妊娠 ・ 出産

妊娠前から体を整える

昨日のYahooニュースに、こんな記事が載っていた。

父親の食生活は子の健康に影響 研究

【AFP=時事】父親の食生活は子の健康に影響を及ぼすとの研究論文が10日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。懐妊までの段階では、男性も女性と同じように健康的な食事と生活をするべきであることを示唆する研究結果だ。

整体でも、妊娠前の母親の健康状態とともに、父親のそれもまた同様に重要視している。また子供の男女産み分けなども、妊娠前一週間の父母の食事と関連することを教えている。
妊娠するときの父親、母親の健康状態は、そのまま子供の体質に影響すると思った方がいい。お父さん、お母さんが元気なら元気な赤ちゃんが生まれる。逆に両親が不健康ならば、赤ちゃんも弱く生まれついてしまう可能性が高い。

これが、妊娠を希望する人に妊娠前から体を整えておくことを勧める理由の一つだ。



「産後クライシス」 という言葉を聞いたことがおありだろうか?直訳すれば 「産後危機」、出産後に訪れる夫婦の危機である。
産後、育児に協力的でない夫に対して、急激に薄れていく妻から夫への愛情。そして、急速に高まっていく夫に対する不満と不信感。産後の育児をめぐっての感情の行き違いで、離婚に至るケースもあるという。
NHKの朝の情報番組 「あさイチ」 で特集されてから、子育て世代を中心にネット上でも大きな反響を呼んでいるらしい。NHKの報道記者である内田明香氏と「あさイチ」の担当ディレクターである坪井健人氏による、同名の書籍も出版されている。

「産後クライシス」

NHKオンライン あさイチ より

家族にとって幸せなイベントである出産。しかし、昨年、ある民間の調査機関がおよそ300人に行った調査で、「出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がる」という実態が明らかになりました。
また、別の研究ではこの期間に生じた不仲はその後の夫婦関係に長く影響するなんてデータも。中には、長年連れ添ったにも関わらず、出産後わずか1年半で離婚に至ってしまう夫婦もいます。実は産後とは夫婦仲に大きな危機が訪れるタイミングなのです。
こうした問題はこれまで『育児ノイローゼ』『産後ブルー』といった言葉で主に母親たちの問題であるように語られてきました。しかし、番組ではこれを夫婦や社会の問題であると捉え、「産後クライシス」と名付け、その実態に迫りました。


NHKのサイトを見ると、番組では問題の原因を産後の夫の育児・家事への非協力的な態度にある、と捉えているようだ。
確かに、子育てに対して当事者としての自覚が欠如している、大人になりきれていない夫に原因があるのは間違いのないことだ。しかし整体的な見方からこの問題を考えると、もう一つ手前に別の問題が見えてくる。
どういうことかというと、そもそも育児をめぐって夫婦の危機が訪れてしまうという、まずその状況に問題があると考える。それがどんな状況のことかといえば、そこまで母親(妻)が追い詰められてしまうほど、育児が過酷だということである。

本来、育児には大きな喜びがともなうものだ。喜びと幸せに包まれているはずの赤ちゃんとの生活が、そこまで過酷になってしまう大きな要因は二つある。一つは母親に肉体的・精神的に余裕がないということ、そしてもう一つは赤ちゃんに必要以上に手が掛かるということにある。

産後のお母さんに体力があれば、それだけで育児は楽になる。体力的に余裕があれば、当然精神的にも余裕が生まれる。
また、赤ちゃんが丈夫で病気もせず、いつも機嫌がよければ、お母さんにとって本来育児は楽しいものであって、何も、 「夫からのねぎらい」 が無いとやっていられないほど苦痛なものではない。

出産後に、赤ちゃんを可愛く思えないとか、わけもなく悲しくなるとかいうのは、その人の精神性に問題があるのではなく、多くは体に問題があるのだ。体が整っていれば、自然と赤ちゃんへの愛情があふれ出てくるし、体力的にも精神的にも余裕があり、子育てが楽しくなる。
もちろん妊娠前から整体していれば、妊娠中も体が楽だし、お産も軽くなる。そして産後の体の回復も早い。

妊娠中に愉気をするということは、とてもよいことである。母体も安定するし、産まれてくる赤ちゃんの元気度も違う。また、産まれてすぐのカニババ(胎便)の排泄促進も、子供の体質を強くする。
しかし、本当のことを言ってしまえば、やはり妊娠前から体を整えている場合と、妊娠してからのスタートでは、比べてみると雲泥の差がある。やはり、妊娠前にどれだけ体を整えておくか、ということが重要になる。
よく男性の場合、結婚を機に生命保険に加入したりするが、子供を望むなら女性は結婚したら体を整えることを強くお奨めしたい。夫婦そろってなら、なお素晴らしい。結婚前からなら、なお・・・である。


妊娠中の散歩

妊娠中は運動が不足すると、とたんに体が重くなり体調が悪くなってくる。運動不足は、妊婦さんには大敵なのである。
妊娠中の運動は、歩くことがもっとも良い。マタニティ・ヨーガとか、マタニティ・ビクスのようなものもあるが、かえって体を壊してくる人が多い。普段からそういうことをしている人はいいのかも知れないが、体を動かす習慣がなかった人が妊娠してから急に始めるのは、リスクの方が大きい。
中には、5ヶ月を過ぎてからジョギングを始めた人もいたが、やはり体には負担の方が大きかった。
プールは、運動の質としては良いかもしれないが、冷えるのが欠点だ。妊婦にとって、冷えもまた大敵なのである。

妊娠中の散歩は、腰・骨盤の力を強くする。毎日ゴロゴロしていて、腰や骨盤の力が抜けてしまっては、安産は望めない。
また、妊娠中の散歩は、体調を調えるためにも役立つ。今日は朝から調子が悪い、などというときに、歩いてきたらスッキリした、というような散歩術を身につけたい。

散歩をする上で大切なことは、自分の気持ちのよいペースで歩くということである。それは、日によっても違うだろうし、同じ1回の散歩の中でも、前半と後半では違うかもしれない。
自分の歩幅、自分のペースで歩くには、一人で歩くことが大切である。誰かと一緒に歩くと、自分に合わせてもらっても、やはり本来の自分のペースとは違ってしまう。

また、買い物の行き帰りなどは、この場合散歩に含まれない。妊婦の散歩は、歩くことそのものを目的に歩くのである。
そして、その時間はお腹の中の赤ちゃんとゆったりと共有する愉気の時間である。そういうつもりで歩くのが良い。

歩く時間は、一応30分~1時間ぐらいを目安にするとよいと思う。もちろん体調に応じて、もっと長く歩く日があってもよいし、短くなってもよい。
妊娠中は、疲労をためることはよくない。翌朝起きられないなど、翌日に疲れを持ち越すようだと歩きすぎということになる。

散歩は、気持ちのよいペースが基本だが、その中に20歩大股で歩くことを5回ほど入れるとよい。自分のペース・歩幅をちょっと破ることで、運動の不足があれば補えるし、逆に過剰があれば疲労感がはっきりするので調整しやすい。ときには、運動の過剰がわからなくなってしまうこともあるのである。

当院に通われて出産された方達は、お産が軽い人が非常に多い。そして、お産にかかる時間がとても短い。
そして、お産が軽い人、時間が短い人は、みな熱心に歩いた人である。
初産でいうと、最短記録をもっている人は、病院について3時間半で出産されている。そして、初産でも4~5時間ぐらいの人は珍しくない。
もちろん、単純に早ければよいということでも無いが、時間がかからないということも、お産が軽いという一つの指標になる。
初産で時間が短かったひとの多くは、40才前後の妊婦さんである。アラフォー世代の初産は、産婦人科で、「大変ですよ」 と脅されるらしい。そのため、少しでも良いお産、楽なお産を目指して、頑張って歩くのである。その結果、安産につながるのだ。
かえって若い人の方が、歩くのを面倒くさがる傾向があるかもしれない。

家畜として飼育されている乳牛は非常にお産が重く、人間が介助しないと出産できないのだそうだ。しかし、同じ乳牛でも、森林放牧などの自然に近い環境に置くと、自力で出産するようになるという。
もちろんいろいろな要素はあるだろうが、牛舎で飼われている牛はほとんど運動できない環境にあることが、お産を重くしている一番の要因だろう。
人間でも、運動が不足すると本来もっている体の力が発揮されないのである。

昔の人は、毎日の生活の中で、当たり前に体を使っていたのだから、改めて歩く必要などなかっただろう。しかし、便利な家電製品に囲まれて、移動も車に電車と足を使わなくなっている現代人には、どうしても自覚して体を動かす必要があるのだ。

歩き慣れない人は、多少のおっくうさを感じるかもしれないが、慣れてしまえば歩くことはとても気持ちのいいことである。また、梅の花が咲いたとか、近所に新しい人が引っ越してきたとか、自分の住む町の変化を眺めながら歩くことも楽しいのではないかと思う。
できれば、出産が近づく頃には、自他共に認める健脚になっているぐらいが望ましい。


母乳の影響

だいぶ前のことになるが、あるとき赤ちゃんのいるお母さんから電話があった。その方は、当院で整体を受けながら妊娠して出産をされた方なのだが、前の晩から赤ちゃんが急に発疹し、痒がっているという。
こういうときは、どうしたら良いかとの相談であった。

突然湿疹が出たらしいのだが、特に原因が思い当たらないという。
私が、「お母さんの食べたものが母乳を通して赤ちゃんに影響して、中毒を起こしたり、湿疹が出たりすることもありますよ」 とお話したが、あまりピンとこないようだった。
「某有名チェーン店のハンバーガーなんかでも、影響することがありますよ」というと、
「あ、昨日のお昼にそれを食べました」 という。

妊娠中に母体の状況が胎児に影響することは知られてきているが、産まれてからもお母さんの体調が母乳を通して赤ちゃんにいろいろと影響を及ぼす。
妊娠中は気をつけていた人でも、出産してしまうと忘れてしまう人もいる。薬はもちろんだが、スナック菓子、清涼飲料、インスタントラーメン、ジャンクフードなどは避けるべきであろう。ケーキなどの、甘いものの摂りすぎもよくない。

また、出産後2~3ヶ月のママさんに多いが、「授乳などが忙しくて、ゆっくり食べる暇がないんです」 と言いながら、食べ過ぎの体で来る人が結構いる。
育児の合間に急いで食べるからなのか、少しずつだが回数が多くなってしまうのか、忙しさのアピールで暇がないと言ってるだけなのか、ともかく足らないと思って実は食べ過ぎている人もいるのである。
必要以上に食べ過ぎると、体に同化できなかった分の余剰の栄養成分が体に害をなす。燃焼不良で、黒煙がモクモク出ているようなものだと考えればよい。
この食べ過ぎの害もまた、当然ながら母乳の成分に変化を起こす。

食べ過ぎにしろ、食べるものが悪かったにしろ、母乳を通して赤ちゃんの健康に影響を及ぼす。授乳中のお母さんは、このあたりのことは知っておいていただきたいと思う。
皮膚病にかぎらず、赤ちゃんの便秘なども、お母さんが食生活を改めると改善するケースは多い。

また、心理的な問題も、お母さんの血液の成分を変化させる。怒ったときは怒ったなりに、クヨクヨしているときはクヨクヨしたなりに、血液の成分が変化するのである。
母乳と言うのは、お母さんの血液が赤ちゃんの栄養になるように転換したものだと思えばいい。妊娠中もそうだが、赤ちゃんを育てているときも、いろいろな意味で、お母さんが幸せな気持ちでいることは重要なのである。


産後の整体

妊娠中の整体は、継続して当院に通われている方のみを対象としておこなっているが、産後の体の立て直しを目的とした操法は、どなたでもお受けしている。
ただし、「やせたい」、「キレイになりたい」、という美容が第一目的の方には、残念ながらご期待に添えないと思う。

最近、「産後に骨盤を整えると、やせてキレイになる」ということが、いろいろなところでいわれるようになった。
それらの情報・理論・体操の大部分は、元をたどると何らかの形で野口整体につながっているものと思う。
しかし、残念ながら、野口整体の理念や技術はどこかにいってしまって、 「骨盤を整えるとやせる」 ということだけが、一人歩きしている感がある。

たしかに、産後に骨盤を中心に体を整えていくと綺麗になる。スッキリとやせてスマートになる人もいる。
しかし、それはあくまでも、「体が整った」、「元気が満ちた」、「健康になった」 ということの表れであって、始めから「やせる」ことを目的として操法するものではない。少なくとも、私はそう思っている。
そう思っている私がおこなう操法であるから、美容を第一に考えていらっしゃる方には合わないであろう。

そもそも心に屈託がなく晴れやかで、体が整っていれば、妊娠中や出産後の女性は、とても美しい。
生命力に満ちて、女性だけが持つ力をこれ以上ないほどに発揮している姿である。
そして、その美しさの源は、母性にあるのだと思う。
妊娠中や出産直後は、女性がもっとも強く母性を発揮するときだ。その母性の発露としての美しさは、神々しいとさえいえる。
そういう美しさに接する機会が多いことは、私にとっても幸せなことだ。

しかし、中には産まれたばかりの赤ちゃんのことなど頭の隅にもなく、自分の体重が減ることばかりに関心がある人もいる。
操法を受けに来ても、産後の体調や母乳の出具合について、また夜泣きなどの赤ちゃんに関することに話を向けても、全く興味のないふうで、ただひたすら 「骨盤は閉まっていますか?」、「まだもう少しやせますか?」と、そんなことしか言わない。
そういう気持ちのあり方が、赤ちゃんが生まれて、まさに今、一日一日育ちつつあるときの母親の当たり前の心の状態だとは、とても思えない。
そんな母性のかけらもない、自分のことしか頭にない人が、たとえ痩せようが腰周りが細くなろうが、私には全く美しくなったとは思えない。

そういう人と私は、美しいということに対する感受性が全くすれ違っているので、お互いにどこまで行っても平行線だ。
というわけで、美容目的で産後の整体を受けたいという人には、期待に添いようがないのだ。

しかし、そもそも妊娠しても、出産しても母性が育たない人は、やはり体の自然を失っている人だ。
心も体も自然な人は、母性も自然に湧いてくる。
妊娠前から体を整えることを勧める理由は、ここにもある。
母性も母親としての自覚も、体の状態と無関係ではありえないのだ。
また、体が整っていれば、心身両面で子育ても楽になる。


妊婦の整体

もう、2年前になるだろうか?
『ワガママ妊婦のおとりよせ』 という本で、妊娠中・産後の整体の体験記事で紹介されてから、妊娠中の方からの問い合わせが急増した。
その本の中でも、但し書きを入れていただいたのだが、残念ながら妊娠されてからの初診はお断りしている。現在、妊娠中の整体は、当院で妊娠前から体を整えている方だけ対象におこなっている。

妊婦の整体は、妊娠・出産を、母体をより健康へと導く機会として活用するものであり、同時に産まれ来る赤ちゃんが元気で丈夫な子に育つための基礎を作ることが目的である。
もちろん妊娠中のいろいろなトラブルにも対処する。

妊娠中に起こる症状として多いのは、つわり・むくみ・腰痛などだが、これらは愉気を主体としたシンプルな操法でほとんどの場合、簡単に消失してしまう。

つわりの8~9割は、妊娠して弛むべき骨盤が硬直している場合に起こる。ほとんどは骨盤の左右どちらかがより硬直し、そちら側の腸骨が開きにくくなっている。これを愉気して弛めれば、だいたいの場合1回~2回の操法でつわりはなくなってしまう。

むくみは、側腹と呼ぶわき腹の操法で改善する。この操法は、つわりにも腰痛にも効果がある。押さえ方にコツがあるが、わき腹を外に引っ張り出すようにつまんで愉気するだけでもいい。(肉のつき具合を確かめるときのような感じで…) 両方つまんでみて、より硬い側だけつまむ。

腰痛には、いろいろなアプローチがあるが、妊娠中は強い刺激は使えないので、妊婦さん用の押さえ方や刺激の方法を用いる。

妊婦さんは、そもそも体が敏感で気に対する感応も良いので、愉気や簡単な刺激ですぐに体が整ってしまう。

こう書くと、妊娠中の整体は簡単そうに見えるが、簡単に効果をあげているのにはわけがある。
それは、私のみる妊婦さんは、「妊娠する前にすでに体が整っている」ということだ。

もともと体が「整体」である妊婦さんであるから、ちょっとした働きかけで良くなってしまう。そうでない場合には、そんなに簡単にはいかないことも多い。

面倒を避ける気持ちはないが、妊娠されてからはじめて来院された方の場合、その方の体の傾向や特質も把握していないし、お互いの間に信頼関係も築けていない。
そんな状況では、妊娠中の急なトラブルにも余裕を持って対処できないことも考えられる。
体というのは掛け替えのない大切なものであるが、妊娠中となればなおのことである。上記のような理由から、妊娠されてからの初診はお断りしている。
( ほかにも、いくつかの理由はあるのだが… )

これから妊娠を考えていらっしゃる方には、ぜひ妊娠前から体を整えておくことをおすすめしたい。もちろん、当院でなくても、整体法(野口整体)をしっかりと学ばれた方のところであれば問題ないと思う。施術者との相性もあるので、何ヶ所かまわってみてもいいと思う。