飲むのがコツ。一度にごくごくとたくさん飲むと、みんな尿になって出てしまう。ペットボトルにでも入れておいて、たまに一口、二口ずつ飲むのが良い。
乾燥のひどい場合は、お風呂で湯舟に浸かりながら飲むと、一度にわりとたくさん飲んでも吸収が良い。

夏の間は暑いので自然に「水」を飲むものだが、冬は寒いこともあって、どうしても飲まなくなりがちだ。しかし、本当は体が乾いてくるこの時期こそ、「水」を飲むのが必要な時期であり、また飲んだ効果も大きい。
乾燥する時期に水分をとらないと、年齢よりもみずみずしさがなく、老けて見えるようになってしまう。しかし、そういう人でもこの時期に上手に水分をとるとだんだんと変わってくる。2年、3年と飲み続けると、その差は歴然とする。
また、皮膚病、神経痛などは、この時期「水」を飲むことが症状の改善に役立つ。夏の間はいくら飲んでもあまり変化はないが、乾燥する冬の間は、「水」を飲むだけでかなり改善する。

駅や電車の中などで、リップクリームを塗っている人を見かけるが、上手に水分を摂ればそれも必要なくなる。くちびるが乾くのは、体の乾燥のいい目安になる。くちびるが乾いてきたら、だいぶ体は乾燥している。この冬は上手に水分を補給して、リップクリーム要らずで過ごせるようにチャレンジしてみてはいかがだろうか。乾燥がひどい人はすぐには無理かもしれないが、この冬に「水」を飲んでおくと、来年は必ず今年より潤っている。みずみずしさは、まさに「水」を飲むところから始まる。

|

2004.11.15

達人の咀嚼?!

前回、片噛み解消法で顎を大きく動かしてものを噛むといいと書いた。最近の日本人は、昔に比べて硬いものを食べなくなったので、顎の動かし方も自然と小さくなってきているのだろう。そのせいで、最近の若者は顎の発達も悪くなってきているともいわれている。顎の発達が悪くなると、歯並びも悪くなる。

そして、歯の噛み合わせが悪いと筋力も低下する。ウエイトリフティングなどのパワー系の競技ではその影響は顕著だそうだ。マウスガードやテンプレート(奥歯で噛みしめる形の器具)を使い噛み合わせを調節すると、筋力や集中力がアップして競技能力が高くなるという。また、射撃競技などでも、体の揺れが軽減して標的が狙いやすくなるそうだ。

以前どこかで、「身体能力に優れた人は、ものを食べるときに顎を大きく動かしている」、という内容のコラムを読んだことがある。そのコラムによると、メジャーリーグで活躍中のイチロー選手は、こめかみまで大きく動くぐらい顎をダイナミックに動かして食事をするらしい。

私が知っている中で最も顎を大きく使って咀嚼されていた方は、武術家の黒田鉄山師範である。そして、私が実際に目にしたことのある中で、最も身体操作能力に秀でた方でもある。
黒田先生は、駒川改心流剣術・民弥流居合術・四心多久間流柔術など日本古流武術5流儀の宗家でいらっしゃる。一般の方には馴染みが薄いかもしれないが、古武術界では平成の英傑と呼ばれる方で、その動きのすばらしさは、「生きた奇跡」といっても過言ではない。
私は以前、黒田鉄山先生の道場に1年半ほど通わせていただいていたことがある。黒田先生は、まさにこめかみまで動かしながら、大きく咀嚼されていた。こめかみが目立つほど動くということは、大きく動かしているというだけではなく、しっかりと噛んでいるということでもある。

イチロー、そして黒田先生・・・。しっかりと物を噛む能力があるということは、身体運動の達人たる一つの条件なのかもしれない。
そういえば、堺正章も「かくし芸」の達人であった。

|

2004.11.12

さらに簡単!片噛み解消法。

前回に引き続き、今回も食べ方に関するお話を一つ。今回は、「片噛み」の解消法について。

食べるときに、左右どちらか片側ばかりで噛む癖があると、だんだんと顔の形が歪んでくる。目の大きさに左右差が生じたり、どちらかの頬が縮んだり、鼻筋が曲がったり、歯が片減りしたりする。
片噛みが常習になると、咀嚼筋を始めとする顔の筋肉がアンバランスになるのだ。そして、筋肉だけでなく顔の骨格も歪んでくる。この骨格が歪むというのは顎関節だけの問題ではなく、頭蓋骨自体が歪んでくるのである。
頭蓋骨は、一つの大きな骨のように思われている方もいるかもしれないが、実は23個もの骨が組み合わさってできている。ガイコツの絵を描くときのギザギザが、それらの骨のつなぎ目で縫合部という。いつも左右の同じ側だけで物を噛んでいると、頭蓋骨の骨組みが、だんだんと歪んでくる。
最近では、その影響が背骨に及んで、頭痛や肩こり、腰痛が起きたりすることが、テレビの健康番組などでも話題にされている。また、医学博士・西原克成氏によって、片噛みが免疫力の低下を招くことも指摘されている。

片噛みが起こる原因は、いろいろある。虫歯になって痛い側で噛まないようにしているうちに癖になってしまったり、腰椎や骨盤の仙腸関節、股関節、足首などに歪みがあり、それが片噛みの癖と関係しているということもある。うつ伏せ寝や横向き寝など、寝相が原因で顔の骨格(及び全身の骨格)が歪み、そのために片噛みが起こるという説もある。
虫歯の場合などは別として、片噛みが起こることは生まれ持った個人的な運動習性に端を発すると考えられる。整体ではこの個々人の体の運動の癖を「体癖」呼んでいる。この体癖によって、体の重心の左右偏りなども決まってきて、噛みやすい側も決定される。寝相が片噛みの原因だとしても、寝相自体が体癖的な現象ともいえる。

今回は、そういう話は脇に置いておいて、とりあえず片噛みだけを何とかしてしまう方法をご紹介する。それは、大きく顎(あご)を動かして物を噛むということ。
大きく顎を動かして、もぐもぐと物を噛むと、口内の食物を舌が自動的に右に左にと移動させる。舌にはもともと、そういう機能が備わっているのだ。大きく顎を動かして食べると、逆に片側だけで食べる方が難しい。
コツは、とにかく大きく顎を動かすこと。始めのうちは、少し大げさなぐらい動かすといい。咀嚼に会わせて、こめかみが動くのがわかるくらいに大きく噛む。

以前、「発掘!あるある大辞典」という番組で、顔の歪み(片噛み)のことを特集したときがあった。そのとき、ゲストの誰もが左右どちらか片側で噛んでいた中で、司会の堺正章だけが左右バランスよく噛んでいたが、彼の顎もやはり大きく動いていた。

片噛みの癖があるかどうかということは、普通はあまり自覚がないものなので、一度チェックしてみてはいかがだろうか。もし、片噛みの傾向があるようなら、大きく顎を動かすことをお試しあれ。ただ、慣れないうちは舌を噛みやすいのでご注意を。

|

2004.11.10

簡単!食べ過ぎ防止法。

以前、「整体」であれば、食べたいものを食べたいだけ食べるのがいいと書いた。心と体が自然な状態、調和のとれた状態にあるとき、人間は食べ過ぎるということはほとんどない。本来、体の要求はいつも正しい。

・・・・・のだが、「現実問題、今食べ過ぎを何とかしたい」という人も多いと思う。そこで、今回は食べ過ぎないための実用的なテクニックについて書いてみたい。テクニックといっても難しいことではなく、知っていれば誰でもできるという程度のものである。それは、「姿勢を正して食べる」ということだ。

よく、「ゆっくり食べると、食べている間に満腹中枢に刺激が行って食べ過ぎない」といわれる。それはその通りなのだが、実は食べ過ぎてしまう人にとっては、ゆっくり食べるということ自体が難しい。そんなとき、姿勢を正して食べるというのは、食べる速度をゆっくりにする極めて有効なテクニックである。
昔から、お膳に顔を近づけて食べることは「犬食い」といって不作法なこととされているが、この「犬食い」をすると、どうしても「勢い」で食べてしまう。背中を丸めて、お膳に覆い被さるように食べると、食べる速度も速くなり、満腹感を感じるまもなく、気がついたときには食べ過ぎてしまっているということになる。
背筋を伸ばし姿勢を正して、お膳(食べ物)から顔を遠く離して食べると、「勢い」で食べることがなくなる。たったそれだけのことだが、ゆったり落ち着いて食べることができる。勢い込んで食べてしまう癖がある人は、ぜひ試してみていただきたい。

そして、姿勢を正して食べるということにはもう一つ意味がある。人間は物を食べて胃が拡張すると背中が張ってくる。整体的にいえば、第7胸椎から第9胸椎あたりの筋肉が張ってくる。こうなると、背中を真っ直ぐに立てているのが辛くなり、腰が抜けて背中を丸くした姿勢が楽になってくる。しかし、そういう姿勢が楽になっているときは、実はもう食べ過ぎているのである。「腹一杯」というが、お腹が苦しくなる以前に背中が張ってくるのだ。
食事中、姿勢を正しく保っていられる間は、食べ過ぎていないと思っていい。背中を丸くしたくなってきたら、そこで食べるのをやめれば、食べ過ぎにはならない。

「姿勢を正して」といっても、背中の筋肉を緊張させて、いわゆる「気をつけ」の姿勢を取るということではない。背筋は伸ばすが、肩や背中の力を抜きリラックスした状態にする。これは、正座をした場合は自然とそうなるのだが、最近は椅子で食事をすることが多くなったので、正座に比べて腰が伸びにくく肩の力が抜けにくい。楽に背筋を伸ばすには、自分なりに多少の工夫が必要かもしれない。

そもそも、背中を伸ばすことが辛いという人は、長期にわたって食べすぎが続いている人である。それなりに伸ばして、チャレンジしていただきたい。

|

2004.09.10

秋の気配と冷えの影響

ここ数日、急に具合が悪くなる人が増えた。「胃が悪くなった」、「足に神経痛が出た」、「頭痛がする」、「耳が痛い」などなど。訴えは様々だが原因は一つ。それは、残暑の中に秋の気配が忍び込んできたことだ。
日中はまだまだ暑く、夜寝付く頃もまだ汗ばむくらいだが、朝方4時5時になると急に気温が下がってくる。この時期は、体が「冷え」の影響を受けやすい。

この時期、体はまだ夏の体をしている。そのため感覚的に冷えるという実感はあまりない。しかし本格的に寒くなる真冬より、暑いことになれていた体が急に冷やされるこの時期の方が、かえって「冷え」の影響を強く受ける。
冬になってしまえば体も引き締まり、冬用の体になるので「冷え」には強くなる。しかし、夏用の体のまま急に冷たい風に当たるこの時期は、「冷え」に対する防御力が低いのである。

また、ただ寒い思いをするのと、汗をかいてそれが冷えるのでは体に対する影響が全く違う。汗を急激に冷やすと、とたんに体調がくずれる。整体では汗を急に冷やして体に悪影響を及ぼすことを、「汗の内攻」と呼んでいる。汗が自分の内を攻めるという意味だ。
特に暑くなくても体は眠ると汗をかく。汗をかくことで疲労が抜けるのだが、この時期その汗を冷やしやすい。それで「寝冷え」が起こる。しかし、あまり冷えたという実感がないので、体調をくずしたことと「寝冷え」が結びつかない。そして、急に体が悪くなったと思う。

原因は同じ「寝冷え」にあっても、症状の現れ方は体の特性によって違う。のどが痛くなる人、頭が痛くなる人、眼に症状が出る人、関節や筋肉が痛くなる人・・・。同じく冷えても、その影響を受けるところは様々だ。代表的な症状を列挙してみよう。

冷えの影響によって起こりやすい症状:
体が重い、だるい、こわばる、頭痛、鼻血、鼻水、鼻づまり、涙が止まらない、耳が痛い、聞こえづらい、急性の耳鳴り、のどの痛み、胃の痛み、胸焼け、お腹にガスがたまる、下痢、小便が近くなる、しゃっくりが出る、いびきが大きくなる、足がつる(こむら返り)、神経痛、関節痛 etc.

これらの症状は、いろいろと違う系統の症状である。しかし、原因が同じなので、みな同じ方法で解消することができる。それは、「朝風呂」にはいること。「朝風呂」は、この時期の寝冷えに卓効がある。ここ数日で、急に具合が悪くなった人、「寝冷えをしたかな」と思い当たる人は、ぜひ朝風呂を試してみていただきたい。
 

秋口から初冬にかけての冷え対策 
(白山治療院健康生活のしおりより転載)

生活上の工夫

1.寝る間際に入浴しない。お風呂で暖まって寝ると冷えないような気がしますが、実は反対です。人間の体には、自動的に体温を一定に保つ働きが備わっています。熱くなった体は今度は冷やす方に働きます。起きていれば良いのですが、そのまま眠ってしまうと調節がきかず余分に冷えてしまうのです。また、汗をかいたまま寝ることになりますから、二重の意味で冷えてしまいます。少なくとも就寝一時間前には入浴をすませている方がよいでしょう。

2.いよいよ涼しくなってきたら、なるべく窓際で寝ないようにした方が良いでしょう。特に子供は注意が必要です。また厚手のカーテンをすることも効果的です。

3.冬に向かっては、早め早めに布団を厚く(多く)していきます。その方が、早く冬用の体に変化できるのです。春は反対に、早め早めに布団を薄くしていきます。


入浴による積極的対処法

1.朝風呂 冷えによる症状を解消する一番良い方法は朝風呂に入ることです。朝風呂は冷えに対して大変効果があります。そして気持ちよくスッキリと一日のスタートがきれます。大切なのは熱めのお湯に入ることです。ぬるいお湯では効果がありません。ちょっと熱いのを我慢するぐらいで適温です。長湯する必要はありません。

2.足湯 足を温める部分浴です。着衣のまま、くるぶしまでかくれるようにお湯に入 れます。お湯の温度は入浴温度より2度ほど高くします。出したら足が赤くなってい るようでないと効き目がありません。冷めないように差し湯をしながら7分温めます。 両足が同じように赤くなっていれば、よくふき取って終わり。片方だけ赤くなっていなければ、その片方だけさらに2分温めます。最後に少し水を飲んでおきます。のど、鼻、耳など頚から上の症状があるときに行います。

3.膝湯 寝冷えの解消におすすめです。“朝風呂はちょっと”という方は、朝、膝湯をしてみて下さい。やり方は足湯と同じですが、膝上まで入る深さで行います。お風呂でおこなうのがやりやすいでしょう。“寝冷えしたな”と思ったときや下痢などお腹の具合の悪いときに行うと卓効があります。


|

2004.07.23

夏の健康生活 (2)

ここ数年、異常な暑さのため、熱中症を起こす人が増えている。熱中症は、高温環境にあって熱放散が不十分なときに体内に熱がこもってしまうことで起こる。体温調節機能が失われ、体温が上昇し、場合によっては、意識不明となったり、死に至ることもある。症状は、体温の異常上昇、全身的な発汗停止、めまい、悪心、嘔吐、激しい頭痛、精神錯乱、昏睡、反射の低下、筋痙攣などである。熱中症のうち、直射日光によるものを日射病という。

熱中症のうちに数えられる 「熱痙攣」 は、水分を補給していながら、塩分を補給しなかったときに起こりやすい。水分と同時に、塩分の補給も気をつけなければいけない。また、水分は一度にたくさん飲んでも、吸収される量には限りがあるから、暑いところで運動や労働をする際には、こまめに水分を摂取することが必要だ。

熱中症を起こしたときには、ともかく体を冷やすことが大切だ。部屋で冷房をきかせてもいいし、屋外であれば日陰の涼しいところに移し、濡れたタオルを当てて扇ぐ。場合によっては全身に水をかけて扇いでもよい。意識がしっかりしていれば、水分を補給させ安静にさせる。痛みを伴う筋肉の痙攣があれば、塩も少しずつ舐めさせる。意識状態が悪い場合は、救急車を呼んで病院に搬送した方がよい。


【 熱中症 ・日射病の応急処置 】

熱中症・日射病になってしまったときは、まずは鳩尾(みぞおち)を押さえる。熱中症のときは、必ず鳩尾が硬くなっている。

座ることができれば、まずは座って、左右の親指をのぞく4本指を爪を合わせるような形で鳩尾に当て、指先で少し押し込むようにして押さえる。このとき、息を吐いて、少し前屈みになるようにする。はじめは硬くて押すと痛みがあるが、じーっと押さえていると、だんだん硬さがゆるんでくるので、ゆるんできたら、その分だけさらに奥まで押さえていって、少し左右に揺すぶる。座れない場合は、横向きに寝て、体を少し丸めるようにしておこなう。

鳩尾を押さえて揺すぶると、少し気分が良くなってくるので、次に仰向けになって、同じように鳩尾を押さえ、奥にいって少し左右に揺すぶる。
他人にやってあげるときは、人差し指から薬指までの、三本の指の腹で鳩尾を押さえる。強すぎないように、力の加減に気をつけながら、苦しくないか相手に聞きながらおこなう。

とっさのときには、慌ててしまうから、平静のときに一度ぐらいやってみておくとよいと思う。

鳩尾をゆるめて少し気分が楽になったら、頭頂部を冷やす。冷やす場所は、髪の生え際から少し上にいったところ。大泉門といって、赤ちゃんのときにぺこぺこと柔らかかった(ひよめき、などとも呼ばれる)ところ。ここに、ビニール袋に氷を入れたものをタオルでくるんで当てる。症状がひどいときには、首筋、脇の下、足の付け根など、大きな血管が比較的浅いところを通っているところを冷やすが、それほどひどくなければ、頭頂部だけでもよい。

|

2004.07.21

夏の健康生活 (1)

夏は、汗が出るように体を整えておけば、あまり体調を崩すことはない。汗が出ないと、体温調節がうまくいかなくなるので、とたんに具合が悪くなる。のぼせやすくなり、暑気を起こしやすくなる。
暑くても汗が出ないという人は、第5胸椎が可動性を失っている。押さえて揺すぶってみても、ガチッと硬く弾力もない。第5胸椎とは、頚の下から数えて5つ目の背骨(椎骨)で、発汗と関係が深い。この第5胸椎を調整して可動性を回復させると、自然に汗が出るようになる。

最近は、汗をかくことを嫌う風潮があるようだ。しかし、本来 「発汗」 は、とても重要な体の働きの一つである。 「なるべく汗をかかないようにする」 など、もってのほかである。体温調節はエアコンでするものだと思っている人が多いが、まずは、体に備わっている体温調節の機構である 「発汗」 がうまく機能しなければ健康は保てない。

また、「発汗」 には、体温調節以外にも重要な役割がある。それは、排泄の働きである。大、小便からは出なくても、汗からは排出できる毒素はとても多い。夏は、「発汗」 による体の大掃除の季節でもある。夏の間に、しっかり汗をかいて、体の中の老廃物・毒素を排泄しておかないと、年毎にどんどん悪いものをため込んでしまうことになる。そして、排泄の滞りは老化を促進させる。汗をかくべき季節には、やはりしっかりと汗をかかなければいけない。

夏は、とにかく正常に汗をかいていれば、おおむね健康で過ごせるが、「発汗」で体の中の水分と塩分が出ていってしまうので、これらを上手に補うことが必要になる。
夏の水分補給は、冷たい物や生水よりも、お茶などの温かい飲み物が適している。そして、汗で失われた塩分を補給するのには、「梅干し」がお奨めだ。えぐみの少ない番茶か、薄茶と梅干しなどは、とても良い組み合である。
夏の暑いときに、頭がボーっとしたり、急に体の力が抜けたようになるときは、塩分が不足していることが考えられる。そういうときは、梅干しを食べてもいいし、直接塩をなめてもよい。体に塩分が足りないときは、塩をなめても甘く感じる。そのまま少しずつなめていくと、急に塩辛く感じるようになるときがくる。塩辛く感じたら、そこで終わりにする。できれば塩は、天然塩が良い。天然塩であれば、発汗で失われる、いろいろなミネラルの補給にも役立つ。

|